鈴木雅光の「奔放自在」

2026年、投資信託業界のキーワードは「優勝劣敗」

2025/12/12

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2025年は日米株が堅調に推移し、インデックス投資が高い成果を上げた一年だった。一方で、アクティブファンドや小規模運用会社の苦戦も鮮明になっている。
この記事で分かること:2025年相場の振り返り/インデックスとアクティブの明暗/2026年以降の投資信託業界の行方。

2025年もあと僅か。今年も日米の株式市場は順調に値上がりしました。2025年の年初から12月15日までのマーケットの値動きを振り返ると、以下のようになります。

日経平均株価・・・・・・3万9945円→5万168円
TOPIX・・・・・・2792.10ポイント→3431.47ポイント
グロース250・・・・・・646.46ポイント→669.05ポイント
東証REIT指数・・・・・・1668.93ポイント→1988.09ポイント
S&P500・・・・・・5903.26ポイント→6801.79ポイント
NASDAQ総合・・・・・・19403.9ポイント→23195.16ポイント

日経平均株価は3年連続で陽線をつけました。と同時に、ボラティリティの高い1年だったのも事実で、最安値と最高値を見ると、3万792円から5万2636円で推移しました。実に2万1844円もの幅があったのです。4月にトランプ関税の発表による大暴落があり、その後は5万円を超えて値上がりしたことから、大きな値幅が示現しました。

対して、日本株でも冴えなかったのがグロース指数です。グロース250指数の値動きを見ると、トランプ関税暴落で531ポイントまで下落した後、8月19日にかけて803ポイントまで上昇しました。2024年までは典型的なバリュー相場が続く一方、グロース株は放置され続けたため、ようやくグロース相場が到来かと思いましたが、好調だったのはここまで。12月15日にかけてダウントレンドが続き、669.05ポイントまで戻ってきてしまいました。

言うなれば「行って来い」の相場展開ですが、もし年内、さらに値下がりして陰線を引くようなことになると、グロース250指数は5年連続で陰線を描くことになります。

一方、米国株はAI関連投資が堅調に進んだことから、GAFAMといったハイテク関連を中心に買い進められ、S&P500は15.22%の上昇となりました。またNASDAQ総合も19.54%の上昇率となっています。昨年の秋口から、米国株式市場については慎重な見方が浮上していましたが、1年を通じて見ると、堅調な展開になりました。

資産運用に関していえば、素直にインデックスファンドで運用するのが、最も効率良くリターンが稼げた1年だったと思います。実際、1年を通じてインデックスファンドは高い人気を維持しました。特に三菱UFJアセットマネジメントが設定・運用している「eMAXIS Slim」の米国株式(S&P500)と全世界株式(オール・カントリー)は順調な資金流入が続き、両ファンドを合わせた純資産総額は18兆円を超えました。

しかし、一方で不振だったのがアクティブファンドです。特に組入銘柄数を絞って運用する厳選投資型のファンドは、運用成績でも苦戦を強いられたようです。

では、2026年の投資信託業界はどうなるでしょうか。

恐らく「優勝劣敗」の動きが強まるのではないかと見ています。強い運用会社が残り、運用資産が集まっていない運用会社は、淘汰を強いられるのではないでしょうか。

2025年9月、PayPayアセットマネジメントが投資信託事業から撤退しました。これまでも2社ほど、投資信託事業を営む資産運用会社の撤退はありましたが、いずれも業務改善命令を満たすことができないまま、強制的に投資信託事業から退場させられました。

しかし、PayPayアセットマネジメントの投資信託事業撤退は、運用資産の拡大が思うように進まなかったというのが理由です。後にも先にも、事業環境の先行き不透明を理由に投資信託事業から撤退したのは、初めてのことでした。

このような前例が出来ると、恐らくこれからも同じような理由で投資信託事業から撤退する資産運用会社が出てくることが考えられます。実際、国内で投資信託事業を展開している資産運用会社のなかには、PayPayアセットマネジメントが撤退する前の運用資産総額を下回っているところが、いくつも見られます。2026年以降は、この手の資産運用会社が撤退するかどうかを迫られることになるでしょう。

2024年以降、NISAの非課税限度額が引き上げられたことに加え、2027年1月には企業型DCや他の企業年金制度(確定給付企業年金:DBなど)に加入している会社員や公務員のiDeCo拠出限度額が大幅に引き上げられ、企業型DCとの合計上限が統一されます。

結果、これから2年内に、個人が長期資産運用を行う土壌が、徐々に整ってきます。それに際して、NISAやiDeCoで資産形成をする際の主要投資対象である投資信託も、長期資産運用に耐えうるかどうかが問われてきます。そうなると、運用資産残高が少なく、業績が全く上がらないような資産運用会社は、運用の継続性という観点から、極めて望ましくないということになります。

現時点においても、運用資産の総額が100億円に満たないような資産運用会社が存在しています。業績は赤字が続いています。それでも少額ながら運用資金が集まっているのですが、いきなり事業撤退ということになったら、その時点で運用の継続性が途切れてしまいます。

この手の資産運用会社については期限を切り、黒字化のメドが立たない場合は、外部のファンドマネジメント会社に運用資産を移管して、自分のところは投資助言業に特化して運用を継続させるといった施策を取る必要がありますし、その手の動きが2026年以降、徐々に出てくるものと考えています。

鈴木雅光(すずき・まさみつ)

金融ジャーナリスト
JOYnt代表。岡三証券、公社債新聞社、金融データシステムを経て独立し(有)JOYnt設立し代表に。雑誌への寄稿、単行本執筆のほか、投資信託、経済マーケットを中心に幅広くプロデュース業を展開。


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