
国内外の銀行で為替ディーラーとして活躍され、その華麗な取引手腕から「貴公子」と称された酒匂隆雄さん。為替ディーラーの第一人者の顔とは別に、レーシング、海外旅行、ワイン・グルメに温泉旅行と、様々な趣味をお持ちで、人生を楽しく過ごすことに関しても一流人です。
このコンテンツでは、楽しい話題や日々の生活、たまには為替マーケットについて語っていただきます。
注目の日米首脳会談が終わった。
前々週にトランプ大統領が日本を名指しで「円を不当に安くしている。けしからん!」と息巻いていたので、もしかしたら会談の席上で安倍さんにガツンとトランプ砲でもぶっ放すのではないかとの危惧もあったが、全くの杞憂に終わった。トランプ大統領はホワイトハウスに着いた安倍首相を握手とハグで派手に出迎え、見ている方が恥ずかしくなる程であった。
首脳会談直後の日本時間日曜日の午前8時過ぎに、北朝鮮が日本海に向けてミサイルを発射し、安倍首相が緊急記者会見を開いて北朝鮮に厳重抗議したが、其処にトランプ大統領が突然現れ(珍しく?)真面目な顔で、「The United States of America stands behind Japan, it's great ally,100%.」(米国は重要な同盟国である日本を100%支援する)と言い放った。
既に「安保条約は尖閣に適用される。」との言質を取っており、日米軍事同盟の強さの確認は出来てはいたが、我が国には心強い一言であった事は間違いあるまい。
その後場所をフロリダに移してゴルフを1.5ラウンド(27ホール)プレーし、「ドナルド」「シンゾー」とファースト・ネームで呼び合う仲になったらしい。移民問題で国内のみならず海外、特に欧州からの不興を買っているトランプ大統領にとっては、同盟国である日本の首相と『不自然とも見える』ほど仲の良さを見せるのは決して損な事ではあるまいし、安倍首相にとっても『全く何のコネも無かった』トランプ大統領と仲良しになる事は願ってもない事であったであろうか。安倍首相にとっては「満額回答」とも言える日米首脳会談となった。
お気付きになった方もいらっしゃるだろうが、首脳会談後の記者会見で面白い場面があった。安倍首相が向かって左、そしてトランプ大統領が向かって右に座っていて写真撮影が行われていた。
日本人のカメラマンが安倍首相に向かって日本語で「こっちを見て下さい。」と頼んだらトランプ大統領が安倍首相に「What is he saying ?」(彼は何て言ってるんだい?)と訊いた。そして安倍首相が「Please look at me.」(どうか私を見て下さい。)と言った。
違いますって!安倍首相は「He is asking us to look at him.」(彼は我々に彼の方を見てくれと言っています。)と言うべきであったのだ。
安倍首相が「Please look at me.」と言えば仲良しドナルドは安倍さんを見ますわな。それでトランプ大統領は握手をしながら安倍首相の顔を5秒以上も見詰めていたのである。おかしくて仕方なかった。わははは!この仲良し二人、上手くやって行きそうですね。
通商・為替問題はペンス副大統領と麻生副総裁に任せて親分同士はハンバーグでも食べながらゴルフでもやって仲良くしていれば宜しい。何処かの誰かが「にこやかにゴルフに興じる日本の首相は誇れるものではない。」と批判していたが的外れも甚だしい。同じ同盟国のオーストラリアの首相は電話会談の途中で電話を叩き切られたんですよ!
安倍さん、頑張って下さいね!

酒匂隆雄 さこう・たかお
酒匂・エフエックス・アドバイザリー 代表
1970年に北海道大学を卒業後、国内外の主要銀行で為替ディーラーとして外国為替業務に従事。
その後1992年に、スイス・ユニオン銀行東京支店にファースト・バイス・プレジデントとして入行。
さらに1998年には、スイス銀行との合併に伴いUBS銀行となった同行の外国為替部長、東京支店長と歴任。
現在は、酒匂・エフエックス・アドバイザリーの代表、日本フォレックスクラブの名誉会員。
