円のトリプル高
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先週のドル円相場は、一時157.66と3週間ぶりとなる円安&ドル高が進んだが、その後は特に円高が急速に進んで金曜日の終値は前週末と比べて日経平均株価は2688円高、10年債利回りは-0.015%(金利低下は債券高である。)、そしてドル円相場は-4円52銭と大幅な円高&ドル安となり、株高、債券高、そして円高と言う“円のトリプル高。”となった。
2026年2月16日号
先週のドル円相場は、週初こそ高市・自民党の衆院選挙に於ける“地滑り的勝利。”を受けて、昨年10月の高市政権発足以来続いていた、“株高、金利高(債券安)、そして円安。”と言う所謂“高市トレード”なる物が継続され、月曜日は終値ベースで日経平均株価は前日比2110円高、10年債利回りは前日比0.050%高、ドル円相場は一時157.66と3週間ぶりとなる円安&ドル高が進んだが、その後は特に円高が急速に進んで金曜日の終値は前週末と比べて日経平均株価は2688円高、10年債利回りは-0.015%(金利低下は債券高である。)、そしてドル円相場は-4円52銭と大幅な円高&ドル安となり、株高、債券高、そして円高と言う“円のトリプル高。”となった。
珍しい現象であったと言える。
市場は此の1週間で3%弱となる円高の動きを理解出来ず、様々な憶測が駆け巡った。
-次回、3月19日に終了する日銀政策決定会合で日銀が追加利上げを行い、同時に日米でドル売り&円買いの協調介入を行う。
-市場は6月のFOMC.に於いての利下げの可能性は極めて低いと考えているが、落ち着きつつある物価動向を鑑みて新FRB.議長誕生に合わせて驚きの利下げを敢行する。
もしこれらが行われると、更なる日米金利差縮小が進んで自ずからドル安&円高が進んでも不思議ではない。
筆者は我々日本人が未だ意識していないもっと大きな資金の流れの変化が起きつつあり、目ざといヘッジ・ファンドの連中がそれを先取りして円を買い戻しているのではないかと感じている。
それは円のキャリー・トレードの巻き戻しである。
円のキャリー・トレードとは簡単に言うと金利の低い(昔はマイナスかゼロだった。)円を借りてそれを売り、金利の高い通貨(特に米ドル)を買って、米ドル建ての債権に投資して金利差を享受すると言う極めて自然な取引であるが、20年前くらい前は銀行からドル建てでローンを受けると5%以上にもなるが、金利スワップを行って円建てで借りると1%前後で借りられると言う事で、円での借り入れが急増したがこれも円のキャリー・トレードの一種と言っても良かろう。

昨年、BIS.(国際決済銀行)が円のキャリー・トレードの規模を40兆円と試算したが、筆者は実際の規模はその数倍にも達すると推測する。
円のキャリー・トレードは過去2回大きな巻き戻しが有った。
1回目は1998年のLTCM.事件で、ファンド勢が一斉に円の買い戻しに入ってドル円相場は8月から10月迄の2ヶ月で147円台から111円台へと36円暴落した。
2回目は2008年で、FRB.が政策金利をゼロとして日米金利が逆転したことと、リーマン・ブラザーズが破綻したリーマン・ショックにより矢張り円が買い戻されてドル円相場は10月の106円台から12月の87円台へと凡そ20円暴落した。
そして現在、海外勢の間ではまことしやかに現在静かにこの円のキャリー・トレードが巻き戻されつつあると指摘する向きが増えている。
その背景としては、
-日米金利差が縮小傾向にあり、円キャリー・トレードの旨味が減りつつある。
-先週、中国当局が地元の金融機関にドル債券の購入禁止と、保有する債券の処分を促していると伝えられたが、このレポートでも以前触れたが中国に限らず欧州を筆頭としてドル債権の縮小(Exodus from US Asset.) に走る動きが見られる。
-IMF.(国際通貨基金)が算出する購買力平価でみると円は1ドル=93円台と言われており、現状の150円台の名目レートとは大きな差が有る。
-日米間で協調介入を含めて、意図的に円高に持って行く可能性が有る。
などと囁かれている。

先週からのドル円の値動きを見ると、矢張り何か不自然な感じがしてならない。
投機筋の筆頭であるシカゴ・IMM.は2月10日時点で前週から微減の約15億ドルの買い持ち、我が国個人投資家は同じく前週から微減の約4億ドルの買い持ちで、相変わらずドルに対しての強気は変えていない。
ディーラー諸君の話を聞くと、依然として高市トレードを信じている向きが多く、ドルの売り持ちポジションを保有している者は殆ど居ない。
マーケットはドルの買い持ちであると信じる。
円キャリー・トレードの話をするディーラーは殆ど居ない。
筆者の勝手な憶測であるが、もし本格的な円キャリー・トレードの縮小が実際に起きれば、ドルの下落は130円では止まるまい。
先日の日米のレート・チェックの折にFEB.が米系銀行に対して、保持している円のポジションを尋ねたと言われているが、もしかして米金融当局は行き過ぎたドル安進行を懸念しているのかも知れない。
ベッセント米財務長官の度重なる、“ドル高はアメリカの国益に適う。”と言う発言は、円高につられた“来るべき。”(?)ドル安に対しての布石かも知れないと考えるのは考え過ぎであろうか?
今週のテクニカル分析
見立てはドル売り継続。
今週のレンジ


ドル円:149.00~154.00
ユーロ円:178.00~183.00

酒匂隆雄 (さこう・たかお)
酒匂・エフエックス・アドバイザリー 代表
1970年に北海道大学を卒業後、国内外の主要銀行で為替ディーラーとして外国為替業務に従事。
その後1992年に、スイス・ユニオン銀行東京支店にファースト・バイス・プレジデントとして入行。
さらに1998年には、スイス銀行との合併に伴いUBS銀行となった同行の外国為替部長、東京支店長と歴任。
現在は、酒匂・エフエックス・アドバイザリーの代表、日本フォレックスクラブの名誉会員。
公式ブログ:酒匂隆雄が語る「畢生の遊楽三昧」
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