日銀利上げ、そして金利高、株高、円安
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日銀政策決定会合が開催され、予想通りに政策金利である無担保コール翌日物レートの誘導目標が0.25%引き上げられ0.75%とすることが決定された。この決定により、政策金利は1995年以来、30年ぶりの高い水準となる。
2025年12月22日号
今年最後とも言えるBig event.の日銀政策決定会合が開催され、大方の、いや殆どの市場参加者の予想通りに政策金利である無担保コール翌日物レートの誘導目標が0.25%引き上げられ0.75%とすることが決定された。
この決定により、政策金利は1995年以来、30年ぶりの高い水準となる。
この決定を受けてドル円相場は155.80から瞬間30銭程円高に振れて当日の安値となる155.46を付けたが、その後は156円前後で暫く揉みあった後、植田日銀総裁の記者会見後からドル高&円安がじりじりと進み、157.96を付けた後157.76の高値で週を終えることとなった。
日銀の利上げにも拘わらず、2円以上のドル高&円安が進んだことになる。
為替市場でよく言う、“Buy on rumor, sell on fact.”=(噂で買って、事実で売る。今回は日銀政策決定会合前に円を買い、会合後に円を売り戻す。)が起きたと言えば簡単だが、前週にFRB.が利下げを行った際は、それは起きなかった。
矢張り円安が進んだ大きな要因としては、決定会合後の記者会見での植田総裁の“煮え切らない発言。”が挙げられるであろうか?
植田総裁は記者会見で、
-アメリカの関税政策の影響を巡る先行き不透明感は薄れてきている。
と楽観的な意見を述べた後、
-利上げ後も実質金利は大幅なマイナスであり、緩和的な金融環境が経済活動をサポートする。
とハト派的な発言を行い、
-2026年は2025年に続いてしっかりとした賃上げ実施の可能性が高い。
-中立金利には相当なばらつきが有るものの、中立金利の推計値の下限にはなお距離が有る。
と今度は利上げ継続に前向きな発言を行った。
市場の受け止め方は様々で、上の後半の発言で一部は結局植田総裁の記者会見はタカ派的(金融引き締めに積極的)であったと言い、一部は逆にハト派的(金融緩和に積極的)であったと捉えたが、結果として市場は円売りに走った。

この動きに対して、片山財務相は“一方向で急激な動きがこの半日、この数時間明らかにあるので憂慮している。”と延べ、行き過ぎた動きには適切に対応する考えを強調した。
また三村財務官も今朝久々に口を開き、“市場の動きは一方向で急激、行き過ぎた動きには適切に対応する。”と市場に警告した。
それが功を奏してか、今朝の東京外為市場では157.70の高値で寄り付いた後、一時157.23迄ドル安&円高が進んだ。
日経平均は凡そ890円値を挙げて50,400円、10年国債は0.07%利回りが上昇して2.09%で午前の取引を終えている。
ドル円相場は多少高値からは戻してはいるものの、本日のレポートのタイトルとした、“日銀利上げ、そして金利高、株高、円安。”が着々と進んでいる。
今年最後となるFRB.による利下げ、そして日銀による利上げが行われ、ファンダメンタルズ的には当面ドル安&円高をドライブする要因は見当たらない。
政府・日銀筋は利上げにより、ある程度の円安是正が進むと期待していた事は間違いなく、上述の口先介入はそれを物語っている。
植田総裁は、会見で為替について問われて、今回の決定会合で、複数の政策委員から物価の上振れ要因として円安進行に対して留意が必要だという声が上がったと明かしており、利上げ後の2円もの円安進行を快くは思ってはいまい。
植田総裁は今週25日に日本経済団体連合会審議員会で講演する予定が有り、その中で円安対策として更なる利上げに対しての前向きな発言をする可能性は低くはないと見る。
元為替ディーラーの筆者としては、東京市場を除いて全ての為替市場が休みとなる25日に介入を行うのは極めて効果的であると思う。
三村財務官の介入初デビューとしては正にうってつけのチャンスだと思うのだが…
政府機関の一部閉鎖により、遅ればせながらパラパラと出て来るシカゴ・IMM.投機筋の円ポジションはぐっと縮まって12月9日付でネットで約14億ドルの売り持ちとなった。
我が国個人投資家は約2億ドルの小さなドルの買い持ちポジションを保持している。

此処でドル売り&円買い介入を行えば、それなりの効果は有るであろう。
今週のテクニカル分析
見立ては上値をブレークした為、更なるドル高を見越すが、AI.は介入の様な人為的な要素は予知出来ない事は覚えておきたい。
今週のレンジ
ドル円:153.00~158.00
ユーロ円:182.00~187.00



酒匂隆雄 (さこう・たかお)
酒匂・エフエックス・アドバイザリー 代表
1970年に北海道大学を卒業後、国内外の主要銀行で為替ディーラーとして外国為替業務に従事。
その後1992年に、スイス・ユニオン銀行東京支店にファースト・バイス・プレジデントとして入行。
さらに1998年には、スイス銀行との合併に伴いUBS銀行となった同行の外国為替部長、東京支店長と歴任。
現在は、酒匂・エフエックス・アドバイザリーの代表、日本フォレックスクラブの名誉会員。
公式ブログ:酒匂隆雄が語る「畢生の遊楽三昧」
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