ドル円相場は乱高下
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2026年2月2日、酒匂隆雄氏が激動のドル円相場を解説。トランプ大統領のドル安容認やベッセント財務長官の発言、さらには高市総理の円安歓迎発言とその後の火消しにより相場は乱高下しました。この記事で分かること:米当局の本音/高市総理発言の影響/今週の順張り戦略
2026年2月2日号
先週のドル円相場は、前週の『レート・チェック騒動』の余韻が続き、又お騒がせトランプ大統領が、急速なドル安進行について「ドルは絶好調だ。ドル安を懸念していない。」と述べ、市場はドル安容認の姿勢ととらえて一時152.10と、昨年10月29日以来の水準まで下落した。
ドルは対円だけではなく、対主要通貨に対しても年初来大きく下げていたが、同時に債券価格も下げており(金利は上昇)、ドル安&債券安と言うベッセント財務長官が嫌う動きを見せていた。
下の表の左半分は年初と、ドル円相場が安値を付けた1月27日との比較を示しているが、ドルは大きく下げ、金利は上昇していた。

| 銘柄 | 1/5 | 1/27 | 比較 | 1/30 | 比較 |
|---|---|---|---|---|---|
| ドル円 | 156.39 | 152.18 | -2.70% | 154.76 | +1.70% |
| ユーロ/ドル | 1.1720 | 1.2045 | +2.80% | 1.185 | -1.60% |
| ポンド/ドル | 1.3540 | 1.3852 | +2.30% | 1.3683 | -1.20% |
| 豪ドル/ドル | 0.6713 | 0.7012 | +4.50% | 0.6962 | -0.70% |
| 日本10年債 | 2.120% | 2.280% | +0.16% | 2.240% | -0.040% |
| 米国10年債 | 4.155% | 4.243% | +0.088% | 4.241% | -0.002% |
対円でのドル下落はベッセント長官としても想定内であっただろうが、対主要通貨に対する同規模のドルの下落には潔しとしないと思っていた事には驚かない。
その後、CNBCに出演したベッセント長官は、
「円を強くするために為替市場で介入しましたか?」との問いに対して、
「米国は現在、ドル円相場にまったく介入していない。」と答え、又
「ニューヨークのFedがプライスを聞いたようですが、何か計画していますか?」との問いに対しては、
「我々はコメントしない。言えるのは、我々は強いドル政策があるということだけだ。」と答え、マーケットはすかさずドル買いで反応したが、筆者にはどうも理解出来ない。
今回、ニューヨークのFedが行ったのはレート・チェックだけであり、介入はしていない。
「介入をやったのか?」と言う質問に、「やっていない。」と正直に答えただけである。
強いドル政策に関しても、歴代の米財務長官はずっと、「強いドルはアメリカの国益である。(Strong Dollar is in America’s National Interest.)」 と言い続けており、ベッセント長官は同じ言葉を繰り返しただけである。
「Strong Dollar is not in America’s National Interest.(強いドルはアメリカの国益にはならない)」とでも言おうものなら、世界中の中央銀行や機関投資家が一斉にドル売りに走ってドルは紙くずになるので、米財務長官は未来永劫、『強いドルはアメリカの国益である』と言い続けなくてはならないのである。
『Strong Dollar』とは文字通り『強いドル』であり、『High valued Dollar(価値の高いドル)』とは違うものである。
1ドル=80円は明らかに「Low valued Dollar.(価値の低いドル)」であり、1ドル=160円は明らかに「High valued Dollar.(高価なドル)」なのである。
アメリカは、『強いドル』を標榜しながら、インフレ懸念に重きを置けば『価値の高いドル』が有利であり、貿易収支改善に重きを置けば『価値の低いドル』の方が有利であると言うジレンマに常に直面している。
トランプ政権が昨年春に、 『マール・アラーゴ合意』なる物で通貨調整(要するにドル安)を行って、貿易不均衡是正を図ろうとした事は未だ記憶に新しい。
(実は、未だこの“マール・アラーゴ合意。”は立ち消えになった訳ではない。)
今回のベッセント発言は、“当たり前の事。”を普通に話しただけであるが、上の表の左半分で見る様に市場が俄かドル・ショート、債券・ショートであった為に大きく値を戻す事になった。(上の表の右半分参照。)
また、次期FRB議長にウォーシュ元FRB.理事が任命されたこともドル高を促したとも言える。
ウォーシュ元FRB.理事はタカ派の論客(金融引き締めに積極的)と目されていたが、FRBの利下げに圧力を掛け続けるトランプが、この任命を承認した事でFRB.の独立性が取り敢えず守られたことを好感してドルは買われた。
(金が約12%、そして銀が約33%も暴落したのには驚いたが。)

週末には高市総理が衆院選の応援演説で、「今の円安は輸出産業にとっては大チャンス。外為特会(外国為替資金特別会計)の運用は今ほくほく状態だ。」とあたかも円安歓迎の様な発言をして週開けの相場展開がどうなるか懸念されたが、その後自らのXで「一般論として、円安は輸入物価の上昇を通じて、国民生活・事業活動の負担を増加させると言ったマイナス面がある。円高が良いのか、円安が良いのか分からない。これは総理が口にすべき事ではない。」と火消しに回り、週明けのドル円相場は一時155.51迄買い上げられたものの、昼過ぎには154円台へと下落して落ち着いた動きを見せている。
確かに、我が国の外貨準備は凡そ1兆3700万ドル有り、高市政権発足時の1ドル=148円から155円までの上昇で凡そ10兆円近くの為替益が出ており、そりゃあほくほくであろうが、「まあ、余計な事は言いなさんな。」と言う気がしないでもない。
来る衆院選挙では自民党圧勝が噂されているが、選挙は水物。
支持率変化や票読みに関する報道でドル円相場は神経質な動きを見せることが予想される、
ドル高&円安が進む局面では先ずは口先介入、そしてレート・チェックと実弾介入が行われる可能性は高い。
ドルの上値は極めて限られると考える。
今週のテクニカル分析
見立てはドルの反転を見て上がれば更に上昇、下がれば下落と言う順張りを推奨。
今週のレンジ


ドル円:152.00~156.00
ユーロ円:181.00~185.00
尚、シカゴ・IMMは1月26日付けで前週から7億ドル買い持ちを減らして約28億ドルの買い持ち、そして我が国個人投資家は1月27日付で前週から5億ドル買い持ちを増やして約7億ドルの買い持ちとなっており、両者共にドル・ロングで頑張っている。
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