酒匂隆雄の「為替ランドスケープ」 

Bessent seems to be quite pissed off.

2026/03/02

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先週のドル円相場は、154円台で始まったものの、毎日新聞が前週16日の高市総理と日銀植田総裁との会談で高市総理が利上げに対して難色を示したと言う報道などがあり、市場には我が国財務省による介入警戒感が強くてその後は156円を中心とした神経質な動きを見せることとなった。

2026年3月2日号

先週のドル円相場は、前週からの投機筋の円の買い戻しの流れを引き継いで154円台で始まったものの、毎日新聞が前週16日の高市総理と日銀植田総裁との会談で高市総理が利上げに対して難色を示したと言う報道と、政府が25日に野口・中川両審議委員の後任として、リフレ派と目される中央大学名誉教授の浅田統一郎氏、青山学院大学教授の佐藤綾野氏を提示した事を受けて日銀の利上げ観測が低下して徐々に円売りが台頭し、週央には高値156.82円を示現したが、市場には我が国財務省による介入警戒感が強くてその後は156円を中心とした神経質な動きを見せることとなった。

何故毎日新聞が1週間前の高市―上田会見の中身の一部をスクープしたのかは不明であるが、今までの高市発言から鑑みて驚く様なものではないと思うが、一部に“3月に利上げが有るかも。”との期待が有った市場には、“何故、この時期に?”との意外感が広がり、素直に株買い、債券売り(金利上昇)、そして円売りと言う“高市トレード。”で応じた。

高市政権はその後、尾崎官房副長官が“金融政策の具体的な手法は日銀に委ねられるべき。”と発言し、又高市総理も“為替市場の動向を高い緊張感を持って注視している。市場とはしっかり対話していく。”と当たり障りの無い釈明をしたが、“日銀は早急に利上げをすべきだ。そうすれば自ずから円安進行は止まる。”との持論を持つベッセント米財務長官は、この高市発言をお気に召さなかった様だ。

ここのところ、円に対して強気に成りつつあったヘッジ・ファンド筋に近い友人の言葉を借りれば、“Bessent seems to be quite pissed off.” =“ベッセントはかなり頭に来ている様だ。”との事だ。

“pissed off.”と言うのは余りお上品な表現ではないが、アメリカ人はよく使う。

“怒っている。”よりは多少穏やかで、“面白くない。”と言った感じであろうか?

先週、1月のニューヨーク・Fed.によるレート・チェックは日本の財務省からの要請ではなく、ベッセント財務高官からの直々のオーダーであったと言う報道が有ったばかりだが、トランプ政権は日米同盟を極めて重視しており、日銀が金融正常化(要するに利上げ)を進め、衆院選挙で圧勝した高石政権の誕生で政治的空白が解消される事は日米双方にとっても極めて有益であると見ている。

これ以上の円安が進んで高市政権が困る様であれば由々しき事であり、“ではアメリカも協力しましょう。”という事で異例のレート・チェックを行った後に、高市氏自身が円安進行を助長する様な発言をされたのでは、“面白くない。”ことは当然であろう。

今回の新聞報道が、今後の日銀の利上げペースに支障を来たすとは思わない。

又、日銀政策委員会のメンバーである審議員の交代であるが、元々今回退任する野口・中川両氏はハト派と目されており、今回の交代により政策委員会での政策スタンスのバランスに大きな変更が有るとは思えない。

今回の交代で即日銀の金融政策に影響が有ると思うのは早計であろう。

それよりも驚いたのは、土曜日に行われたアメリカとイスラエルによるイランへの攻撃である。

アメリカは2隻の大型空母を中東に派遣しており、イランに対する攻撃は時間の問題と思われていたが、アメリカとイランの高官同士が核協議を行っている最中の攻撃には驚いた。

この攻撃の結果、イラン最高指導者のヘメネイ氏が死亡したと伝えられ、週明けの市場展開が注目されたが比較的落ち着いた動きとなっている。

ドル円相場は意外にも先週金曜日の終値156.12よりも低い155.93で始まり、一時156.80迄上伸したが正午現在156.25付近で取り引きされ、日経平均株価も一時1500円以上の下げとなる57,285円まで下げた後、午前は900円安の57,950円で引けている。

最も気になる原油価格であるが、此方もベンチマークであるWTI.原油先物は一時先週金曜日の終値67.02ドルを凡そ10%超える73.50ドルの高値を付けたが、正午現在70.50ドルと約5.25%高に留まっている。

土曜日の攻撃後、イランはアメリカとの交渉再開を希望しており、トランプ政権はその申し出を受け入れた。

全くの素人意見であるが、このアメリカ・イランの紛争(アメリカとイスラエルが一方的に仕掛けたものであり、戦争とは呼べない。)は意外に早く集結し、ホルムズ海峡封鎖などの大事にはならないのではないかと思っている。

色々な円安要因が見られた1週間であったが、先週大きくポジションを変えたシカゴ・IMM.と我が国個人投資家はポジションの圧縮に走っている。

シカゴ・IMM.は前週の約11億ドルの売り持ちから2億ドル買い戻して約9億ドルの売り持ちを保持し、我が国個人投資家は前週の約19億ドルの買い持ちから11億ドルを売り戻して約8億ドルの買い持ちに留めている。

シカゴ・IMM.は一部損切りのドル買い戻しを行ったが依然としてドルの先安観を持っており、ドルの売り持ちポジションを保持している中、我が国個人投資家は約2円のドル上昇に乗じて大きくポジションを縮めたものの依然としてドルの先高感を抱いて、ドルの買い持ちポジションを保持している事になる。

さて、3ヶ月後には何方に軍配が上がっているであろうか?

今週のテクニカル分析

見立ては先週と同じく、上下共にレンジのブレークへの注意を促すが、テクニカル分析は介入を織り込めない。

今週のレンジ

ドル円:153.00~157.00
ユーロ円:182.00~186.00

酒匂隆雄

酒匂隆雄 (さこう・たかお)

酒匂・エフエックス・アドバイザリー 代表
1970年に北海道大学を卒業後、国内外の主要銀行で為替ディーラーとして外国為替業務に従事。
その後1992年に、スイス・ユニオン銀行東京支店にファースト・バイス・プレジデントとして入行。
さらに1998年には、スイス銀行との合併に伴いUBS銀行となった同行の外国為替部長、東京支店長と歴任。
現在は、酒匂・エフエックス・アドバイザリーの代表、日本フォレックスクラブの名誉会員。


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