新NISA白書を読んで②~どうやって買っているのか
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新NISAを通じて投資を始めた人々は、どのように販売会社を選び、情報を得ているのか。三井住友DSの調査から投資行動の実態と課題を読み解きます。


前回に引き続き、三井住友DSアセットマネジメントが行ったアンケート調査、「新NISA白書」を取り上げてみたいと思います。
まず、新NISAを利用している人たちの、それ以前の投資経験の有無ですが、男性は意外と投資未経験者が少なく、女性は投資未経験者が多いことが分かります。たとえば30代で見ると、男性の投資未経験者は12%、40代で15%ですが、女性は30代が20%、40代が27%でした。その他の年齢でも女性は男性に比べ、新NISA以前は「投資していなかった」と答えた人の回答比が高く、その意味では、新NISAのスタートを機に投資を始めた人の割合が多いと考えられます。
とはいえ、どの世代にも共通しているのは、新NISA以前から「通常の証券口座で投資していた」、「旧NISAで投資していた」という回答比が圧倒的に高いことを考えると、これだけ新NISAが注目されていても、やはり投資未経験者層の取り込みには苦労している様子がうかがえます。
新NISAは、限度額の引き上げや非課税期間の無期限化、制度の恒久化によって、旧NISAで運用していた人たちはもちろんのこと、旧NISAについては「非課税は魅力だけれども、限度額が低いことなどを含めて使い勝手が悪い」として敬遠していた層に対しても、十分に訴求できるだけでなく、何よりもこれまで資産形成に対してあまり関心を持って来なかった人たちを大勢取り込むことを期待していただけに、まだまだ投資未経験層に対して訴求するための工夫が求められそうです。
次に、NISA口座を開設した販売会社を選んだきっかけを見てみましょう。
男女とも、すべての年代に共通しているのは、「手続きがオンラインで完了する」を挙げている人が最も多く、次が「手数料が安い商品が多い」でした。逆に「新聞・雑誌の広告・紹介」が男女とも、いずれの年代もひと桁回答であり、かつては主流だったものの、今ではメディアを通じた広告の力が大きく落ちているのが分かります。


個別に見てみましょう。
「手続きがオンラインで完了する」が男女別、各年代で最も高いことから察することができるように、新NISAの口座開設先は、ネット金融機関が中心かと思いきや、実は対面も48%を占めていることが分かりました。これは意外な結果ですが、恐らく「NISA口座を開設した販売会社を選んだきっかけ」のなかで、「手続きがオンラインで完了する」ことを選んだ人の大半は、50%を占めるオンライン金融機関を選択したと思われます。

ただ、オンライン金融機関のうち、44%がオンライン証券会社であり、ネット銀行はわずか6%に過ぎません。なぜこれだけの差が付いたのかというと、恐らく商品の品揃えにあるのではないかと思われます。
というのも、NISA口座を開設した販売会社を選んだきっかけに対する回答で、「手続きがオンラインで完了する」、「手数料が安い商品が多い」、に次いで高かったのが「豊富な商品ラインナップ」だからです。
確かにネット銀行は、オンラインで口座を開設できます。が、手数料が安い商品の多さという点では、明らかにオンライン証券会社に軍配が上がりますし、豊富な商品ラインナップという点では、オンライン証券会社が圧倒的です。
そして、逆にこれが直接販売を行っている投資信託会社の劣勢にもつながっています。現状、NISA口座は利用者1人につき1金融機関という制約があります。1人で複数金融機関にNISA口座を持つことは、認められていません。そのため、自社運用ファンドを直接販売している投資信託会社は、どうしても取り扱える商品の数が少なくなります。
やはり限度額が1800万円まで引き上げられると、ひとつの商品だけでなく、複数の商品に分散したくなるのかも知れません。正直なところ、商品がたくさん揃っていたとしても、選べなければ何にもならないのですが、商品の品揃えが多いほど、いろいろ選べて有利だと思っている人が多いのでしょう。
そして、実際にNISAを通じて購入する投資銘柄や商品選定における情報取得方法についてですが、圧倒的に多いのが「Webサイトでの情報収集」と「SNS」でした。


これは結構、注意が必要です。というのもWebサイトやSNSを通じて流れてくる投資情報のなかには、「著名人なりすまし問題」が結構あるからです。著名人がSNSを通じて投資関連の情報を教えてくれるような体の広告を流し、それにアクセスして連絡先を伝えると、情報を教える代わりに金銭を要求されるという類の詐欺事件です。近年、この手の犯罪が増えているので、WebサイトやSNSを通じての情報提供には、十分注意する必要があります。
なお、SNSでの情報収集は男女とも、年齢層が若いほど多いことが分かります。近年、若い人で利殖勧誘事犯と言われる金融詐欺に巻き込まれるケースが増えているので、なおのこと要注意です。

鈴木雅光(すずき・まさみつ)
金融ジャーナリスト
JOYnt代表。岡三証券、公社債新聞社、金融データシステムを経て独立し(有)JOYnt設立し代表に。雑誌への寄稿、単行本執筆のほか、投資信託、経済マーケットを中心に幅広くプロデュース業を展開。
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