楽天iDeCoに「なかの日本成長ファンド」が採用された不思議②
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経済ジャーナリストの鈴木雅光氏が、なかのアセットマネジメントの財務と組織実態を分析。資金流入の鈍化や運用部員の相次ぐ退職から、同社の継続性に警鐘を鳴らします。この記事で分かること:最新の資金流出入状況/運用部の大量離職の実態/今後の経営リスク
~見えない内部事情を推察すると・・・・・・
筆者は今、なかのアセットマネジメントから取材を拒否されている。昨年、ある雑誌から、なかのアセットマネジメント代表の中野晴啓氏に取材し、原稿の執筆を依頼されたが、その編集部が、なかのアセットマネジメントの広報に、筆者がライターで伺うことを伝えたところ、取材を断るとの連絡が来たという。
最終的にライターを変更することで、先方は取材を受けたが、この経緯からも分かるように、筆者は今も、なかのアセットマネジメントから「出禁」の立場である。したがって、同社の内部事情は、漏れ伝わってくる噂の範囲で知るより他の手はないが、公開されている情報を綿密に分析すれば、おおよその姿は見えてくる。
その前提で、これから先の話をしたい。
会社の実像は、前回も説明したように、貸借対照表や損益計算書などの財務諸表を見れば、かなりの程度まで実態が分かる。

前回の話は、第3期における、2025年9月中間決算時点の累積赤字は、5億602万2000円であり、中間決算までの数字を倍にして推計すると、2026年3月期決算の純損失は2億8156万2000円になり、この時点での累積赤字は6億4680万3000円に達する。株主資本は11億8250万円なので、すでにその半分超の額が取り崩されており、残りの純資産は5億3569万7000円しかなく、現在のペースで赤字決算が続けば、3年も経たずに、なかのアセットマネジメントの事業は継続困難に陥る、という内容だった。
もちろん、それまでに同社の2本のファンドが運用資産を大きく増やして売上を増やすか、もしくは複数株主から増資を受けられれば、経営危機を回避できる。ここをどうするかは、ひとえに代表である中野氏の手腕にかかっているといっても良いだろう。
しかし、今の時点で運用資産を大きく増やせる可能性は低い。日経平均株価が10万円に達すれば、日本株100%で運用する「なかの日本成長ファンド」の純資産総額は大きく増えるだろうが、その水準に達するには、まだ時間がかかる。株価上昇に期待するのは、そもそも神頼みみたいなものだ。
では、これら2本のファンドが、ある時点から急に個人の注目を集め出し、資金流入が加速する可能性はあるのだろうか。

これも現時点では、残念ながら厳しそうだ。これは、なかのアセットマネジメントの設定・解約状況を見れば分かる。設定額から解約額と償還額を差し引き、プラスなら資金純流入、マイナスは資金純流出を示すが、なかのアセットマネジメントの場合は償還されるファンドがないので、設定額から解約額を差し引くと、資金純流出入が計算できる。ここでは投資信託協会のホームページから取ったデータを用いて検証してみよう。
基本的に、ファンドが設定された2024年4月以降、ほぼ安定的に資金は純流入が続いている。これはとても大事なことで、資金の純流入が途絶えて純流出に転じると、満足な運用が出来なくなる。資金が流出する分、キャッシュを作らなければならないからだ。
ただ、資金の純流入額が徐々に落ちてきている。前年同月比を計算できるのは、2025年4月からだが、同月から2025年12月末まで、資金純流入額の前年同月比はマイナスが続いた。が、毎年1月は、NISAの枠を使って年初に一括投資をする人が増えるせいか、どの資産運用会社も資金流入が膨らむ傾向が見られる。なかのアセットマネジメントも例外ではなく、前年同月比149.30%増と、資金純流入額は大きく伸びた。

この傾向が続けば、復活の芽も多少は期待できるのかも知れないが、いずれにしても2月以降の数字を見なければ何とも言えない。なかでも気になるのが、「なかの世界成長ファンド」の資金流入ペースが、大きくスローダウンしていることだ。設定当初は月間2~3億円のペースで資金流入していたが、最近は2000万円台まで落ち込んでいるし、昨年12月は資金純流出となった。
資産運用会社にとって、自らのビジネスが成長しているかどうかは、ファンドの純資産総額の増加ペースで示される。純資産総額は、ファンドに組み入れられている資産の時価総額を示すので、その増減は、運用スキルの高低と、人気の有無を掛け合わせたものになる。運用スキルが高く、それによって良好な運用成績を維持した結果、人気が高まって購入者が増え、純資産総額が増加するという流れは、その資産運用会社の成長を裏付けることになる。
逆に、資金純流出が続いたり、資金純流入のペースが落ちたりするのは、運用しているファンドの人気が後退していることを意味し、それを運用している資産運用会社の成長が鈍化していることを物語っている。
鳴り物入りでスタートを切った、なかのアセットマネジメントだが、これらの数字を見る限り、ビジネスが順調に伸びているようには見えない。しかも、運用開始から2年足らずでこの体たらくだ。
なかのアセットマネジメントの運用部は一時、最高投資責任者である中野晴啓氏以下、全部で9名体制だったが、昨年秋口にポートフォリオマネジャー兼シニアアナリストが辞め、年末には「なかの世界成長ファンド」の運用責任者だった運用副部長と、その下で組入ファンドの選定業務に当たっていたと思われるアナリストが退社。さらに今年1月末には、ポートフォリオマネジャー兼シニアアナリストが辞めている。
会社側は円満退社と言っているが、これだけ短期間のうちに、運用部の人間が4名も辞めるのは異常だ。現状、マーケティング担当者として入社した若手社員をアナリストに転属させ、体制を立て直そうとしているようだが、そもそも全員が一丸となり、理想に向かって邁進している組織なら、これだけ短期間のうちに4人もの社員が辞めるようなことにはならない。辞表を提出した本当の理由は、本人にしか分からないことだが、会社に未来を見出せずに辞表を出したとしたら、運用成績うんぬんの前に、組織として深刻な問題を抱えていることになる。
それでも楽天証券は、「なかの日本成長ファンド」をiDeCoの対象ファンドに加えた。リサーチ不足としか言いようがない。

鈴木雅光(すずき・まさみつ)
金融ジャーナリスト
JOYnt代表。岡三証券、公社債新聞社、金融データシステムを経て独立し(有)JOYnt設立し代表に。雑誌への寄稿、単行本執筆のほか、投資信託、経済マーケットを中心に幅広くプロデュース業を展開。
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