
公開日:2017年1月31日
国内外の銀行で為替ディーラーとして活躍され、その華麗な取引手腕から「貴公子」と称された酒匂隆雄さん。為替ディーラーの第一人者の顔とは別に、レーシング、海外旅行、ワイン・グルメに温泉旅行と、様々な趣味をお持ちで、人生を楽しく過ごすことに関しても一流人です。
このコンテンツでは、楽しい話題や日々の生活、たまには為替マーケットについて語っていただきます。
第45代アメリカ合衆国大統領に就任したトランプ氏が就任10日にして大活躍している。大活躍と言うか、やりたい放題と言うか、そのやり方には批判が多い。
就任当日から、連邦政府や軍に対して議会の承認を得ることなく、行政権を直接行使することにより発令される、アメリカ合衆国の行政命令である「大統領令」を矢継ぎ早に署名しているのだが、その数は17を超える。
直近で署名し、その結果、大混乱を起こしたのが「難民やテロ懸念国の市民の入国を制限」する大統領令である。これにより約280名が入国や米国行き航空便の搭乗を断られ、空港内では乗客が大騒ぎを起こし、空港外では大統領令に反対する大規模なデモが起きた。
そもそもアメリカは移民により成り立って来た国であり、ニューヨーク連邦裁判所はこの大統領令は憲法違反の恐れがあると指摘し、また全米各地の司法長官が「政府が移民の国としての歴史を尊重し、国籍・信仰で不当に標的としないよう努力すべきである。」と述べている。
何人かの司法長官はこの大統領令の無効を目指して訴訟をも辞さない構えで、もし司法が最終的に無効の判断を下せば大統領令は取り消される。
就任当日から、連邦政府や軍に対して議会の承認を得ることなく、行政権を直接行使することにより発令される、アメリカ合衆国の行政命令である「大統領令」を矢継ぎ早に署名しているのだが、その数は17を超える。
直近で署名し、その結果、大混乱を起こしたのが「難民やテロ懸念国の市民の入国を制限」する大統領令である。これにより約280名が入国や米国行き航空便の搭乗を断られ、空港内では乗客が大騒ぎを起こし、空港外では大統領令に反対する大規模なデモが起きた。
そもそもアメリカは移民により成り立って来た国であり、ニューヨーク連邦裁判所はこの大統領令は憲法違反の恐れがあると指摘し、また全米各地の司法長官が「政府が移民の国としての歴史を尊重し、国籍・信仰で不当に標的としないよう努力すべきである。」と述べている。
何人かの司法長官はこの大統領令の無効を目指して訴訟をも辞さない構えで、もし司法が最終的に無効の判断を下せば大統領令は取り消される。

何だか無茶苦茶だと思いません?
この問題を嫌気して昨日のニューヨーク市場では株安が進み、ドルが売られてドル・円は下げた。我々はこの動きをリスク・オフと呼ぶが、簡単に説明するとこの様な混乱の下ではリスクを取りたくない。その結果、
株は買いたくない。=株価の下落。
ドルを持っていたくない。=ドルの下落。
と言う現象が起きているのである。週末の世論調査によるとトランプ大統領の就任後の日米関係が「悪くなる」と予測する人が53%にも上り、「変わらない」は31%、「良くなる」は6%であった。日本人の半分以上がこれからの日米関係が悪くなると思っているのは由々しきことである。
一番気になるのは、保護主義的な発言を繰り返すトランプ大統領が、我が国との通商問題をどう問題提起してくるかである。対米貿易黒字国(アメリカにとっては貿易赤字国)としてメキシコ、中国、そして日本を名指しで非難し、これ等の国々のやり方は「フェアーではない!」と吠えまくっている。
相次ぐ大統領令の発動は、選挙期間中に約束した事を「着々と」実行に移しており、「America first !」を標榜するトランプ大統領が、次は通商問題に触れて来ることは不思議ではない。2月10日に安倍首相との日米首脳会談が開催されることが決まったが、安倍首相も気が気ではあるまい。
もし通商問題がごたごたする様であれば、ドル安&円高が進む可能性がある。FRBによる利上げ期待のドル高&円安とトランプ・ユーフォリアの終焉及び通商問題勃発の可能性によるドル安&円高の鬩ぎ合いが起きる可能性がある。
今年も為替は難しい年になりそうだ。
この問題を嫌気して昨日のニューヨーク市場では株安が進み、ドルが売られてドル・円は下げた。我々はこの動きをリスク・オフと呼ぶが、簡単に説明するとこの様な混乱の下ではリスクを取りたくない。その結果、
株は買いたくない。=株価の下落。
ドルを持っていたくない。=ドルの下落。
と言う現象が起きているのである。週末の世論調査によるとトランプ大統領の就任後の日米関係が「悪くなる」と予測する人が53%にも上り、「変わらない」は31%、「良くなる」は6%であった。日本人の半分以上がこれからの日米関係が悪くなると思っているのは由々しきことである。
一番気になるのは、保護主義的な発言を繰り返すトランプ大統領が、我が国との通商問題をどう問題提起してくるかである。対米貿易黒字国(アメリカにとっては貿易赤字国)としてメキシコ、中国、そして日本を名指しで非難し、これ等の国々のやり方は「フェアーではない!」と吠えまくっている。
相次ぐ大統領令の発動は、選挙期間中に約束した事を「着々と」実行に移しており、「America first !」を標榜するトランプ大統領が、次は通商問題に触れて来ることは不思議ではない。2月10日に安倍首相との日米首脳会談が開催されることが決まったが、安倍首相も気が気ではあるまい。
もし通商問題がごたごたする様であれば、ドル安&円高が進む可能性がある。FRBによる利上げ期待のドル高&円安とトランプ・ユーフォリアの終焉及び通商問題勃発の可能性によるドル安&円高の鬩ぎ合いが起きる可能性がある。
今年も為替は難しい年になりそうだ。

酒匂隆雄 さこう・たかお
酒匂・エフエックス・アドバイザリー 代表
1970年に北海道大学を卒業後、国内外の主要銀行で為替ディーラーとして外国為替業務に従事。
その後1992年に、スイス・ユニオン銀行東京支店にファースト・バイス・プレジデントとして入行。
さらに1998年には、スイス銀行との合併に伴いUBS銀行となった同行の外国為替部長、東京支店長と歴任。
現在は、酒匂・エフエックス・アドバイザリーの代表、日本フォレックスクラブの名誉会員。
