酒匂隆雄の「為替ランドスケープ」 

ドル円相場、160 円突破

2026/03/30

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金曜日のニューヨーク市場で、ドル円相場が大きな節目であった160.00を上切って、高値160.41を示現した。市場は介入を警戒して160円手前で足踏み状態が続いていたが、ついにそれを突破することとなった。その主な理由は、読売新聞が土曜日の朝刊の一面で唄った、“イラン、戦闘一ヶ月終結見えず。ホルムズ封鎖、世界経済混乱。”に尽きる。

2026年3月30日号

金曜日のニューヨーク市場で、ドル円相場が大きな節目であった160.00を上切って、高値160.41を示現した。

2024年7月に付けた161.95以来、1年8ヶ月ぶりとなる160 円台である。

市場は介入を警戒して160円手前で足踏み状態が続いていたが、ついにそれを突破することとなった。

その主な理由は、読売新聞が土曜日の朝刊の一面で唄った、“イラン、戦闘一ヶ月終結見えず。ホルムズ封鎖、世界経済混乱。”に尽きる。

トランプはイランとの交渉が続いており、問題解決は近いと言い、イランは交渉などしていないと突き放してお互いの主張に隔たりが有る。

どうやら交渉は続いている模様であるが、お互いの主張には大きな隔たりが有り、中々妥協とは行かない模様である。

アメリカはイランに対して、

-核兵器の開発を行わない。

-ウラン濃縮の完全停止。

-ホルムズ海峡を開放。

-新イラン武装勢力への支援停止。

-ミサイル数や射程の制限。

などの15項目を主張し、イランは

-侵略や暗殺行為の完全停止。

-戦闘再開を防ぐ仕組みの確立。

-賠償金の支払い。

-親イラン武装勢力への攻撃停止。

-ホルムズ海峡で主権を行使する権利の承認。

の5項目を主張しており、お互いにそう易々とは受け入れられない条件を提示している。

どの様な展開になるかは神のみぞ知るであろうが、恐らくトランプは2月28日に一方的にイランに対しての攻撃を始めた時は、戦闘期間がこんなに長引き、そして原油価格高騰を含めて世界経済がこれ程混乱するとは思っていなかったのではなかろうか?

そこで何度もTACO.って空爆開始の延期などのこざかしい手を使ってイランに対する懐柔策を出しているのであろう。

その度に市場は翻弄されて右往左往しているが、まあ敵わないものだ。

これらの状況を踏まえて市場では、“有事のドル買いが進んでいる。”と言うが、実は先週の各通貨に対してのドルの上昇率は大したことはない。

3月23日始値3月27日終値変化
ドル・円159.28160.25+0.60%
ユーロ・ドル1.15351.1512-0.20%
ポンド・ドル1.32971.3270-0.20%
豪ドル・ドル0.69920.6878-1.60%

この背景には、有事のドル買いで短期的にはドルを買わざるを得ないが、中長期的にはドルの保有を減らしたいと言う動きは変わっていないからだと推察する。

英国の経済紙、フィナンシャル・タイムズにも、“In fact, the Conflict threatens to undermine the Dollar further.=(実のところ、この紛争はさらにドルを弱体化させる恐れがある。”とのコメントが掲載された。

筆者も同感である。

160円に近付く段階で片山蔵相は、“断固とした措置を含めしっかり対応する。現在の為替相場は石油関係の事象に引きずられた投機的な動き見られる。”とのコメントを出したが、市場の反応は限られたものであった。

今日の東京市場でドル円相場は先週末のニューヨーク市場の終値160.25に近い160.21でオープンし、その後160.47迄上昇したが、三村財務官が“原油先物市場に加え、為替市場でも投機的な動きが高まっている。この状況が続けばそろそろ断固たる措置が必要となる。”と発言し、ドル円相場は一時159.66迄急落した。

そろそろではなかろう。

今、やるべきである。

今やれば、少額の実弾介入で156円台までは下がるであろう。

僭越ではあるが、ディーラーの心理を余りご存知無いらしい。

先週月曜日にトランプが、“イランとこの2日間、非常に良好で生産的な対話をした。イランの発電所とエネルギー・インフラへの攻撃を5日延期する。”とSNSで発信すると、NY原油先物価格が84ドル台まで急落し、ドル円相場が159円台のミドルから158.02迄急落したが、あそこで少額でも介入していれば、156円位までドルが続落したと思う。

その後の展開で恐らく2円位は戻したかも知れないが、それでも160円を超える様なドル高&円安にはならなかったのではなかろうか?

要するに、ロケットの発射台を低くすれば、到達高度は自ずから低くなるのである。

結果論かも知れないが、市場が疑心暗鬼になっている時にお化けが出ると、その効果は非常に大きい事を教えて差し上げたいくらいだ。

“介入で相場のトレンドは変えられない。”としたり顔で解説する人も居るが、現役の頃1985年のプラザ合意から凡そ15年間介入のお手伝いをしてきた元ディーラーから言わせると、“歴史は介入の有効性を表している。”と強調したい。

残念ながら現在はその様な立場にはないが、“今ですよ!先ず500本(5億ドル)、そして追い打ちで500本、そして500本売りましょう!”と進言したいものだ。

今週のテクニカル分析

見立ては、更なる上を目指すがテクニカル分析は介入には無力である事を忘れてはなるまい。

今週のレンジ

ドル円:155.50~160.50
ユーロ円:180.00~185.00

酒匂隆雄

酒匂隆雄 (さこう・たかお)

酒匂・エフエックス・アドバイザリー 代表
1970年に北海道大学を卒業後、国内外の主要銀行で為替ディーラーとして外国為替業務に従事。
その後1992年に、スイス・ユニオン銀行東京支店にファースト・バイス・プレジデントとして入行。
さらに1998年には、スイス銀行との合併に伴いUBS銀行となった同行の外国為替部長、東京支店長と歴任。
現在は、酒匂・エフエックス・アドバイザリーの代表、日本フォレックスクラブの名誉会員。


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