
国内外の銀行で為替ディーラーとして活躍され、その華麗な取引手腕から「貴公子」と称された酒匂隆雄さん。為替ディーラーの第一人者の顔とは別に、レーシング、海外旅行、ワイン・グルメに温泉旅行と、様々な趣味をお持ちで、人生を楽しく過ごすことに関しても一流人です。
このコンテンツでは、楽しい話題や日々の生活、たまには為替マーケットについて語っていただきます。
筆者に、用事があると必ず電話を掛けて来る親しい友人が居る。しかも決まって朝8時に!そしてついにその友人に言い放った。
「悪いけど今度から用事が有る場合はメールにしてくれない?」
そしてメールが来た。
「電話禁止のお達しを頂きましたのでメールでご連絡致します。」
不満で仕方なさそうなのが見え見えであった。
筆者が電話が嫌いな理由は幾つかある。筆者は永年外国為替取引に従事してきたが、昔はスマホやインターネットなどは無く、情報はほとんど電話を通してであった。ドルが下がると思って、ドルを売って寝ていたとする。どの様なポジションを保持しているかを毎日本店(その頃はニューヨーク)に報告しているのだが、夜中に電話が掛かって来る事がある。
「I have a bad news for you. US Dollar is much higher, and your position looks pretty bad.」
(悪いニュースがある。ドルが大きく上昇しており、お前のポジションが悲惨な状況にある。)
ちぇっ!
まあ昔は電話が掛かってくると『ドキッ』として驚いたものだ。だから電話は嫌いだ。
電話はいつ何時掛かって来るかが分からない。掛かってくれば出ざるを得ない。これ自分の時間を制限されていると思いません?その点メールは好きな時に見る事が出来て、好きな時に返事が出来る。電話だと咄嗟に返事をしなくてはならない事があるがメールだと熟慮する時間がある。
くだらない電話が多過ぎる。最近頭に来るのは「お使いの光通信の料金がお安くなります。」と言う電話だ。聞くと月に600円くらい安くなるらしいのだが、メール・アドレスを変えなくてはならないし面倒臭い。「もう電話をくれるな。」と何回言っても掛けて来やがる。腹立たしい。
次に来るのは「ご自宅に不用品は有りませんか?使わない時計、貴金属、何でもお引き取り致します。」と言う不用品収集の電話だ。「生憎ウチには時計や貴金属などは一個も有りません。」と答える事にしている。
最近減ったが証券会社から「銀行の預金金利はほとんどゼロに近いです。...の様な商品に投資しませんか?」などの勧誘電話が掛かって来る。カミさんは「どうせ何もしないのだから直ぐに電話を切りなさいよ。」と言うのだが筆者は人が悪い(?)ので一応話は聞いてやる事にしている。散々説明を聞いた後、「ふーん、で年率5~6%儲かるかも知れないっていう話か?俺は自分で年率で大体30~40%儲けているよ。」と言うとびっくりする。
「えーっ、何で運用されているんですか?」
「外国為替取引。」
「ははあ、でも外国為替取引は大きなリスクがありますよ。」
「はい、知っています。」
年率で30~40%儲けていると言うと、グウの音も出ないらしい。大体これで引っ込む。
さあ、どうでしょうか?皆さんは電話派、それともメール派?

酒匂隆雄 さこう・たかお
酒匂・エフエックス・アドバイザリー 代表
1970年に北海道大学を卒業後、国内外の主要銀行で為替ディーラーとして外国為替業務に従事。
その後1992年に、スイス・ユニオン銀行東京支店にファースト・バイス・プレジデントとして入行。
さらに1998年には、スイス銀行との合併に伴いUBS銀行となった同行の外国為替部長、東京支店長と歴任。
現在は、酒匂・エフエックス・アドバイザリーの代表、日本フォレックスクラブの名誉会員。
