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フライングバックジャパン34
インタビュー:2020年3月11日

新型コロナウィルスによるパンデミックは引き金でしかない

2月の後半から、世界中で急激に株安が進みました。きっかけはコロナウイルスの世界的な蔓延です。さまざまなところで自粛ムードが高まり、人やモノの移動が強く制限されるようになりました。このままで経済は持つのでしょうか。経済活動が低迷すれば、マーケットにも影響が及んできます。これからの株価、為替、金などの動きについて、ワカバヤシFXアソシエイツ代表の若林栄四氏に伺いました。

以前から若林氏が明言されていたNYダウの下落が始まった

――

ニューヨーク・ダウは2月12日に2万9551ドルの高値を付けた後、このコロナ騒動で2万ドル割れ寸前まで下落しました。やはりコロナウイルスによる経済活動の低迷が嫌気されているのでしょうか。

若林

前々から申し上げているように、米国経済はバブルです。バブルは必ず破裂する。だから大きく下げるのは当然のことです。そのように申し上げてきましたが、正直、何がきっかけでバブルが破裂するのかは、私も分かりませんでした。

現時点では、コロナウイルスの世界的な蔓延をきっかけにして下落相場に突入しているように見えますが、きっかけは何でも良かったのだと思います。確実に言えるのは、これまでの米国経済はバブルであり、それはどこかの段階で必ず弾けるものだということです。

若林栄四
若林

もし、今回の下げが本当にコロナウイルスの蔓延に端を発するものだとしたら、どこかで株価は底を打ち、上昇へと転じるでしょう。SARSや新型インフルエンザの時もそうでしたが、ウイルス騒動なんてものは、どこかの時点で必ず終息します。そして、騒動が終息に向かうのと前後して、株価は上昇局面へと向かいます。

しかし、今回はそうはいかないでしょう。瞬間、上昇する場面はあると思いますが、株価は上がりきらずに再び下落へと向かうはずです。なぜなら、今回の株価下落はコロナウイルスの蔓延が原因ではなく、バブルの破裂が本質だからです。

 

NYダウ

――

そうなると、米国経済はこれから更に冷え込んでいくということでしょうか。

若林

そう考えるのが妥当です。確かにこれまでも幾度となく株式市場にショックが走り、株価が急落するのと同時にゴールドが売られたり、原油が20ドル台まで下落したりしたことはありましたが、株価自体は直近高値から20%も下げないところで止まり、上昇へと転じてショックを乗り越えてきました。それが可能だったのは、サービス産業と個人消費がしっかりしていたからです。

では、今回はどうかというと、コロナウイルスの拡散防止のため、人々の外出が大幅に制限されています。実際、外食産業はほぼ壊滅状態ですし、地下鉄もガラガラです。これがどの程度、景気にネガティブな影響を及ぼすのか未知数ですが、かなりのダメージになる恐れがあります。

また、これまでの株価下落が20%に達しないところで反発したのに対し、今回の下落率はすでに30%に達しました。これが何を意味するのかを考える必要があります。

なぜ、今まで米国株が順調に値上がりを続けて来られたのか。その理由のひとつが自社株買いです。企業が銀行から巨額な資金を借り入れて、それを元手にして自社株を買っていたわけですが、借りている資金ですから当然、返済する必要があります。

景気が好調で銀行の収益が堅調に上がっている時であれば、急に返済を求められることもありませんが、今は逆イールドといって短期金利が長期金利を上回っている状態ですので、短期で資金を調達して長期で貸し出す銀行は収益が上がりません。加えてこの株安ですから、銀行はこれから貸し出しをきつく締めてくるでしょう。そうなると、資金繰りに窮した大企業が倒産し、さらにその企業に多額の資金を融資している銀行も連鎖的に破綻しかねません。まさに悪循環です。

原油価格続落の影で米国潰しか!?

――

それに加えて原油価格の下落も気になるところです。

若林

今や世界一の産油国となった米国ですが、それを支えているシェールオイルは多額の設備投資を行うことによって初めて産出されます。サウジアラビアなどは1か所の油井から長期にわたって石油を採掘できるのですが、米国のシェールオイルはせいぜい1年程度しか産出できません。なので、次々に別の場所にリグを打ち込んで採掘しています。

結果、確かに石油は採掘できるものの、シェールオイルはどうしてもコスト高にならざるを得ません。現時点でも、1バレルあたりの採掘コストは50ドルと言われています。つまり原油価格がこれを上回っていないと、米国のシェールインダストリーは経営難に追い込まれてしまいます。

しかも、ここにも銀行は多額の資金を貸し込んでいますから、もし銀行が融資を引き揚げるということになったら、シェールインダストリーの経営は一気に傾くでしょう。しかも、シェールインダストリーは石油を採掘するため、さまざまな機械を購入していますから、経営破綻などが起ころうものなら、機械産業にもネガティブな影響が及んでいきます。

 

 

最近、サウジアラビアとロシアが原油価格競争を繰り広げています。サウジを含むOPEC諸国とロシアは当初、石油価格を維持するため減産の方向で話し合っていましたが、交渉は決裂して一転、両陣営とも増産体制に踏み切りました。結果、原油価格は1バレル=30ドル割れの水準まで下落しているのですが、これは一見、サウジとロシアのケンカのように見えて、実は米国のシェールオイルを潰そうとしているのではないかという見方も出来ます。

現在、米国のシェールインダストリーは、銀行からの借り入れの他、ジャンク債を発行して資金調達をし、その資金を設備投資に回しているわけですが、もし、このジャンク債とトレジャリーの金利差が10%程度まで広がったら、いよいよ米国のシェールインダストリーの経営が危機的水準に近づいていると考えられます。ちなみに現時点の金利差は6~7%なので、これが今後どう動くのかを注視していく必要がありそうです。

米株・ドル円の動きは?

――

米国の株安はいつまで続くのでしょうか。

若林

先にも申し上げましたが、コロナウイルスの問題が解決に向かったとしても、株価は戻らないでしょう。これから米国経済に起こるのは、失業率の上昇と大型倒産、それによるクレジット危機、そして大不況の到来です。当然、株価は大きく下落します。

正直、どこまで下がるかは分かりません。現在、ニューヨーク・ダウは何とか2万ドル前後を維持していますが、下手をすれば1万ドル割れも覚悟しておいたほうが良いかも知れません。ちなみに昨年出版した「パーフェクトストーム」では、1万2201ドルもしくは8701ドルのいずれかをターゲットにしました。

時期的には2023年とみています。1929年の大恐慌、2000年のITバブルからの株安のパターンで考えると、株価下落は12四半期続くことになるからです。つまり株価下落はまだ始まったばかりということです。

 

――

ドル円はどうなるのでしょうか。

若林

これも前々から申し上げていますが、いよいよ1ドル=65円が見えてきたと考えています。

そこまで行くはずがないという意見もありそうですが、それは相場を知らない人間の言うことです。一度、走り出した相場はなかなか止まりません。そもそもドル円だって、2月には1ドル=112円前後で推移していましたが、その時、わずか2週間で1ドル=101円台まで行くなんて、誰も考えていなかったと思います。でも、相場ですから行く時は行くのです。

ドル円は2011年10月に1ドル=75円のボトムを付けた後、2015年6月に125円の天井を付け、そこから2016年6月にブレクジットの影響で99円まで下げてから、同年12月に米国の利上げを受けて118円を付けました。

以来、ドルの高値はずっと右肩下がりで、安値は右肩上がりが続いてきたわけですが、もしここで1ドル=99円を割るような動きになると、今度はドルの安値も右肩下がりになります。これが強烈な円高の前兆です。

この状況を回避するためには、1ドル=118円を超えるドル高に転じる必要がありますが、現状、その可能性は極めて低いと考えられます。結果、ドルには猛烈な下げ圧力が加わり、1ドル=65円の道筋が見えてくると考えています。

 

日本株、金はどうなる?

――

そうなると日本株の行方が気になります。

若林

日経平均は2008年に6994円まで下げていて、これがボトムとなっています。一方、年足で見た時の絶対的なレジスタンスは2万3960円であり、瞬間的にこの水準を超えたことはありましたが、長続きしませんでした。

今の流れで行くと、今年前半で1万7000円前後と考えられますが、中長期的にはまだ下げます。2023年で1万4800円、もしくは1万3000円をターゲットとしてみています。

もちろん、日銀がETFを買って買い支えるという見方はありますが、こんなものは何の役にも立ちません。相場ですから、一度動き出したら止まらないでしょう。そもそも2012年から2015年までのドル高だって、アベノミクスの名のもとに無理やり作り出された人為的なものでしたから、そこには非常に大きな歪みがあると見るべきです。その歪みが正常なところまで揺り戻されるのですから、この先、大幅なドル安と日本株安は避けられないと思うのです。

――

最後に金価格はどうなると見ていますか。

若林

もちろん上昇します。やや下押しして1トロイオンス=1500ドル割れになったりしていますが、大きな流れは上です。年内、1920ドルの高値を超えるかどうかが注目点でしょう。

金はコモディティと見なされていますが、実際には通貨の側面もあります。昨今の為替相場は、円高はもちろんのことユーロ高も進んでいますから、主要通貨に対してドルは弱含みです。ドルが弱くなれば金は買われますから、ここから先は上昇トレンドに入ります。来年には2100ドルも十分に考えられます。

――

ありがとうございました。



若林栄四氏プロフィール

若林栄四  わかばやし・えいし

ワカバヤシ エフエックス アソシエイツ代表

1966年東京銀行(現、三菱東京UFJ銀行)入行。シンガポール支店、本店為替資金部及びニューヨーク支店次長を経て勧角証券(アメリカ)執行副社長を歴任。現在、ニューヨークを拠点として、ファイナンシャル・コンサルタントとして活躍する傍ら、日本では株式会社ワカヤバシ エフエックス アソシエイツ(本邦法人)の代表取締役を務める。
著書:
・最新刊 黄金の相場予測2019 パーフェクトストーム』(日本実業出版社/2019年7月)、好評発売中。

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