鈴木雅光の「奔放自在」

積立投資と一括投資

2026/02/13

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1月はすでに過ぎてしまいましたが、毎年この時期になると必ず話題に上るのが、「NISAは一括で入金した方が良いのか、それとも定額積立にした方がいいのか」という話です。

ファイナンシャルプランナーと呼ばれている人たちは、多くが積立投資を勧めます。確かに積立投資は、

  • 少額資金で始められる
  • 毎月定額で購入することでドルコスト平均効果が得られる
  • 投資していることを忘れられる

という3つの特性を有していることから、特に投資初心者に向いていると言われています。

オンライン証券だと、月々の積立金額を1000円に設定しているところもありますし、毎月定額で買い続けると、値段が高い時は数量を少なく抑え、値段が安い時には数量を多く買い付けられることから、平均した時の買付単価を低めに抑えられる「ドルコスト平均効果」が期待できます。

また多くの場合、定額積立は指定銀行口座からの自動引落で行われるため、投資していることを意識することなく、いつの間にか資産形成が進みます。

確かに積立投資の認知度が高まったことで、初めて資産運用をスタートさせたという人は大分増えたのではないかと推察します。ただ、「積立投資は有利ですよ」というような物言いに関しては、何をもって「有利」というのかという点を突き詰める必要はありますが、それがもしリターンを指しているのだとしたら、大きな間違いです。

さまざまなメディアを通して、ファイナンシャルプランナーなど、さも資産運用に詳しい顔をして解説している人たちは大勢いますが、無邪気に積立投資を勧める自称専門家の言葉を信じてはいけません。

純粋に運用の収益性を比較した場合、少なくともこの7年半で考えると、一括投資の方が圧倒的に有利です。

2018年7月から毎月末に、5万円ずつ積み立てたとしましょう。対象ファンドは「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」を用います。最終の積立月は2025年12月末で、積立回数は90回です。5万円×90回なので、積立総額は450万円になります。

2026年1月28日時点の基準価額は3万8933円でした。この場合、2018年7月末から積立投資をスタートさせた場合の評価額は、1054万3160円になります。7年半の運用期間で、資産が約2.3倍になった計算です。この数字を見て、「積立投資は有利だ」と思う人も、恐らくいるでしょう。

では、一括投資した場合はどうでしょうか。2018年7月末に、積立総額の450万円を一括で同じファンドに投じ、2026年1月28日まで運用した場合の評価額がいくらになるのかを計算すると、1696万165円になります。実に3.7倍です。ちなみに積立投資との収益差を評価額ベースで見ると、641万7004円にもなります。7年半の運用期間で641万7004円の差は、決して少額とは言えません。決定的な差と言っても良いでしょう。

もちろん、運用開始時点が2018年7月末だから、これだけの差が生じたのであって、他の月末を運用開始時点にした場合は、また違う結果が出るのではないか、という意見もありそうなので、1カ月ずつずらして、それぞれの評価額を比較してみると、大半の月において一括投資の方が、積立投資に比べて高いリターンが得られるのです。

数少ない例外が2024年12月末と、2025年1月を起点にして投資をスタートさせた場合です。2024年12月末は5769円、2025年1月末は1201円、一括投資に比べて積立投資の方が、高いリターンを実現しています。

とはいえ、この金額は僅差でしかありませんし、それこそ運用を開始してから1年前後の運用期間しか経ていないので、決定的な差とは言えません。

では、どうして大半の期間において、一括投資が積立投資を上回るリターンを実現できたのでしょうか。

それはマーケット環境が一括投資に有利だったから、です。

2018年7月から直近までの米国株式市場は、最近でこそややもたついてはいるものの、おおむね右肩上がりの上昇を続けてきました。こういう時は、価格の安い時にまとめて投資した方が積立投資に比べて収益性が高まります。右肩上がりのマーケットで積立投資をすると、積み立てるタイミングが後ろに行けば行くほど、高い値段で買わなければなりません。結果、高い値段で買った分のリターンが小さくなるため、トータルで見た時の収益性が、一括投資に比べて低くならざるを得ないのです。

逆に、積立投資にとって有利な局面はどういう時かというと、複数回の暴落を含めてマーケットが弱気で、値段がある程度、広めのレンジ内で上下を繰り返しているような時です。このような局面であれば、値段の高い時には数量を抑え、値段の安い時には数量を多く買い付けるという、定額積立投資のメリットが存分に活かせます。

要するに相場環境次第で、一括投資と積立投資の有利、不利が大きく変わってくるのです。特にここ3年は、米国株式市場がなかなかの強気だったため、一括投資の有利さが際立ったとも言えるでしょう。

鈴木雅光(すずき・まさみつ)

金融ジャーナリスト
JOYnt代表。岡三証券、公社債新聞社、金融データシステムを経て独立し(有)JOYnt設立し代表に。雑誌への寄稿、単行本執筆のほか、投資信託、経済マーケットを中心に幅広くプロデュース業を展開。


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