アメリカがイランを攻撃
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トランプ大統領は、通常はアメリカ・ミズーリ州のホワイトマン空軍基地に配属されているB2.ステルス戦略爆撃機7機を18時間掛けてイラン上空まで飛ばし、バンカー・バスターと呼ばれる特殊地下貫通弾を一機当たり2個ずつ、合計14個を投下、イランの核関連施設を破壊した。これが世界経済に与える影響は甚大なものになるであろう。
2025年6月23日号
ここ数週間、週末となると雨が降る傾向が続いていたが、昨日の日曜日は久し振りに良い天気となり、朝の散歩にでも出掛けようとしていたら、とんでもないニュースが飛び込んできた。
“アメリカがイランの3か所の核関連施設を攻撃。”
あれ、トランプ大統領はイスラエルがイランを攻撃した後、イランに対して“全面降伏。”を呼び掛け、アメリカが関与(空爆?)する迄2週間の猶予を与え、その間にイランとの直接対話を呼び掛けていたのではなかったか?
その後のニュースによるとトランプ大統領は、通常はアメリカ・ミズーリ州のホワイトマン空軍基地に配属されているB2.ステルス戦略爆撃機7機を18時間掛けてイラン上空まで飛ばし、バンカー・バスターと呼ばれる特殊地下貫通弾を一機当たり2個ずつ、合計14個を投下してイランの3か所の核関連施設を破壊したと言う。
トランプ大統領は、“見事な軍事的成功を収めた。”と胸を張り、今回はTACO.=(トランプは何時もビビって止める。)の誹りを覆した。
TINAC.=(Trump Is Not Always Chicken.)=“トランプは 何時も臆病な人ではない。”とでも言うか?
筆者が咄嗟に考えた、文法的にあっているかどうかも分からない英語(本当は、Trump does not always chicken out.なのだろうが、語呂が悪い。)だが、これを伝えるとトランプは大喜びするであろう….。

何故“2週間の猶予。”の前言を翻して突然の空爆に吹き切ったかは不明だが、アメリカが直接対外戦争に関与することに大反対のトランプ支持母体のMAGA.派(米国第一主義を掲げる共和党の一派。)を説得出来る自信を得たのだろう。
まあ確かにこの攻撃は戦争ではなく、トランプ大統領に言わせれば、“イランの国家体制の転換を図るものではなく、イランの核開発能力の破壊と、世界最大のテロ支援国家がもたらす核の脅威の阻止だ。”とする、一方的なイスラエルに対する支援なのだろうが、果たして“やられっ放し。”のイランは、このまま黙っているのであろうか?
イランは既に今回のアメリカの攻撃を国際法違反だと主張して、今後も核開発を続けると共に“中東地域に居る全てのアメリカ市民と米軍は正当な標的となった。”と脅した。
制空権を持たないイランがアメリカ市民は兎も角、アメリカ軍を攻撃出来るとは思えないが、他の方法、例えばペルシャ湾の出口に位置するホルムズ海峡の封鎖とか、親米国のタンカー攻撃などの行動に出たら事は厄介となる。
世界で一日に消費する原油の20%が通過するとされるホルムズ海峡が封鎖でもされたら、原油の殆どを輸入に頼る我が国のみならず、世界経済に与える影響は甚大なものとなることであろう。
イランがどう出るかは全く分からないが、攻撃後に一番最初に開いた東京市場の反応は、割合落ち着いたものであった。

日経平均株価は一時377円安の38,026迄下落したが、徐々に値を戻して午後1時前の現在は38,250と約150円安となっている。
午後2時半過ぎの現在は、38,345迄上昇している。
円相場は146.44と、ニューヨーク市場の金曜日の終値146.09から僅かに円安気味で始まった後、“リスク・オフの円買い。”で146.15迄下げた後は、今度は“有事のドル買い。”でじり高となり、午後1時現在で146.70近辺で、割合静かな動きを見せている。
注目の原油価格も、午後1時現在でWTI.原油先物は75.35ドルとニューヨーク市場の現物価格73.84ドルから1.51ドルの凡そ2%の上昇に留まっており、意外に(?)静かな相場展開なっているが、この様な突発的な地政学的リスクは何時、どの様に変化するかが全く分からない。
午後2時半過ぎの現在は74.83ドルと、僅か1.3%の上昇に留まっている。
本来であれば市場では先週開催された日銀政策決定会合とFOMC.についての議論が為されるのであろうが、両者共に政策変更無し。
基本的には両者共に、“関税の影響を見極めたい。”と片や利上げ(日銀)、もう片方は利下げ(FRB.)のファイティング・ポーズを保ちながらの静かな試合運びを行うのであろう。
筆者は中・長期的なドルの下落シナリオは全く変えていないが、今回の中東情勢の悪化と、ドル円相場が145.50のレジスタンス(上値抵抗線)を上切ったことで、Sell on rallies.=(ドルが上昇すると、売り向かう。)からSell on dips.(ドルが下がったら、追っ掛けて売る。)に戦略の転換を図りたい。
Sell on dips.とは、現状の様に相場が不安定、或いは円安に行く可能性が大の時は何もせず、ドルが天井を打った事を確認するか、或いはドルが下がり出してテクニカル上のサポート(下値支持線)を下切った時に敢えて下げ相場に乗ってドルを売る戦略である。
下げている相場に乗じて売るのには勇気が要るが、“未だ、下がる!”と思えば、怖くはない。
と、このレポート書いている午後2時過ぎには147.20を超えて来たが、この様な上げ相場に対して売り向かうは愚の骨頂。
短期的に何処まで上げるかを見極めたい。
先週の木曜日が、アメリカの奴隷制廃止を祝う祝日でニューヨーク市場が休日であったせいか、先週のシカゴ・IMM.の投機筋のポジションが発表されていない。
先々週までは、僅かではあるがじわじわと円・ロング(ドル・ショート)ポジションを縮めて来たが、先週の火曜日に145円を超えた時点でどの様なポジションの変化が有ったか、見ものである。
因みに、我が国個人投資家は4億ドル買い持ちを増やして、6月17日時点で9億ドルの買い持ちである。
今週のテクニカル分析
見立ては、更なるドルの上伸を見込む。
今週のレンジ
ドル円:144.00~148.50
ユーロ円:167.00~171.00



酒匂隆雄 (さこう・たかお)
酒匂・エフエックス・アドバイザリー 代表
1970年に北海道大学を卒業後、国内外の主要銀行で為替ディーラーとして外国為替業務に従事。
その後1992年に、スイス・ユニオン銀行東京支店にファースト・バイス・プレジデントとして入行。
さらに1998年には、スイス銀行との合併に伴いUBS銀行となった同行の外国為替部長、東京支店長と歴任。
現在は、酒匂・エフエックス・アドバイザリーの代表、日本フォレックスクラブの名誉会員。
公式ブログ:酒匂隆雄が語る「畢生の遊楽三昧」
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