楽天iDeCoに「なかの日本成長ファンド」が採用された不思議③
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経済ジャーナリストの鈴木雅光氏が、なかのアセットマネジメントのガバナンス問題に切り込みます。資金流入の鈍化と低調な運用成績に加え、売上を上回る役員報酬の実態から、組織としての統治機能の欠如を浮き彫りにします。
この記事で分かること: 純資産の伸び悩みと収益構造/売上を超える役員報酬の実態/ガバナンス不全がもたらす経営リスク
~ガバナンスが効かない組織の問題
前回まで2回にわたって説明したように、会社設立から2年半、ファンドの運用開始から2年が経過した「なかのアセットマネジメント」は、さまざまな問題を抱えている。
整理すると、まず運用資金の集まり具合が極めて鈍いこと。これは極めて致命的だ。そもそも投資信託を運用している資産運用会社は、ファンドの純資産から日々、決まった年率の運用管理費用(信託報酬)を徴収して、それを営業収益(売上)としている。純資産とは、ファンドに組み入れられた資産の時価評価額なので、資金の流出入および組入有価証券の値動きによって増減する。


そのため、解約による資金流出を最小限に抑える一方、新規買付による資金の流入が活発になるか、あるいは組入有価証券が大きく値上がりするかのいずれか、もしくはその両方が揃わないと、純資産は増えない。
現状、なかのアセットマネジメントが運用している2本のファンドは、新規資金の流入が低調であることに加え、運用成績もさえない。これでは純資産が増えず、運用管理費用も極めて少額に止まるため、なかのアセットマネジメントの営業収益も増えないという状況に直面している。
なかのアセットマネジメントが、2本のファンドの運用をスタートさせて最初の本決算を迎えた2025年3月末時点の、各ファンドの純資産総額は、なかの日本成長ファンドが26億5100万円で、なかの世界成長ファンドが25億1400万円だった。
そして2026年3月期決算を迎える直前の、2026年3月13日時点の純資産総額は、前者が44億2700万円で、後者が33億7100万円となっている。この1年間で増えた純資産総額は、なかの日本成長ファンドが17億7600万円、なかの世界成長ファンドが8億5700万円だ。今はイラン問題で株価は調整しているが、振り返るとこの1年、国内外の株価は大きく上昇した。そうであるにも関わらず、両ファンドの純資産総額の増加額は、2024年4月から2025年3月末までの1年間に比べて、明らかにスローダウンしている。直近の純資産は3月13日時点であり、月末まで半月あるが、この半月で純資産が急増するとも思えないということも付け加えておく。
前回決算から今回決算までに増えた純資産の額は、2本を合わせて26億3300万円。いささか乱暴だが、これに2ファンド運用管理費用の平均である年0.44%をかけると、営業収益の増加額は1158万5200円になる。あくまでも概算だが、この1年間の営業によって得られた営業収益の増益効果は、とても20名程度の役職員がいる会社とは思えないほどに小さい。なかのアセットマネジメントの事業継続性は、極めて不透明と言わざるを得ないが、同社はこれ以上に深刻な問題を抱えている。それはガバナンスだ。
なかのアセットマネジメントは、投資先企業に対して常にエンゲージメントを求めている。それは、投資先企業に対してガバナンスを効かせる、という狙いもある。大いに結構なことだ。
しかし、投資先企業に対するガバナンスを効かせる狙いでエンゲージメントを求めている資産運用会社自身が、ガバナンス不全に陥っているとしたらどうだろうか。


筆者がこの問題に気付いたのは、2025年3月期の決算を見た時だ。損益計算書によると、売上に該当する営業収益は3194万2000円だが、一般管理費に計上されている役員報酬の額が、なんと4335万円になっているのだ。
この点について、金融スタートアップの経営者、機関投資家など、さまざまな人たちに話を聞いたが、誰1人として「合理的だ」とは言わなかった。もちろん役員にも生活があるから、ある程度の給与を取るのは当然のことだが、基本的には売上からさまざまな経費を支払い、残った利益の一部を役員報酬に充てるのが普通だ。
ところがなかのアセットマネジメントの場合、利益どころか、売上を大きく超える役員報酬が支払われている。なかのアセットマネジメントを信じて、そのファンドを購入している受益者から徴収している運用管理費用の全額を役員報酬として受け取るだけでは足りず、株主から集めた資本をも取り崩して役員報酬に充てている姿は、異常としか言いようがない。
ちなみに、2025年9月の中間決算を見ても、営業収益が2245万1000円であるのに対し、役員報酬が2350万円も支払われている。これを倍にして通期の推計値を求めると、役員報酬は4700万円で、前年度比10.84%増になる。資金の集まり具合が前年度に比べてスローダウンしているのに、役員報酬は大幅に増えているのだ。
もちろん、これは違法ではない。しかし、売上を超える役員報酬の支払に対して、なかのアセットマネジメントの監査役と社外取締役は何ら異議を唱えなかったのだろうか。監査役は役員報酬に対する承認権限は持たないが、著しく不当な場合は差止請求ができる。また社外取締役は、取締役会で個人別の報酬配分を決議する場合、他の取締役と同等の議決権を有している。
そうであるにも関わらず、このような役員報酬額が罷り通っているところに、なかのアセットマネジメントのガバナンス不全が透けて見える。監査役ならびに社外取締役は大いに反省するべきだし、そのような資産運用会社が、投資先に対してエンゲージメントを求めること自体、笑止千万である。

鈴木雅光(すずき・まさみつ)
金融ジャーナリスト
JOYnt代表。岡三証券、公社債新聞社、金融データシステムを経て独立し(有)JOYnt設立し代表に。雑誌への寄稿、単行本執筆のほか、投資信託、経済マーケットを中心に幅広くプロデュース業を展開。
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