鈴木雅光の「奔放自在」

楽天iDeCoに「なかの日本成長ファンド」が採用された不思議①

2026/02/13

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2025年11月、鈴木雅光氏が楽天iDeCoの新採用ファンドを独自の視点で分析。長期の資産形成を目指すiDeCoにおいて、運用実績の短い新興ファンドが選ばれた背景と運営会社の財務健全性に鋭く切り込みます。 この記事で分かること:楽天iDeCoの選定基準への疑問/なかのアセットマネジメントの財務状況/長期運用におけるリスク

長期運用に耐えられるだけの財務健全性は担保されているのか?

本当に、これほど納得のいかない話も珍しい。

昨年9月、楽天証券が楽天iDeCoの対象ファンドの除外を正式に発表した。除外する際の基準は、「楽天証券ファンドスコア」の24カ月ローリングリターンにおいて、期間5年の平均値が一定水準を下回った場合とされている。

この除外基準が妥当かどうかについて、ここでは深掘りしないが、簡単に疑問点だけ挙げておく。

そもそもiDeCoは長期の資産形成を行うツールだ。そうであるにも関わらず、期間5年の運用成績で評価し、除外、入れ替えを行うのが妥当なのだろうか。

5年のファンドスコアで除外・入替を行うということは、iDeCoの運用期間からすれば決して長期とは言えない測定期間で、対象ファンドが入れ替わることも考えられる。楽天証券のファンドスコアは定量評価のみなので、長期にわたって安定したリターンを提供し続けたファンドよりも、比較的短い期間で大きく値上がりしたファンドのスコアが、高位になりやすい。それが本当に、iDeCoで老後資産形成をする人たちのためになるのかどうか、一考する必要がある。

それはさておき、今回の除外・入替において最大の疑問は、入替対象ファンドとして、なかのアセットマネジメントが設定・運用している「なかの日本成長ファンド」が、正式に採用されたことだ。同ファンドを含め、合計9本のファンドが追加されたわけだが、その選定に際しては、「今春実施したアンケートでお寄せいただいたお客様のご要望を踏まえ、社内で慎重に検討を重ね、追加商品を選定しました」と、楽天証券のサイトで説明されている。

誰を対象にして、どのような形で行われたアンケートかは、サイトに書かれている説明文では全く分からないが、要するにアンケートを行ったところ、「是非とも、なかの日本成長ファンドを追加して下さい」という要望が多数寄せられたため、楽天証券が慎重に慎重を重ねてデューデリジェンスを行った結果、なかの日本成長ファンドの採用が確定したということなのだろうか。

だとしたら、このデューデリジェンスは欠点だらけと言わざるを得ない。

まず、除外・入替の基準についてだが、除外については、「24カ月ローリングリターンにおいて、期間5年の平均値が一定水準を下回った場合」というように明確な基準を設けているにも関わらず、入替ファンドについては、それが加味されていない点だ。なかの日本成長ファンドは2024年4月からの運用開始なので、現時点においても1年10カ月の運用成績しか持っていない。除外は5年の運用成績をベースにして判断するのに、入替となるファンドにはそれが適用されないのは、評価の統一性を欠く。そもそも、アクティブファンドの良し悪しは、ある程度、長期の運用を行ったうえで判断するべきであり、たった2年弱の運用成績しか持たないファンドを、長期の資産形成に資するiDeCoの対象ファンドに入れるのは、納得できることではない。

次に、なかのアセットマネジメントが、長期運用を続けられるだけの財務健全性を持ち合わせているかどうか、という点だ。

なかの日本成長ファンドを設定・運用するなかのアセットマネジメントは、2023年9月に設立された新興の運用会社で、第一生命ホールディングス、スパークスグループ、ソニーフィナンシャルグループ、楽天証券ホールディングスという4社からの出資に加え、複数の個人出資も募り、設立された。2024年5月24日時点の資本金及び資本準備金の合計額は11億8250万円である。

投資信託会社は、ファンドの純資産総額から一定率の運用管理費用を得て、それを売上としている。したがって純資産総額が一定額まで積み上がらないと、経費を売上でカバーできず、赤字経営が続く。

なかのアセットマネジメントは現在、2本のファンドを運用しているが、2月13日時点の純資産総額は、なかの日本成長ファンドが43億2000万円、なかの世界成長ファンドが33億4700万円の合計76億6700万円である。

それぞれについて、なかのアセットマネジメントが得られる運用管理費用の料率は、なかの日本成長ファンドが年0.582%、なかの世界成長ファンドが年0.312%なので、それぞれを純資産総額に掛け合わせると、現状の純資産総額から得られる売上は、3558万円になる。この額では、役員を含めて20名ほどの社員を食べさせることはできない。

現在、なかのアセットマネジメントは第3期に入っているが、2025年9月中間決算時点までの累積赤字は、5億602万2000円にも達する。2026年3月期決算の数字はまだ発表されていないが、仮に中間決算までの数字を倍にして推計すると、2026年3月期決算の純損失は2億8156万2000円。あくまでも推計値だが、この時点での累積赤字は6億4680万3000円になる。

11億8250万円ある株主資本のうち、すでに半分超の額が取り崩されており、残りの純資産は5億3569万7000円しかない。現在のペースで赤字決算が続けば、3年も経たずに、なかのアセットマネジメントの事業継続に必要な資金がショートする。その先に待っているのは倒産だ。

この事態を回避するためには、劇的に運用資産を増やすか、既存株主やその他の投資家に増資を引き受けてもらうしかないが、倒産などという最悪のシナリオが現実化したら、ファンドの運用どころではない。

ここまで財務面が脆弱な状況であり、それは、なかのアセットマネジメントのサイトにある財務情報を見れば誰にでも分かることなのに、楽天証券はどこをどうデューデリジェンスしたのだろうか。この1点を見るだけでも、楽天証券が、なかの日本成長ファンドをiDeCoの対象ファンドに採用したことが、解せないのである。

鈴木雅光(すずき・まさみつ)

金融ジャーナリスト
JOYnt代表。岡三証券、公社債新聞社、金融データシステムを経て独立し(有)JOYnt設立し代表に。雑誌への寄稿、単行本執筆のほか、投資信託、経済マーケットを中心に幅広くプロデュース業を展開。


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