酒匂隆雄の「為替ランドスケープ」 

タコ・トレード?

2025/06/02

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トランプ氏の一貫性のない関税政策に市場が混乱。「TACO=Trump Always Chickens Out」という皮肉が米国で話題に。その背景を深掘り。

2025年6月2日号

最近、ウォール・ストリートで「タコ・トレード」なる言葉が流行っているらしい。

大坂人がよく人をからかう時にタコと言う言葉を使うが、タコには余り深い意味は無いらしい。

ウォール・ストリートで流行る「タコ・トレード」のタコは、「Trump Always Chickens Out」(トランプは何時もビビる)の頭文字を取ったTACOを表す。

「Chiken out」と言う動詞は初めて見たが、「Chicken」と言う言葉はよく聞く。

数週間前にアメリカ人とぺブル・ビーチでゴルフに興じたが、パットをショートすると、「Chicken put !」(臆病パット!)と揶揄される。

パッティングはホールに入れるか、或いはオーバーしないでショートすると絶対に入るチャンスは無い。

「Never up, never in」(超えなければ絶対に入らない)とも言う。

逆に果敢に攻めてホールをオーバーしても、「Good try !」(良い試みだ!)と褒める。

プライドの高い(?)アメリカ人は、臆病者と呼ばれることを嫌う。

人より一段とプライドの高いトランプ大統領はさぞかし不愉快であっただろうが、正に言い得て妙である。

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TACOは、英紙フィナンシャル・タイムズの記者が、高関税を課すとしながら、株価や米国債の価格が下がると直ぐにそれを取りやめるなどして、二転三転する関税政策を皮肉る意味が込められている。

確かにトランプ大統領は、5月11日に突然米中関税引き下げに合意し、25日にはEUに対する関税の発動を7月9日迄延期すると発表したり、難題を吹っかけておいて顔色を見て(市場の反応を見て)突然その主張を変えることが多々あった。

その結果、市場は最初のトランプ大統領の決定に乗じて買うが(或いは売る)、「Chickens out」で元の木阿弥となって市場は売りで対応し(或いは買う)、結局はトランプ大統領の強硬姿勢に安易に乗って取引をする必要は無い、放っておけと言うことらしい。

確かにドル円相場の動きを見てみると、先ずはトランプ政策発動を受けてドルは上がるが、上の二度の変身により5月12日に付けた148.65から大きく下落しているし、その後の反応は極めて鈍い。

「『TACO』と呼ばれている事をどう思うか?」と記者に質問されて、「自分はビビってはいない!二度とさっきの様な事を言うな。意地悪な質問だ!」と気色ばんだが、周りがにやにやしていたのが印象深かった。

さてこのトランプ関税に対して米国国際貿易裁判所が違法だと判断して差し止めを命じた。

トランプ大統領はこれを不服としてすかさず連邦巡回控訴裁判所(高裁)に上訴し、連邦巡回控訴裁判所は米国国際貿易裁判所の決定を一時停止して関税措置を復活させる判断を下した。

一時市場は、やっと暴走トランプを止める動きが出て来たと好感したが、結局は連邦巡回控訴裁判所の判断により振出に戻った感が有る。

トランプ大統領は中々しぶとい男だ。

今暫くトランプ大統領の言動による市場の「Volatility」(変動率)が高い状態が続くと思われるが、着々とドルの減価が起きつつあると感じている。

ドルは買えない。

先週、欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁が、「ユーロ加盟国が域内の金融・安全保障体制を強化出来れば、通貨ユーロはドルに代わる現実的な選択肢となり、ユーロ圏に大きな利益がもたらされる可能性が有る。」と述べたが、大きな流れはそうだと思う、特にトランプ大統領の様な暴君がアメリカを仕切っている限り。

同様な考えを持っているかどうかは知らないが、相変わらずシカゴ・IMMは果敢に「ドルショート/円ロング」のポジションを維持している。

前週から2円程度のドル安&円高が進んだが全く動じずに前週と殆ど同じ144億ドルのショートのポジションを保持している。

その胆力には感嘆する。

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個人投資家残高

前週5月26日付け比較
+8億ドル+14億ドル+6億ドル
@145.57@142.57-3.06

シカゴ・IMM

前週5月27日付け比較
-144億ドル-144億ドル±0
@144.87@142.83-2.04

今週のテクニカル分析の見立てはドルの更なる下落を示唆。

今週のレンジ

ドル円:141.00~144.00
ユーロ円:161.00~164.00

酒匂隆雄

酒匂隆雄 (さこう・たかお)

酒匂・エフエックス・アドバイザリー 代表
1970年に北海道大学を卒業後、国内外の主要銀行で為替ディーラーとして外国為替業務に従事。
その後1992年に、スイス・ユニオン銀行東京支店にファースト・バイス・プレジデントとして入行。
さらに1998年には、スイス銀行との合併に伴いUBS銀行となった同行の外国為替部長、東京支店長と歴任。
現在は、酒匂・エフエックス・アドバイザリーの代表、日本フォレックスクラブの名誉会員。


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