酒匂隆雄の「為替ランドスケープ」 

欧米対立

2026/01/19

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トランプ政権によるグリーンランド問題を巡る強硬姿勢が、欧米対立を鮮明にした。関税発動、ドル離れの兆し、そして介入警戒が強まるドル円相場。2026年に向けたドルの脆弱性と為替市場の分岐点を読み解く。 この記事で分かること:欧米対立の構図/ドル資産からの脱却リスク/ドル円の警戒水準

正月早々、一方的にベネズエラを攻撃してマドゥラ大統領夫妻を拘束・連行した、ならず者トランプが、また暴挙に出た。

米国によるデンマーク自治領のグリーンランド領有を巡り、トランプの狼藉に反対する欧州8ヶ国からの輸入品に対して2月1日から10%の追加関税を課すと発表した。

6月1日には25%に引き上げ、“完全かつ全面的な買収に関する合意が成立するまで。”関税を掛け続けるとしている。

これに対して8ヶ国は共同声明を発表して、“デンマークとグリーンランドに対する完全な連帯。”を表明して、激しく反発している。

EU(欧州連合)は、“欧州は結束と協調を保ち、主権を守る為に全力を尽くす。”と言い、関税が発動された場合の対抗措置を検討し始めた。

スターマー英国首相は、“NATO(北大西洋条約機構)の集団安全保障に貢献しようとしている同盟国に関税を掛けるのは間違いだ。”との声明を出したが、アメリカはNATOの一員であり、まあこれはロシアと中国を利するだけの仲間割れの様なものとしか思えない。

グリーンランドの殆どの住民がアメリカによる領有に反対しており、新たなMAGAなる言葉が生まれたらしい。

最初のMAGAはトランプがアメリカ第一主義を標榜して、「Make America Great Again(アメリカを再び偉大にしよう)」と唱えたものだが、グリーンランド住民は「Make America Go Away(アメリカは出ていけ)」をもじっていると言う。

笑ってしまった。

この欧米対立で懸念されるのは、既にロシアと中国が行ってきた、ドル資産からの脱極である。

ロシアと中国の場合は、制裁としてアメリカ国内の資産凍結や、ドル決済から締め出されて「Exodus from US Dollar(米ドルからの脱出)」を余儀なくされてきたが、これからは欧州のSovereign(国家、主権者)や機関投資家からのドル資産からの脱極が起きても不思議ではない。

筆者は2026年は円安要因とドル安要因の鬩ぎ合い続き、結局ドルは大きく下げると考えているのだが、今回のトランプの暴挙で、益々“ドルは買えない。”状況が続くと考えている。

日本に目を向けると、今晩高市総理が記者会見を開いて衆議院を解散すると正式に表明すると思われるが、昨年10月4日の高市総裁誕生後の“高市トレード第1弾”で147円から153円台まで上昇し、10月21日の高市首相誕生後の“高市トレード第2弾”で151円から157円台まで上昇し、又今回の解散検討報道を受けた“高市トレード第3弾”で154円から159円まで上昇したドル円相場であるが、159.45を高値として本日は157.43まで2円近く下落している。

先週から片山財務相や三村財務官の、ドル売り&円買い介入に対しての発言のトーンが強まっており、“お化け。”が出る可能性は益々強まっていると感じる。

個人的には、“必ず出る。”と確信している。

もう一度アメリカに目を向けると、上のグリーンランドに対するトランプの狼藉のみならず、同じくトランプによるFRB.に対しての“中央銀行の独立性。”に対する挑戦など、矢張りアメリカの通貨であるドルの脆弱性を憂慮せざるを得ないと感じる。

そんな中、ついにシカゴ・IMMの投機筋がタオルを投げて、円・ロング(ドル・ショート)に転じて、1月12日時点で約6億ドル相当の円・ショート(ドル・ロング)にドテンした。

彼らは中央銀行の動向や政治関連の動きに敏感であるが、日銀による利上げ、そしてFRBの利下げに関してそのペースに落胆し、同時に“高市トレード第3弾”を過剰に期待している節がある。

我が国個人投資家は介入警戒感を持っているらしく、1月13日付けで約7億ドルのドル・ショートを保持している。

今週は22日~23日の予定で日銀政策決定会合が開催されるが、政策変更は無く前回市場の失望を買った中立金利予想に関して、植田総裁がどの様な形で“タカ派的スタンス。”を示すかが注目される。

今週のテクニカル分析

下サイドへのブレークに注意。

今週のレンジ

ドル円:155.50~158.50
ユーロ円:182.00~185.00

酒匂隆雄

酒匂隆雄 (さこう・たかお)

酒匂・エフエックス・アドバイザリー 代表
1970年に北海道大学を卒業後、国内外の主要銀行で為替ディーラーとして外国為替業務に従事。
その後1992年に、スイス・ユニオン銀行東京支店にファースト・バイス・プレジデントとして入行。
さらに1998年には、スイス銀行との合併に伴いUBS銀行となった同行の外国為替部長、東京支店長と歴任。
現在は、酒匂・エフエックス・アドバイザリーの代表、日本フォレックスクラブの名誉会員。


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