
国内外の銀行で為替ディーラーとして活躍され、その華麗な取引手腕から「貴公子」と称された酒匂隆雄さん。為替ディーラーの第一人者の顔とは別に、レーシング、海外旅行、ワイン・グルメに温泉旅行と、様々な趣味をお持ちで、人生を楽しく過ごすことに関しても一流人です。
このコンテンツでは、楽しい話題や日々の生活、たまには為替マーケットについて語っていただきます。
五月、いい季節ですね。
数週間前までしとしと雨が降り、また突風が吹いたりして不順な天気が続いたのが嘘の様だ。(と言っても今日の関東地方は雨と風で鬱陶しいが.....)
勝手なもので冬は寒くて嫌だと言い、夏は暑くて嫌だと言う。
秋はもの寂しくて好きではないが春は本当に気持ちが良い。我が家は海が見える丘の東南の角の一階に在るのだが、春になると一斉に花が咲きだして中々奇麗である。
名付けて「本牧花壇」。手入れは全てカミさん任せでこちとらは「へー、奇麗だな。」とか多少のお世辞を言っていればそれで宜しい。
上の写真は先程撮ったものだが、2週間前の雨と突風で花が相当やられてしまって、ちょっと寂しいな。
さて、ゴールデン・ウィーク中に一時105.55まで下げたドル・円相場は麻生財務大臣の「もう勘弁ならねー!円売り介入も辞さない。」との強気な発言を受けてじり高となり、先週は109.55の高値を付けたがドルの頭も重い。
110円に近付くと輸出業者の実需のドル売り意欲が台頭し、それがドルの頭を押さえている事もあるが麻生さんの「勘弁ならねー!」に対してアメリカは、
「何言ってやがんでー!あれだけ経常黒字を貯め込んでよく言うぜ。75円から125円に行った時(実に50円(67%))には何も言わないで、125円から105円まで落ちたら(たった?20円(16%))ぎゃーぎゃー騒ぐのか?」と一歩も引かない。
今週27日~28日に仙台でG7蔵相・中央銀行総裁会議が開催され、当然為替相場の話が話題になるであろうが麻生財務大臣対ルー米財務長官の丁々発止から目が外せない。
日本を除くG7各国(G6)が麻生さんに同情すれば介入無しでも112円。逆にルー財務長官の議論に賛同すれば再び105円をトライする可能性も有る。
良く分からないがどうも後者の方の可能性が高い気がしてならない。

最近面白い傾向を発見した。
個人投資家が為替市場に与える影響は此処10年くらいで様変わりとなり、昔の輸出のドル売り、輸入や資本筋のドル買いよりも大きなインパクトを与える事が多い。彼らはドルが上がると思えば買い、下がると思えば売って為替益を得ようとする。その彼らが最近は「よく分からないから市場の動きに逆らわない様にしよう。」といわゆる逆指値のオーダーを入れているのである。
上の表はある大手外為取引業者が自社の顧客が火曜日午前11時10分時点で、どのレベルで売買オーダーを入れているかを表しているが極めて興味深い。左が売りオーダーで右が買いオーダーであるが、109.15にドルが上昇すると売りたいと言うオーダーが2百万ドルあるが、同時に109.15に上昇すると逆指値でドルを買いたいと言うオーダーがその2倍の4百万ドルも有る。
この逆指値が何を意味するかと言うと、上がったら売る(逆張り)のではなく買って既存の売り持ちポジションの損失を確定するか、或いはドルの上昇に乗っかって積極的にドルの買い持ちにしたい(順張り)投資家がいっぱい居るということである。面白いですね。
相場はどう動くか分からない。何時も言う様に丁寧にやりましょう!

酒匂隆雄 さこう・たかお
酒匂・エフエックス・アドバイザリー 代表
1970年に北海道大学を卒業後、国内外の主要銀行で為替ディーラーとして外国為替業務に従事。
その後1992年に、スイス・ユニオン銀行東京支店にファースト・バイス・プレジデントとして入行。
さらに1998年には、スイス銀行との合併に伴いUBS銀行となった同行の外国為替部長、東京支店長と歴任。
現在は、酒匂・エフエックス・アドバイザリーの代表、日本フォレックスクラブの名誉会員。
