国内外の銀行で為替ディーラーとして活躍され、その華麗な取引手腕から「貴公子」と称された酒匂隆雄さん。為替ディーラーの第一人者の顔とは別に、レーシング、海外旅行、ワイン・グルメに温泉旅行と、様々な趣味をお持ちで、人生を楽しく過ごすことに関しても一流人です。
このコンテンツでは、楽しい話題や日々の生活、たまには為替マーケットについて語っていただきます。
先週、駆け足でアメリカに出掛けて来た。
月曜日の夜（火曜日の午前0時5分発なので厳密には火曜日になってすぐ）に羽田を発って、月曜日の午後5時45分にサンフランシスコに着き、金曜日の深夜（土曜日の午前1時35分なので厳密には土曜日）にサンフランシスコを発って、日曜日の午前4時45分に羽田に着くと言うハードスケジュールであり、カミさんに言わせると「ばっかみたい、少しゆっくりすればいいじゃない！」らしいのだが、せっかちの筆者は用事が終わったらなるべく早く家に帰りたいのである。
月曜日の夕方にサンフランシスコに到着して市内に一泊。翌火曜日にサンフランシスコから約2時間のぺブル・ビーチに移動。そしてぺブル・ビーチのロッジに3泊して水曜日にぺブル・ビーチ・ゴルフ・リンクス、木曜日にサイプレス・ポイント、そして最終日の金曜日にスパイグラス・ヒル・ゴルフ・コースでプレーした。
ここ数年ゴルフは「飛ばず・寄らず・入らず」の『さんず』の川に足をどっぷりと踏み込んで『ゴルフは止めた』のだが、ほぼ25年近く続けている筆者とアメリカ人7人との「アメリカの名門コースでプレーする」と言うこの企画は別物で、これには必ず参加することにしているのだ。
サンフランシスコからぺブル・ビーチに移動する際に大チョンボをした。何と滞在したフォーシーズン・ホテルの部屋の金庫にパスポートと現金を置き忘れたのである。わざわざ筆者と会う為にフロリダから来てくれた大親友と移動中の車の中で気付いたのだが、真っ青になった。
「いけね、ホテルにパスポートと現金を置き忘れた。悪いが引き返してくれ。」と頼んだら「大丈夫だよ。FedExに頼めばいいさ。」とケロッとしている。おいおい、現金は兎も角、パスポートだぞ。手元に戻って来なかったら日本に帰国出来ないではないか！
急いでフォーシーズン・ホテルに電話をして「30分前にチェックアウトした者だが、部屋の金庫にパスポートと現金を置き忘れた。ぺブル・ビーチ・リゾートのロッジに送ってくれないか？」と早口で話したら、数秒後の沈黙の後「Excuse me. Do you want me to connect you to the Front Desk ?」（あのう、フロントデスクにお繋ぎしますか？）と言われた。
がくっ。そうだ、最初に出るのは電話のオペレーターではないか？フロント・デスクに繋いで貰って事情を話したら「I will transfer your call to the Security Department.」（お電話をセキュリティー部門に回します。）と言われて咄嗟に嫌な予感がした（たらい回しにされる？）がそれは杞憂に終わった。事情を話すと「今から部屋に行ってチェックし、折り返します。」と言って約10分後に電話があり、「無事に発見しましたので12時間以内にぺブル・ビーチ・リゾートのロッジにお送りします。クレジットカードの番号を教えて下さい。」と言われてそうすると、翌日ゴルフのプレーを終えるとちゃんとフロントに届いていた。
これは日本には無いサービスですな。しかし我ながら見っとも無い事をしでかしたものだが、無事に戻ってきて良かった！
水曜日にプレーしたぺブル・ビーチ・ゴルフ・リンクスは1919年に作られ、これまでに5度の全米オープンが開催されてご存じの方も多かろう。コースの全長は6,828ヤードで飛ばない筆者には辛いコースである。写真はぺブル・ビーチ・ゴルフ・リンクスの18番ホール。
木曜日にプレーしたサイプレス・ポイント・ゴルフ・クラブはメンバーが250人のクラブで、全米で2番目に人気が有り（1番はオーガスタ・ナショナル）、かつてジョン・F・ケネディー元大統領がレストランへの入店を断られた程、排他的で有名である。此処でプレーすることは大変難しくて、此処でプレーした日本人の数はほんの一握りの筈である。写真はサイプレス・ポイント・ゴルフ・クラブの名物16番ホール。
最終日金曜日にプレーしたスパイグラス・ヒル・ゴルフ・コースはぺブル・ビーチに在る五つのコースで最も難しいとコースと言われており、そのグリーンは物凄く早くてボールをピンの上か横に付けたらスリー・パットは覚悟しなくてはならない。下の写真はスパイグラス・ヒル・ゴルフ・コースの確か17番ホール。
ゴルフを止めた筆者にはゴルフのプレーよりも後のワインが楽しみである。食事は量が多過ぎて苦痛以外の何物でもない。ワインは人よりも沢山飲んだが食事は半分以上残した。とてもではないが食べ切らない。それを見て友人のアメリカ人が「Are you sick ?」（具合でも悪いのか？）と聞いてきたので、「You are sick.」（そんなに食べるお前がビョーキなんだよ。）と言ってやったら首をすくめていた。下の写真はデザートに出て来たアイスクリーム。
駆け足旅行であったが、余り時差ぼけには悩まされない。コツは飛行機の中で到着地の時間に合わせること。今回は日本時間火曜日午前0時5分に出発したが、これはサンフランシスコとは16時間の時差があって、現地時間では月曜日午前8時5分。現地の朝なのだから飛行の中ではなるべく寝ない様にする。そして現地に着いたら(午後5時45分)ワインを飲んでさっさと寝て、夜中に目が覚めてもじっと目を瞑っていれば宜しい。
帰りは逆である。サンフランシスコ土曜日の午前1時30分は、日本時間で土曜日の午後5時30分。ちょっと早いがまたワインでも飲んで耳栓とアイ・マスクをして寝る様に努めていればあっと言う間に寝ている。到着2時間前の日曜日午前3時頃に起こされるが、食事をしたくなければ午前4時まで放っておいてくれる。
ゴルフ三連チャンで、しかも連日歩いたので少々疲れたがまあ所詮は遊びなので文句は言えない。
来年は何処に行くのだろうか？
酒匂隆雄 さこう・たかお
酒匂・エフエックス・アドバイザリー 代表
1970年に北海道大学を卒業後、国内外の主要銀行で為替ディーラーとして外国為替業務に従事。
その後1992年に、スイス・ユニオン銀行東京支店にファースト・バイス・プレジデントとして入行。
さらに1998年には、スイス銀行との合併に伴いUBS銀行となった同行の外国為替部長、東京支店長と歴任。
現在は、酒匂・エフエックス・アドバイザリーの代表、日本フォレックスクラブの名誉会員。
