鈴木雅光の「奔放自在」

アクティブファンドを買った後にすること

2025/08/22

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アクティブファンドは市場平均を上回るリターンを狙う投資信託です。購入後は基準価額の変動だけでなく、ベンチマーク比較や資金流出入を定期的にチェックすることが成功の鍵となります。

投資信託の運用スタイルは、おおまかに「インデックス運用」と「アクティブ運用」に分かれます。
インデックス運用は、TOPIXやS&P500といった株価指数への連動を目指す運用です。対してアクティブ運用は、株価指数などをベンチマークとし、それを上回るリターンの実現を目指します。

株価指数など市場全体の値動きを「ベータ(β)」といい、銘柄選択をはじめとする運用力によって生み出される、βを超えたリターンを「アルファ(α)」といいます。インデックス運用の場合、βに対して高度な連動率を実現することが最大の目標になるので、そのリターンは基本的にβのみになります。

一方、アクティブ運用のリターンは、市場全体の値動きに左右されるのと同時に、前述した運用力からも影響を受けます。つまりαとβという2つの要素が、アクティブ運用のリターンを左右することになります。そして、このαこそが、アクティブ運用にとって重要な付加価値になります。

先日、金融庁が「プログレスレポート」を公表しました。このうち私が注目したのは、アクティブファンドの信託報酬の妥当値について触れたことです。そこには大手運用会社と金融庁の対話を通じて確認したもので、工夫がみられる事例として、「典型的なアクティブファンドの場合、信託報酬は期待される超過収益(期待α)の半分以下を基準としている」と明記されていました。

ということは、超過収益を生み出さないアクティブファンドは、それを保有し続ける意味がないことになります。したがってアクティブファンドを購入したら、定期的に運用成績をチェックするようにしましょう。

ただ、ここで言う運用成績とは、単純に基準価額の上がり下がりだけを見れば良いということではありません。大事なのはベンチマーク対比の運用成績です。

たとえば日本株を対象にしたアクティブファンドであれば、日経平均株価やTOPIXに対して、どれだけそれを上回るリターンを実現できているのか、という点がポイントになります。当面は、購入して1年くらいの運用成績をウォッチして、ベンチマークと比較してみましょう。決算日ごとに作成される「運用報告書」に、基準価額と参考指数の値上がり率、値下がり率が掲載されているので、それが参考になります。そして、常に運用成績がベンチマークを下回っているようなら、他のファンドへの乗り換えを検討します。

一般的にアクティブファンドの運用コストは、インデックスファンドに比べて高めに設定されています。それなのにベンチマークを下回る運用成績しか出せなかったとしたら、そのアクティブファンドは高いコストを払うだけの付加価値がない、ということになります。

もうひとつ、継続的にチェックしておきたいのは、資金の純流出入です。ただ、資金の純流出入は、自分で計算しなければなりません。

誤解しがちなのは、純資産総額の増減で、資金の流出入を判断してしまうことです。純資産総額はファンドに組み入れられている株式や債券の時価総額を示すものなので、もちろん追加設定による組入資産の増加、解約による組入資産の減少の影響もありますが、同時に組入資産の値上がり・値下がりによる影響も受けます。

そのため、マーケットが順調に値上がりしている局面では、設定額よりも解約額が多くて資金純流出になっているにも関わらず、組入資産の評価額が増大して純資産総額が増えているということも起こり得ます。

つまり純資産総額の増減だけでは、資金の純流出入状況は分からないのです。

これを把握するための簡単な方法としては、純資産総額の増減率と、基準価額の騰落率を比べるという方法があります。一定の計測期間を決めて、その期間中に基準価額が何パーセント上昇・下落したのか、それと同じ期間で、純資産総額が何パーセント増減したのかを比較するのです。

仮に、1か月間で基準価額が2%上昇する一方、純資産総額の増減率が1%しかなかったら、これは資金が流出していることを意味します。また、基準価額が2%マイナスなのに、純資産総額が1%増えていたとしたら、それは資金が流入していることを意味します。

なぜそう判断できるのかというと、基準価額は1口あたりの純資産総額だからです。つまり基準価額が値上がりするなかで純資産総額が減ったり、あるいは基準価額の上昇率に比べて純資産総額の増加率が小さかったりするのは、設定額に対して解約額が多く、受益権口数が減っていることを意味するのです。

長期にわたって資金純流出が続いているアクティブファンドも、解約する理由になります。資金純流出が続くアクティブファンドは、運用成績が上がりにくくなる傾向が見られるからです。

アクティブファンドを購入したら、時々でも良いので運用成績と資金の流出入状況はチェックするようにして下さい。

鈴木雅光(すずき・まさみつ)

金融ジャーナリスト
JOYnt代表。岡三証券、公社債新聞社、金融データシステムを経て独立し(有)JOYnt設立し代表に。雑誌への寄稿、単行本執筆のほか、投資信託、経済マーケットを中心に幅広くプロデュース業を展開。


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