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フライングバックジャパン29
  
公開日:2017年10月18日
相場の激動が始まる

米国、日本とも株価は堅調に推移し、為替も米国の好景気を反映してドル高基調で推移しています。今後、注目されるのは12月のFOMCで利上げが行われるかどうかです。今後の金融政策の行方、為替や日米の株価動向について、若林栄四氏に話を伺いました。

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9月に1ドル=107円台まで進んだ円高が、10月に入って一時113円台まで円安に転じました。今後のドル円の動きをどうみますか。
若林
激動の一言に尽きると思いますよ。このところ112~113円でウロウロしていたドル円ですが、チャートの形から考えても、ここから先、円安が進むとは思えません。円高になるでしょう。

円安論者の根拠は、米国の金利上昇にあります。12月に行われるFOMCで、FFレートの引き上げが行われる、そうであればドルが買われるから円安だ、ということですが、人の相場観はその時の動きに大きく左右されます。

たとえば9月8日、米国の長期金利が2.01%まで低下した時、75%の人たちは「年内の利上げはない」と言っていました。それが今、2.4%まで長期金利が上昇すると、「年内利上げは確実」などと言っています。
若林栄四
 

では、米国の長期金利が今後、どう動くのかということですが、過去の流れを見ると、昨年12月に2.639%を付けた後、今年の9月に2.01%まで低下し、10月に入って2.4%台まで戻してきました。

利回り的には6割戻しですから、恐らく2.4%までの上昇が良いところで、ここから先は低下へと向かうはずです。

今の円安は、米国の利上げを織り込んだ動きですから、利上げが出来ないとなれば当然、ドルは売られます。つまり円高が進むということです。目先のビューで言えば、来年1~2月にかけて、1ドル=100円くらいまで円高が進むでしょう。

――
米国の長期金利上昇が頭打ちになり、円高が進むと、米国の株価はどうなるのでしょうか。
若林

今、米国の株式市場では弱気筋の声が全く聞こえて来なくなりました。あのウォーレン・バフェットでさえ、長期的にNYダウは100万ドルに乗せるなどと言っている。本来、弱気の人間も含めて皆が強気になった時が、最も危ないのです。だから、今は非常に危ない状況にあるということを、きちんと認識しましょう。それで、米国株の動きですが、恐らく近々、大きく下げた後、12月に向けて一旦は戻すでしょう。

しかし、そこから再び下げに転じると見ています。差し詰め、今回想定される米国株下落は、1929年スタイルだと思います。1929年9月3日、NYダウは386ドルの高値を付けた後、11月13日に195ドルまで下げました。その後、1930年4月にかけて297ドルまで戻したのですが、そこからひたすら下落に転じ、1932年7月に40ドルの大底を打つという流れです。

NYダウは2万2800ドルまで上昇しましたが、私の計算によると、NYダウは2万1800~2万1900ドルが天井圏です。NYダウが大恐慌前に天井を打った1929年9月3日からの88.2年は、今年の11月15日あたりになりますから、この前後が非常に危ない。ちなみに88.2年は、100年から黄金分割の重要数字である11.8を差し引いたものです。

したがって、間もなくNYダウは下げに転じます。一旦、12月にかけて戻しますが、そこから強烈な下げになるでしょう。そもそも、日本の経済ニュースで、キャスターが「米国株はノーリスクですね」などと言っていること自体、いかに世の中が株価の先行きに対して強気であるかの証左です。そういう慢心が広まった時、大きな下げに見舞われる恐れがあるのです。

 

――
ドル安、株安が進む先に、いよいよ米国経済は深刻なデフレに入ると考えて良いのでしょうか。
若林

原油価格を見れば分かりますが、すでに世界的に資源バブルは終わりを告げています。WTIの価格は2008年7月に1バレル=147ドル台まで上昇しましたが、翌年2月には39ドル台まで下げ、2011年2月には100ドル台までの戻りをやった後、2015年1月以降は50ドルを挟んだ動きが続いています。

かつて147ドルだった原油価格が50ドルまで下がれば、世界的な規模でマネーの総量はシュリンクします。産油国であるサウジアラビアが昨年、1.8兆円規模の赤字国債を発行したのは、原油安の影響で国の財政が回らなくなったからです。

本来なら、この時点で米国の株価は相当程度、下げなければなりませんが、現状、高値を更新しています。なぜなら、米国の中央銀行組織であるFRBが、ひたすら金融を緩和し続けているからです。

逆に利上げをすれば、マネーは一気にシュリンクして、米国株は急落するでしょうし、米国経済はいよいよデフレ経済が顕在化します。

もうひとつ、米国の株価上昇の背景にある「自社株買い」の問題点も顕在化するでしょう。自社株買いは、企業が借金をして自分の会社の株式を買うという行為です。そして株価を吊り上げ、経営者は多額の報酬を手にしています。言うなれば、強欲資本主義そのものといっても良いでしょう。

ということは、2万2800ドルという現在の米国の株価には、相当程度のレバレッジによるかさ上げ分が含まれていると考えられます。株価の先行きに不安感が浮上すれば、こうしたレバレッジは簡単に崩壊します。その分も含めて考えれば、米国株の足元は、かなり脆弱であるといわざるを得ません。

 

――
米国株の下落、円高が日本株に及ぼす影響をどう考えれば良いでしょうか。
若林

今の日本の株式市場は、日銀のETF買いを通じて上昇している相場です。中央銀行がどんどん株を買っているという、非常に奇妙な相場になっています。

ドル建て日経平均株価は現在、184ドル近辺で推移しています。ドル建て日経平均株価は、1989年第4四半期の時で273ドルでしたが、そこから暴落して、2003年第2四半期で63ドルまで下げました。そこから徐々に回復し、現在の184ドルになっているわけですが、89年第4四半期に付けたピークからラインを引くと、182ドル50セントが限界です。つまり、これから下げるわけです。

ドル建て日経平均株価は、円建て日経平均株価とドル円の掛け算ですから、円建て日経平均株価が下落するのと同時に、円高になると下落します。また円建て日経平均株価がそのままの水準を維持していても、円高になれば下落します。今後、円高が進めば、ドル建て日経平均株価は上がりにくくなり、外国人投資家の失望売りが出てくるでしょう。日経平均株価は10月13日にかけて、2万1000円を超えてきましたが、いよいよ上昇も限界を迎えると思います。

 

若林栄四

――
ユーロの行方をどう見ていますか。
若林
ユーロドルは、1ユーロ=1.19ドル台を付けた後、現在は1.17ドル近辺で推移しています。ECBが出口戦略を模索しているという話で、ユーロが買われているわけですが、それでもなかなか1.19ドルを抜けずにいます。これを抜けるようなことがあれば、1.25ドルから1.27ドルまでの上昇は期待できそうですが、正直、ユーロの動向については、よくわからないというのが正直なところです。

とはいえ、流れとしてはしばらくユーロ高でしょう。理由は、これから先、米国経済がドル安、株安、デフレによって混乱するからです。

ただ、少し怖いのはユーロ円でしょうね。2014年12月に1ユーロ=149円台まで戻した後、2016年6月に109円台まで下げてそこから61.8%戻しの134円44銭ですから、ユーロ高はこれで一旦終わり、円は対ドルだけでなく、対ユーロでも上昇すると見ています。
――

本日はありがとうございました。



若林栄四氏プロフィール

若林栄四  わかばやし・えいし

ワカバヤシ エフエックス アソシエイツ代表

1966年東京銀行(現、三菱東京UFJ銀行)入行。シンガポール支店、本店為替資金部及びニューヨーク支店次長を経て勧角証券(アメリカ)執行副社長を歴任。現在、ニューヨークを拠点として、ファイナンシャル・コンサルタントとして活躍する傍ら、日本では株式会社ワカヤバシ エフエックス アソシエイツ(本邦法人)の代表取締役を務める。
著書:
『世界経済の破断界 世界に吹き荒れる後退とデフレの真実』(ビジネス社/2015年10月)
『黄金の相場予測2016 覚醒する大円高』(日本実業出版社/2016年2月)
・最新刊 『黄金の相場予測2017 ヘリコプターマネー』(日本実業出版社/2017年3月)、好評発売中。

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