鈴木雅光の「奔放自在」

読売333、株式新指標の真意とは

2025/05/30

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読売新聞が独自の株価指数「読売333」を発表。等ウェート方式で333銘柄を選定し、日本株の新たな指標となるのか注目が集まっています。

現在、日本国内で、日本株を対象にした株価インデックスを算出・公表しているのは、JPX総研と日本経済新聞社がメインですが、この手のインデックスは株価に限らず、債券やコモディティなどさまざまな資産に対応したものが、さまざまなインデックス・プロバイダーによって算出・公表されています。

読売333の算出実務を担っている野村フィデューシャリー・リサーチ&コンサルティングも、いくつかのインデックスを算出・公表しています。「Russell/Nomura日本株インデックス」、「NOMURA-BPI」、「野村日本株高配当70」、「野村高利回りJリート指数」、「NOMURA原油インデックス」がそれです。

このように、さまざまなインデックスが算出・公表されている理由は、第一に投資家がマーケット全体の方向性を把握するためです。

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第二に、インデックスはベンチマークとしての役割を果たしています。

ベンチマークとは、ファンドのパフォーマンスの良し悪しを測定するための基準値であり、そのベンチマークとして、各種インデックスが用いられています。

たとえばアクティブファンドは、その運用成績の優劣を判断するにあたり、各種インデックスをベンチマークに設定しています。仮にベンチマークが10%上昇した場合、同期間でそれを超えるリターンを実現できないアクティブファンドは、それを保有する受益者から割高の信託報酬を払う価値がないと判断されますし、その運用担当者は「運用が下手」という烙印を押されて、運用担当を外されるケースもあります。

また、インデックスファンドにとっては、この手のインデックスが連動対象になります。運用会社は、連動対象となるインデックスに対して、ファンドの運用成績を出来るだけ近づけるようなポートフォリオを組んで運用しますが、そのポートフォリオの出来具合によって、トラッキングエラーといって、100%連動しないケースも生じてきます。

読売新聞グループ本社は、読売333という新しい株価指数を開発したことによって、インデックス・プロバイダー業務に参入しました。では、読売333とはどのようなインデックスなのでしょうか。

読売新聞社によると、「日本を代表する企業、333銘柄で構成されたインデックス」であり、その特徴として「等ウェート型」という算出方法を採っているそうです。日本の全上場企業の中から、1日の平均売買代金と浮動株時価総額で、その上位333銘柄まで絞り込み、1銘柄につき約0.3%ずつという同じ比率で組み入れていきます。これが等ウェート型です。

他にもいくつか特徴があります。

今回、選定された333銘柄の特徴は、時価総額が数十兆円から数千億円までと幅広いこと、東京以外に本社を置く企業が37%を占めていること、東証17業種をすべてカバーしていること、東証のプライム市場銘柄だけでなくスタンダード市場銘柄も含まれていることがそれです。要するに偏りが少なく、したがって日本の株式市場を代表するインデックスになりうるということを言いたいのでしょう。

ただ、日本を代表する株価インデックスになるには、いささか課題もあります。

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まず指数の更新頻度が1日1回、午後5時を目途に行われること。つまり日経平均株価やTOPIXのように、午前9時から午後15時半までの間、リアルタイムで更新されるのではなく、1日のうちで1回しか値段が算出・公表されません。当面は1本値の公表で、リアルタイムの更新は投資家からのニーズを見て検討するということですが、1日1回の更新頻度では、投機マネーが入りにくくなります。投機マネーが入らないと流動性が高まりませんし、将来的に読売333の指数先物を上場する際にも、支障を来す恐れが生じてきます。

また、日本を代表する株価指数として定着するためには、知名度が必要になってきます。

かつて「日本株30(愛称J30)」という株価指数があったことを覚えていますか。毎日新聞社が1998年11月19日から算出・公表していたのですが、先物は上場されず、知名度もほとんど上がりませんでした。結果、2005年1月22日の算出・公表を最後に、無くなってしまったのです。

すでに日本にはJPX総研と日本経済新聞社が、世界的にも非常に有名なインデックスを算出・公表しているため、「それだけあれば十分」という声も当然あります。果たして、読売333は日本を代表する株価インデックスになり得るのか。今後が注目されます。

鈴木雅光(すずき・まさみつ)

金融ジャーナリスト
JOYnt代表。岡三証券、公社債新聞社、金融データシステムを経て独立し(有)JOYnt設立し代表に。雑誌への寄稿、単行本執筆のほか、投資信託、経済マーケットを中心に幅広くプロデュース業を展開。


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