
国内外の銀行で為替ディーラーとして活躍され、その華麗な取引手腕から「貴公子」と称された酒匂隆雄さん。為替ディーラーの第一人者の顔とは別に、レーシング、海外旅行、ワイン・グルメに温泉旅行と、様々な趣味をお持ちで、人生を楽しく過ごすことに関しても一流人です。
このコンテンツでは、楽しい話題や日々の生活、たまには為替マーケットについて語っていただきます。
シンガポールに来て丁度1週間経った。シンガポールは赤道直下で日の出は午前7時丁度、日の入りは午後7時丁度である。気温は30度をベースにして、「Hotter(より暑い)」、「Hot(暑い)」、「Less hot(余り暑くない)」の3種類あり、雨季の現在は日が照らないので「Less hot」な毎日で凌ぎ易い。因みに今日は32度あるが、心地良い風が吹いて気持ち良い。暑くは感じない。東京も14度でまあまあですな。
シンガポールには毎年2度ばかり来て何もしないで日がなホテルの庭かロビーで過ごして飲んだくれている。シンガポールにはもう40年近く来ているが随分と変わった。昔は繁華街のOrchard Roadでさえ三つ位のショッピングセンターしか無くて寂しいものだった。歩いていると「シャチョさん、偽物時計あるよ。」と怪しげなオジさんが2千円位の見てくれは良く出来たオメガを売っていた。今は違法なのでもう売っていない。
物価も安かった。空のスーツケースを持って行って帰りにはタオル、シャツや靴などを買い込んで来たものだが今は違う。日本の方が安い。SGD(シンガポールドル)の為替レートの変化にも因るのだろうが、やっぱり物価が相当高くなったからであろう。未だ安い物もある。
例えばタクシー代。チャンギ空港から市内のホテルまでメルセデスベンツを借り切ってSGD55(約4,400円)。安い。でも昔はSGD35(約2,800円)だった。庶民の食べ物の、例えば美味しい中華ソバとフレッシュ・パイナップルジュースを頼んでもまあ約SGD10(約800円)。安い。でも昔はSGD6(約480円)だった。
1番酷いのは不動産価格だろう。100平米のアパートが2~3億円するらしい。車も税金が高くてカローラクラスが1千万円する。ベンツ、BMW、レクサスなどの高い車種は5〜6千万円から1億円位する。シンガポールはアジアで国民当たりの平均年間所得が1番高いと言われているが、それでも600万円位の筈である。
で、どうしてこんなに高いアパートや車が買えるのか?其処が不思議でならないのだが、誰もちゃんと答えてくれず、肩をすぼめるばかりである。シンガポールの怪とでも言おうか?
さあ、シンガポール滞在もあと4日を残すばかりとなった。寒いのは嫌だが、美味しい日本蕎麦とぬる燗が恋しくなって来たな。

酒匂隆雄 さこう・たかお
酒匂・エフエックス・アドバイザリー 代表
1970年に北海道大学を卒業後、国内外の主要銀行で為替ディーラーとして外国為替業務に従事。
その後1992年に、スイス・ユニオン銀行東京支店にファースト・バイス・プレジデントとして入行。
さらに1998年には、スイス銀行との合併に伴いUBS銀行となった同行の外国為替部長、東京支店長と歴任。
現在は、酒匂・エフエックス・アドバイザリーの代表、日本フォレックスクラブの名誉会員。
