酒匂隆雄の「為替ランドスケープ」 

トリプル安。

2026/03/09

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イラン情勢が混沌とする中、週明けの東京市場では大幅な株安となり、また原油価格の暴騰がきっかけとなり、正午現在で日経平均株価は3880円安の51740円で金曜日から凡そ7%も下げ、又10年債利回りも2.224%で0.064%上昇し(債券価格は下落。) そしてドル円相場は158.70と此方も1円近くドル高&円安が進んで、正にトリプル安の状況となっている。

2026年3月9日号

イラン情勢が混沌とする中、週明けの東京市場では大幅な株安となり、正午現在で日経平均株価は3880円安の51740円で金曜日から凡そ7%も下げ、又10年債利回りも2.224%で0.064%上昇し(債券価格は下落。) そしてドル円相場は158.70と此方も1円近くドル高&円安が進んで、正にトリプル安の状況となっている。

この動きの大きなきっかけとなったのは原油価格の暴騰である。

正午現在でWTI.原油先物は1バレル当たり115.75ドルと、金曜日の終値90.90ドルから実に27%もの上昇を見せている。

(SBI.証券のホームページから拝借しました。)

先々週土曜日の突然のアメリカとイスラエルによるイラン攻撃により始まった今回の戦争であるが、WTI.原油先物は先週月曜日の終値は前週金曜日の67.02ドルから約6%高の71.23ドルで終えており、筆者は今回の戦争による原油価格や金融市場に与える影響はそんなに大きくはないだろうと見たが、完璧にその予想を覆された。

戦争勃発前の2月27日の終値と本日3月9日正午現在の値を比べてみると愕然とする。

ニューヨーク・ダウ日経平均米10年債利回り日本10年債利回りドル円相場
2月27日48,977.9258,850.273.948%2.110%156.12
3月9日正午現在46.507.0051,740.464.187%2.220%158.70
変化-2,470.92-7,109.81+0.239%+0.110%+2.58

正に大幅な株安、債券安(金利上昇)、そしてドル高&円安である。

中東情勢不安により、リスク・オフとなってドルが買われて株が売られたが、最も安全な資産である米国債券も売られた事は興味深い。

この様な短期的な地政学的リスクが急増している状況、特に原油価格上昇による円へのダメージが考えられる中では筆者が主張している円キャリー・トレードの巻き戻しなどの現象は、残念ながら起き難いと言わざるを得ない。 それを察してか、シカゴ・IMM.の投機筋が早々と円・ロング(ドル・ショート)から、円・ショート(ドル・ロング)にポジションをドテンして、前週のドルの売り持ち約9億ドルから先週は約13億ドルの買い持ちに転じた。

順張り(相場が上がれば追い掛けて買う。)が得意なシカゴ・IMM.としては、自然な動きなのかもしれない。

現状では残念ながらイラン情勢がどうなるかを固唾を飲んで見守るしか無いが、個人的にはこの戦争は長続きはしないのではないかと思っている。

トランプ大統領は、“戦争終結にはイランの無条件降伏が必要だ。”と意気がるが、そもそも自らが一方的に始めた戦争なのに、“どうだ、参ったか?無条件降伏せよ!”と言うのは、どうも無茶苦茶の様な気がしてならない。

とは言え、最高指導者を始め政権を支えて来た要職者の殆どが爆殺され、制空権はおろか制海権も殆ど失ったイランの抵抗が長続きするとは思えない。

原油価格の高騰により日本のダメージは相当なものであるが、実はアメリカもトランプによる関税の引き上げを企業が販売価格に転嫁する動きもまだ続いており、米個人消費支出(PCE)物価指数は2025年12月時点で前年同月比2.9%上昇し、目標の2%を上回ったままであり、このままでは景気後退と物価上昇が同時進行するスタグフレーションへの懸念が高まりつつある。

要するに我が国も大変だがアメリカも同じ様な目に遭っており、トランプは早急にイラン問題を解決しないと、今秋の中間選挙での敗北の可能性が益々高まる状況であると言えるのだ。

トランプは、“短期的な原油価格は、イランの核の脅威が終息すれば急速に下落するであろう。”と言い切ったが、あながちトランプお得意の只のはったりとも言えまい。

今日、東京市場で1 月23 日にベッセント米財務長官主導によるレート・チェックと言う日米協調のドル高・円安抑制が打ち出された158円を超えて159円に迫る勢いを見せているが、当時、ベッセント氏は日本側の要請があれば日米協調の為替介入も視野に入れ ていた、と報じられている。

片山財務相は、

―為替に関しては、ファンダメンタルズを反映して安定的に推移することが望ましいのは共通認識。

―日米覚書には介入が含まれている。

―市場動向は非常に難しい状況になっているが、いつも以上に十分注視している。

と述べて一歩踏み込んだ口先介入を行ったが、介入の可能性は益々高まっていると確信する。

介入で一段の円安進行を止めておけば、イラン情勢が落ち着くにつれて自ずからドル高&円安の進行は収まるであろう。

とは言え、現状では自分勝手な相場観で円・ロング&ドル・ショートのポジションを構築するのはリスキーである。

一つの方法であるが、逆指値と言う方法でドルが下がり出したらそれに乗じてドルを売ると言う方法が良いのではなかろうか?

例えば158円を切ったら追い掛けて売る、157.50を切ったら更に売り増すと言う手法である。

介入が出れば4~5円はドルが下落するであろうから、この手法は試すに値すると思っている。

今週のテクニカル分析

見立ては上を目指すが、RSI.は買われ過ぎを示しており、又テクニカル分析は介入には無力である。矢張り、上の逆指値の取引が有効と思われる。

今週のレンジ

ドル円:154.00~159.00
ユーロ円:182.00~186.00

酒匂隆雄

酒匂隆雄 (さこう・たかお)

酒匂・エフエックス・アドバイザリー 代表
1970年に北海道大学を卒業後、国内外の主要銀行で為替ディーラーとして外国為替業務に従事。
その後1992年に、スイス・ユニオン銀行東京支店にファースト・バイス・プレジデントとして入行。
さらに1998年には、スイス銀行との合併に伴いUBS銀行となった同行の外国為替部長、東京支店長と歴任。
現在は、酒匂・エフエックス・アドバイザリーの代表、日本フォレックスクラブの名誉会員。


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