鈴木雅光の「奔放自在」

金利は上昇しているけれども・・・・・・

2026/01/23

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金利が徐々に上昇してきました。昨年12月19日、日本銀行が政策金利である無担保コール翌日物金利の誘導目標を、それまでの0.50%程度から、0.75%程度に引き上げたのです。

政策金利が0.50%を超えたのは、1995年以来30年ぶりということで話題になりましたが、それでも0.75%ですから、まだ超低金利であることに変わりはありませんが、それでも「金利らしきもの」が生まれてきたことで、「有利な預金はこれ」的な話題が時々、ネットメディアなどで触れられるようになってきました。

ちなみにメガバンクの預金利率を見ると、普通預金が0.20%です。マイナス金利が導入されていた2016年2月から2024年3月までの利率が0.001%だったことを考えると、まだマシではありますが、それでも0.20%ですから、お話になりません。

では、定期預金はどうでしょうか。スーパー定期の利率を見ると、1~6カ月物が0.25%、1年が0.275%、3年が0.350%、5年が0.400%、10年が0.500%となっています。10年預けても0.50%ですから、正直なところ大したことはありません。ちょっと計算してみると分かることですが、100万円を半年複利で運用したとしても、10年間で得られる利息は税引前で5万1200円です。

もちろん、店舗を持たないインターネット銀行の場合、もう少し高めの利率を提示しています。たとえばauじぶん銀行だと1年物で1.05%ですし、楽天銀行も同じ1年物で1.00%です。

あるいは10年物定期預金は、インターネット銀行で扱っているところが少ないのですが、オリックス銀行で1.00%、ソニー銀行で0.90%を提示しています。

100万円を10年間、1.00%の利率で半年複利運用すると、税引前の利息は10万5000円。マイナス金利時代は0.002%程度だったので、これで10年間運用して得られる利息は、ほぼゼロでした。それから考えると、10年間で10万円はそれなりに「利息が得られた感」はありますが、そもそも消費者物価指数が前年同月比で3.0%の上昇ですから、預金で運用し続けていても、徐々に資産価値が目減りしてしまいます。

正直、預貯金の利率が上昇したとしても、物価との見合いで考えれば、預貯金で運用する意味はない、ということになります。

一方、金利上昇局面で割と話題を集めているのが、個人向け国債です。個人向け国債のなかでも変動金利型10年物の適用利率は、「基準金利×0.66」で計算されますが、この基準金利が長期金利であり、この数年、長期金利の水準が上昇してきたことから、変動金利型10年物への注目度が高まっているのです。

ちなみに長期金利の水準は、2019年7月が最も低く▲0.29%まで低下しました。その後、イールドカーブコントロールが解除されるなど金融緩和政策が解除されていくなかで長期金利は上昇へと転じ、2026年1月16日時点では2.09%まで上昇してきました。

個人向け国債のうち変動金利型10年物の適用利率は、半年に1度見直されます。当然、金利が上昇局面にあれば、その時の長期金利の水準に合わせて適用利率が引き上げられます。したがって、今のように長期金利が上昇している時には、とても有利な運用対象であるように見えます。

ただ、ひとつだけ注意点があります。それは変動金利型個人向け国債の償還期間が10年であることです。つまり今後、長期金利が上昇し続けた後、償還を迎える10年後までその金利水準が高止まりしてくれれば、非常に有利なリターンが期待できますが、その可能性がどのくらいあるのか、ということです。

今後10年間、長期金利が高止まりするということは、日本の景気が今後10年間にわたって好景気を続けるのと同義です。果たして、そのようなことが実現するでしょうか。

もし、景気が低迷すれば、長期金利は低下します。結果、変動金利型10年物の適用利率も下がることになります。10年先の景気を見通すことは、ほとんど不可能でしょう。そうであるにも関わらず、今、長期金利が上昇しているからといって変動金利型10年物が有利だと判断するのは、いささか考えが甘いと思うのです。

基本的に変動金利型の債券は異端です。国債や社債など、多くの債券は固定金利型であり、金利水準が上昇すると債券価格は下落し、金利水準が低下すると債券価格は上昇するという特性を持っています。

このように金利変動で債券価格が変動するなか、債券市場に参加している投資家は、リターンを最大化するための戦略を立てて運用するわけですが、それは個人にとって非常に難しいことですし、だからこそ個人にも国債を買ってもらえるように、変動金利型の個人向け国債が誕生したわけですが、それには前述したような落とし穴があります。今後10年先まで景気が好調を続ける確率の低さからすれば、変動金利型10年物への投資は避けた方が無難ですし、それでも個人向け国債で運用したいのであれば、長期金利がピークに近づいたと思われるタイミングで、固定金利型5年物、あるいは固定金利型3年物を選んだ方が、理に適っていると思います。

鈴木雅光(すずき・まさみつ)

金融ジャーナリスト
JOYnt代表。岡三証券、公社債新聞社、金融データシステムを経て独立し(有)JOYnt設立し代表に。雑誌への寄稿、単行本執筆のほか、投資信託、経済マーケットを中心に幅広くプロデュース業を展開。


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