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フライングバックジャパン31
インタビュー:2018年10月11日

米国好景気の終焉か!?今後のマーケットを予測する

10月に入り、国内外の株式市場は大幅な調整となりました。またそれを受けて、リスク回避のための円買いも進んでいます。

足掛け10年にわたって拡大が続いた米国景気は、いよいよ最終局面を迎えようとしているのでしょうか。また、これからの株価、為替はどのように動くのでしょうか。ワカバヤシFXアソシエイツ代表の若林栄四氏に、今後の動向を伺いました。

NYダウはWトップを経て強烈な下げに

――

10月10日、11日と2日間で、ニューヨーク・ダウが急落しました。この下げをどのように考えればよろしいでしょうか。

若林

日米ともに今年1月に株価は高値をつけました。ニューヨーク・ダウは1月26日に26616.71ドルを付けた後に調整し、10月3日に26951.81ドルで高値更新。

日経平均株価は、1月23日に24129.34円の高値をつけてから下落に転じ、調整局面を経て10月2日に24448.07円で高値を更新しています。

これはつまりダブルトップです。ダブルトップを形成した後の下落は、かなりきついものになるでしょう。日米ともにいよいよ株価は本格的な下落局面を迎えたと考えられます。

リラティブ・ストレングス・インデックス、つまりRSIの推移をみると、日米ともに10月上旬にかけて高値を更新してはいるものの、RSIが1月の高値をつけた時に比べて低い水準にとどまっています。

若林栄四
若林

これは、要するに相場のモメンタムが弱いことを意味しています。モメンタムが弱いのにも関わらず高値を抜いたということは、それだけ実体が伴わない株価上昇であることを意味します。

では、どこまで下げるのかということですが、前述したように、ダブルトップを形成した相場ですから、下げはきつくなります。基本的にダブルトップ形成後の下げは、一番安かった水準を割り込むところまで下げるのがパターンなので、ニューヨーク・ダウで言えば、今年4月2日につけた安値、23344.52ドルを割り込むところまで下げると思います。

それと同じ事で言えば、日経平均株価は3月26日に20347.49円という安値があるので、目先はこれを割り込むところまで調整しないと収まらないはずです。つまり、あと2000円程度の下げは見込んでおくべきでしょう。

 

――

株式市場の調整は長引きそうですか。

若林

とにかく、米国のやり過ぎの反動がどう出てくるのかに注目しています。現状、米国はデフレの底を尽いていない。これまで40年にわたり、資源バブルによって大きく膨らんだマネーが、縮小しようとしています。いや、現実にはもう縮小に向かっている。たとえばサウジアラビアが財政赤字に陥っているのは、資源バブルが崩壊しつつあることを何よりも雄弁に物語っています。

加えて、これが米国をはじめとして、世界の中央銀行の罪深いところなのですが、原油価格は2008年の時点で1バレル=147ドルの高値を形成して、そこから下落したわけです。つまり、この時点で資源バブルは終わりを告げ、原油価格の上昇によって膨れ上がったマネーは、縮小へと向かうはずでした。

ところが、リーマンショックから早期に経済を立て直そうとして、米国や欧州、日本の中央銀行は、QEなどと称して、総額1000兆円規模のお札を刷って、市中にばら撒いたわけです。これによって、バブルが一気に煽られました。いったい、QEに何の意味があったのかといえば、本来なら下げていたはずの株式相場を無理やり持ち上げて、株価を維持しただけのことです。

現状、FRBはQEで買い上げた債券を保有したままなので、まだ本格的なマネーの縮小は起こっていませんが、どこかの局面で、FRBが買い上げた債券を売却することになったら、その時こそ本格的にマネーの縮小が加速するでしょう。つまり株価はこれから下落に転じます。

なぜ株価が下落するのか。巷では、いろいろな理由づけがなされます。米中貿易戦争の激化とか、ハードブレグジットの問題、あるいはいよいよ米国景気が後退局面に入るといったことが、メディアなどで識者のコメントとして掲載されるでしょう。

でも、こんなものは、どれもこれも後付けの理由でしかありません。上がり過ぎたものは下げる。下げ過ぎたものは上がる。ただそれだけです。世界中で滅茶苦茶なことをやって、株価は実体以上に大きく上昇したわけですから、ここから下げに転じるのは当たり前のことなのです。

 

米国経済のリセッションとドル高の終わり

――

そうなると、米国の景気もいよいよリセッションに入るということですか。

若林

米国の景気拡大は、2009年から始まっていますから、かれこれもう9年にわたって景気が拡大し続けています。過去、米国の景気拡大局面で一番長かったのが120カ月ですから、間もなくそれを超えるかどうかというところまで来ています。

いずれにしても、米国の景気がスローダウンするのは時間の問題です。

米国の景気がスローダウンするとしたら、FRBはどこかの段階で金融緩和に転じるはずです。過去の経験則から申し上げると、最初の金融緩和が行われる半年前に、株価は天井を打ちます。もし、10月3日につけた26951.81ドルの高値が天井だとすると、来年4月のFOMCから金融緩和が始まると考えられます。

そして、今年9月に行われたFOMCが、今回の金融引き締め局面における、最後の利上げになる可能性は大と見ています。つまり米国の景気は、いよいよ本格的な後退局面に入っていくと考えられます。

 

――

若林さんのシナリオが現実化した時、米ドル/円はどうなるのでしょうか。

若林

これまで米ドルが買われ、1米ドル=114円台に入りましたが、これで米ドルは戻り高値を見たと考えるのが妥当かと思います。

なぜ、1米ドル=114円まで米ドル高・円安が進んだのかといえば、ひとえに米国の景気先行きに対する期待感があったからでしょう。これから先もしばらく米国の景気は安定的に良くなるとすれば、金利はまだ上昇する余地がある。つまり米ドルは買いだということになります。

しかし、まさに今、「米国の景気は好調である」という前提条件が、崩れ去ろうとしています。本格的な景気後退局面入りとなれば、米国の長期金利は低下し、株価は下落するでしょう。日米金利差の縮小は円買い要因ですし、米国の株価がいよいよ本格的な下落に転じれば、リスク・リダクションの動きが一気に加速して、これも円買いにつながっていきます。

つまり、ここから先はいつ猛烈な円高になるのかという点を、しっかり認識しておくべきだと思います。タイミング的に、もう間もなく米ドルは下落に転じるのではないでしょうか。それも、猛烈な下げになると考えています。

 

為替は単なる記号

――

米ドルが下落するなか、ユーロはどうなるのでしょうか。

若林

上がります。これはもう後付けの理由など、どうでも良い話です。今、ユーロが売られる理由として取りざたされているのが、イタリアの財政赤字問題、あるいはハードブレグジット問題ですが、私に言わせれば、この手のファンダメンタルズに関する話は、為替レートを決定する要素にはなりません。為替は単なる記号です。記号なのですから、ファンダメンタルズも何もあったものではありません。

では、なぜユーロは上がると断言できるのかというと、これまで下げ続けたからです。ユーロ/米ドルは2008年に1ユーロ=1.57米ドルまで上昇した後、ひたすら下げトレンドが続き、2017年1月には1.03米ドルまで下落しました。ここまで下げたものが今、上昇に転じようとしているのですから、ユーロは対米ドルで、これからも上昇していくでしょう。何しろ、米ドルはこれから猛烈な下げに見舞われるのですから、どのような形であれ、ユーロは上がります。

ところで、ユーロに参加したことで良くなった国と、悪くなった国があることに気付いていらっしゃいますか。

たとえばオランダ。1970年代のオランダはロクでもない国とまで言われたのですが、今では優良国とまで言われています。これはERMに参加した時、かつてオランダの通貨だったダッチギルダーの値動きを、あらかじめ決められた一定のレンジ内に収めなければならないため、マクロ政策を、その当時の優良国だった西ドイツに合わせようとしたからです。

一方、イタリアやスペインなどラテンの国々は、財政赤字などをごまかし続けたものの、ここに来て、これ以上のごまかしが効かなくなり、いよいよ大変な事態に直面しているわけで、これがユーロ売りの材料と考えられているわけですが、ユーロにとって足手まといになっているイタリアやスペイン、あるいはギリシャをユーロから追い出せば、ユーロは今以上に優秀な通貨になるとも考えられます。

このような共通認識が形成されれば、ユーロはむしろ大きく上昇するでしょう。つまり、材料で考えると、ユーロは上がるかも知れないし、下がるかも知れないのです。

これは、為替相場を見るうえで、ファンダメンタルズは何の意味も持たないことの好例です。

 

12月トランプによる悪計

――

米国は12月のFOMCで利上げを行えるでしょうか。

若林

米国の株価はすでに異常値にあると見て良いでしょう。たとえばアマゾンの株価は、一時的に2050ドルまで値上がりし、時価総額は一瞬、1兆ドルにタッチしました。で、その後は大幅に下げている。何しろPERが150倍というのは、異常値以外の何ものでもなく、そうである以上、これから大幅な調整局面に入るのは必至でしょう。

問題はトランプ大統領です。株価がさらに大きく調整すれば、必ず株価下落を誰かのせいにするはずです。すでにトランプ大統領は、10月の株価急落を受け、「FRBは誤りを犯している。引き締めすぎだ。FRBはクレージーだと思う」と、FRBを公然と批判する、異例とも思えるコメントを発表しました。

トランプ大統領によるプレッシャーが強まるなか、果たしてFRBは12月のFOMCで利上げを実施できるかどうか、大いに注目されるところです。あのトランプのことですから、パウエルFRB議長を解任するなどと騒ぐ恐れもあります。もし利上げができないとなれば、米ドル安が加速し、日本ではアベノミクスの逆転現象、すなわち円高、株安、金利高が進行すると見ています。

――

ありがとうございました。



若林栄四氏プロフィール

若林栄四  わかばやし・えいし

ワカバヤシ エフエックス アソシエイツ代表

1966年東京銀行(現、三菱東京UFJ銀行)入行。シンガポール支店、本店為替資金部及びニューヨーク支店次長を経て勧角証券(アメリカ)執行副社長を歴任。現在、ニューヨークを拠点として、ファイナンシャル・コンサルタントとして活躍する傍ら、日本では株式会社ワカヤバシ エフエックス アソシエイツ(本邦法人)の代表取締役を務める。
著書:
『世界経済の破断界 世界に吹き荒れる後退とデフレの真実』(ビジネス社/2015年10月)
『黄金の相場予測2016 覚醒する大円高』(日本実業出版社/2016年2月)
・最新刊 『黄金の相場予測2017 ヘリコプターマネー』(日本実業出版社/2017年3月)、好評発売中。

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