
国内外の銀行で為替ディーラーとして活躍され、その華麗な取引手腕から「貴公子」と称された酒匂隆雄さん。為替ディーラーの第一人者の顔とは別に、レーシング、海外旅行、ワイン・グルメに温泉旅行と、様々な趣味をお持ちで、人生を楽しく過ごすことに関しても一流人です。このコンテンツでは、楽しい話題や日々の生活、たまには為替マーケットについて語っていただきます。
為替相場だが、先週は突然の中国人民銀行による人民元の切り下げ騒動で結構荒れた。
週の値動きこそ高値125.28、安値123.79と余り大きいものではなかったが、切り下げの影響が日本を始め世界中の金融市場にどう影響を与えるのかがよく分からず、何だか消化不良の様な感じであった。
たとえば切り下げ当日の火曜日は"人民元安につられて円安に成るだろう。"との思惑で125.20までドル・円相場は上昇したが、翌日は逆に"リスク・オフの動き(金融市場の動揺を嫌気してリスク資産から脱却を図る)が出れば円高に成るだろう。"との思惑が台頭して週の安値の123.80まで下落した。
お盆休みなのにうかうかとのんびりしていられなかった。今週も米国利上げ時期の憶測を巡ってはっきりしない相場が続くのであろうか?

先々週の土曜日、8月8日に"恥ずかしながら"68歳の誕生日を迎えた。最近フェイスブックを始めたので凄く沢山の友人から"お誕生日おめでとう"のメッセージやメールを頂いたが、正直この歳になるとどちらかと言うと"お誕生日ご愁傷様。"の方が合っているかも知れないな。
その中でも嬉しいメールがシンガポールから来た。
私はシンガポールが大好きで年に二度ほど約3週間、シャングリラ・ホテルに滞在するのだが、其処のスタッフがお誕生おめでとうメールを送って来てくれた。写真が添付されていて、それには馴染みのスタッフが満面の笑みを浮かべており、思わず微笑まざるを得ない嬉しいメールであった。写真の下にメッセージが付いており、それにはこう書かれていました。
"親愛なる酒匂様。
今日の特別の日に人生において楽しい事が有ります様にお祈り致します。
お祝いが貴重な思い出で満たされますように。
シンガポール、シャングリラ・ホテルの総ての従業員より。"
まあどうって事は無いと言えばそうなのだろうが、受け取る方としてはとても嬉しい。
実は余談が有って3週間の滞在を終えて7月に帰国した直後に"Your reward."(御礼)と称して3枚のクーポンを送って来た。1枚のクーポンで"Executive sweet."(特別スイート)に3泊アップ・グレード出来るという。3枚有るので合計9泊特別スイートにアップ・グレード出来る計算になる。
大変楽しい思いをして家に帰った途端に、"またいらして下さい。その時には特別スイートに9泊お泊り出来ますよ。"と言われれば、"うーん、やっぱりまた行かねばなるまい。"と思ってしまうではないか?そして"お誕生日おめでとう"メール。憎いなあ・・・。
Singaporean hospitality.と言う言葉がある。
"シンガポールのおもてなし"とでも訳すのかな?このおもてなしは決してホテルだからではない。多くのシンガポール人が、それはそれは親切でちょっと困惑するくらいもてなしてくれる。
断らないと入れ替わり立ち替わりで毎日の様に食事に誘ってくれる。こっちは"何もしないでボーッとするためだけ"にシンガポールに来ているので、"そっとしておいて"と思うのだが、そうはいかない。嬉しい悲鳴である。
円安と物価高のせいでシンガポール旅行は随分高く成ったと感じる。昔は空のスーツケースを持って行って帰りには靴やらシャツやら一杯買って来たものだが、今はどちらかと言うと日本で買う方が安いかも知れない。
すでに外貨資産を持っている人や輸出業者は円安歓迎だろうが、これから外貨資産を持とうと考える人や輸入業者、そしてしょっちゅう海外に出かける人にとっては、円安はかったるいなあ。


酒匂隆雄 さこう・たかお
酒匂・エフエックス・アドバイザリー 代表
1970年に北海道大学を卒業後、国内外の主要銀行で為替ディーラーとして外国為替業務に従事。その後1992年に、スイス・ユニオン銀行東京支店にファースト・バイス・プレジデントとして入行。さらに1998年には、スイス銀行との合併に伴いUBS銀行となった同行の外国為替部長、東京支店長と歴任。
現在は、酒匂・エフエックス・アドバイザリーの代表、日本フォレックスクラブの名誉会員。
