
国内外の銀行で為替ディーラーとして活躍され、その華麗な取引手腕から「貴公子」と称された酒匂隆雄さん。為替ディーラーの第一人者の顔とは別に、レーシング、海外旅行、ワイン・グルメに温泉旅行と、様々な趣味をお持ちで、人生を楽しく過ごすことに関しても一流人です。
このコンテンツでは、楽しい話題や日々の生活、たまには為替マーケットについて語っていただきます。
先週書いた遊楽三昧でその前の週に行った香港での食事、そしてボート・パーティーの遊楽ぶりをご披露したが、帰りのJAL便で面白い事が有ったのでご披露しよう。
行きはSKY SUITEと言って各座席がセパレートされており、離着陸時以外は隣の人とは顔も合わせる必要も無いし、廊下に出る通路も独立している席であった。これは窓側に座っていてもお手洗いに行く度に「ご免なさい。」と通路側に座る人に言う必要も無い。これは優れものである。残念ながら今回は写真が用意できなかった・・・下のリンクからSKY SUITEがどのような席か見ることができるので、見てみてください。おススメです。
>JAL SKY SUITE STYLE
ところが帰りの便は「SHELL FLAT NEO」と言って席が並んでおり、好むと好まずとに拘わらず隣の人と顔を合わせざるを得ない。筆者はJALに乗る時は必ず1-K(一番前の右の窓側の席)に座ることにしているのだが、大体隣の1-Hは空いている事が多い。(理由は1-Hと1-Kはネットで座席指定出来ないからである)
今回のJAL736便に乗り込んだら、珍しく1-Hに先客が座っている。坊主頭で色付きの眼鏡を掛けてイヤフォンで音楽を聴いており、すっかり「ちょっとうるさい」香港人かと思って、前を通って自分の席に着く前に「Good morning(お早う御座います)」と英語で話し掛けた。直ぐには気付かず、イヤフォンを取って怪訝な顔をしていたのでむっとした顔をして「I said, good morning(お早う御座います、と言ったんだよ)」と言ったら向こうも「Good morning(お早う御座います)」と答礼してきた。ふーん、まともじゃん。
席に着いて食事のメニューを見ていると、その香港人もどきが「On the way back from your business trip ?(お仕事のお帰りですか?)」と話し掛けてきた。「No, I was in Hong Kong just to enjoy the food on Friday, and the boat party on Saturday. It was purely for a leisure.(いいえ、香港には金曜日に食事、そして土曜日にボート・パーティーを楽しむ為に来ました。全くの遊びです。)」と答え、「What about you ?(で、貴方は?)」と聞くと、「私は香港に会社を持っており、今日は日本に立ち寄って明日からメルボルンに発ちます」と言う。
「そうですか、私は15年前に銀行をリタイアし、今は細々と個人で為替のトレーディングをしております」などと他愛の無い話を続けていた。勿論、英語で!何だ。この親父、少し恐ろしそうな顔をしているけど中々良い奴ではないかと思っていたら、どうも話の内容(香港、東京、そしてメルボルンを行ったり、来たりしている。今は気候的にもメルボルンが一番いいね、etc)を吟味していると香港人ではない様な気がしてきた。
「May I ask your nationality?(貴方、何人?)」とは聞けないので「Where is your main domicile?(メインの居住地は何処なの?)」と聞いたら「Well, it must be Japan where I was born.(うーん、やはり母国である日本かな?)」と言うので、「Are you Japanese?(貴方は日本人?)」と聞いたら、「Yes, I am.(そうです)」、「What about you?(で、貴方は?)」と先程筆者が聞いた同じ質問をしてきた。
「あのう、私も日本人です。」と日本語で答えると、「あらあ、すっかり香港の方かと思っていました。」と言う。「私も貴方は香港の方かと思っていました。」で二人で顔を見合わせ、大笑い。すっかり意気投合した。その後色々話を続けると(勿論、今度は日本語で)、その方は筆者が勤めていた銀行のお客さんでもあった大手商社を若くして退職して、エネルギー関係の仕事をされており、沢山の共通の友人がおり、成田に着くまで約4時間二人で喋り続けた。実に愉快な旅と成った。
しかし知らなかったとは言え、日本人同士が英語で話していたのは滑稽でありましたな。
話は変わるが、筆者の大好きな「シャングリ・ラ ホテル シンガポール」が供与してくれる「Golden Circle Point」の多くがこの12月にExpire(期限切れ)するので、その消化試合で短期間であるが12月6日から16日までValley Wingに滞在する事にした。自分の往復のフライトは取れたのだが(ちゃんと料金を払って)カミさんのフライトが片道の行きの分しか取れていない。
詳しい仕組みは知らないが、カミさんの帰りのフライトはウェイティング・リストに載っており、有効期限は1週間である。先週の火曜日に申し込んで今日が期限。今日新たにウェイティング・リストに載せて貰うと有効期限は来週の火曜日の9月27日となり、それまでに席が取れないとまた新たに延長しなくてはならない。ところがその来週の火曜日の27日からアメリカに出掛ける予定があるので、ちょいとややこしい。
「もう面倒臭いから、帰りの便は今日料金をお支払いして確定しちゃいますかね?」とJALのおねえさんに言ったら、「いえいえ、これだけマイレージ・ポイントをお持ちなので勿体無いです。前日の26日にもう一度お電話を頂いて、1日前にさらに1週間の期限延長をなさったら如何ですか?」と親切に教えてくれる。
それはそうだ!この前シンガポールに居る時にも帰りの便の座席が変更になりますとわざわざホテルに電話をくれた。
JALは天晴れである!頑張れ、JAL!(お願いだから機内食をもう少し美味しくして頂戴な・・・)

酒匂隆雄 さこう・たかお
酒匂・エフエックス・アドバイザリー 代表
1970年に北海道大学を卒業後、国内外の主要銀行で為替ディーラーとして外国為替業務に従事。
その後1992年に、スイス・ユニオン銀行東京支店にファースト・バイス・プレジデントとして入行。
さらに1998年には、スイス銀行との合併に伴いUBS銀行となった同行の外国為替部長、東京支店長と歴任。
現在は、酒匂・エフエックス・アドバイザリーの代表、日本フォレックスクラブの名誉会員。
