金利上昇は債券投資のチャンス?
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日本の長期金利が上昇傾向にあります。低金利時代に終わりが見え始めた今、社債や国債など債券投資への関心が再び高まっています。金利上昇局面で狙うべき商品と注意点を解説します。

日本の長期金利が上昇し続けています。9月12日時点では若干の買いが入り、1.596%まで低下しましたが、9月3日には1.633%まで上昇しました。
コロナ禍の最中、日本の長期金利は0.1%を下回る水準で推移していました。2021年9月には0.035%まで低下したこともあります。それが日銀の金融政策の正常化に向けた動きによって、徐々に上昇へと転じてきました。コロナ禍が終息し、世界的に経済活動が正常化したあたりから物価の上昇スピードが速まり、もはや緩和的な金融政策を続けることが困難になってきたからです。生鮮食品を除く総合で国内消費者物価指数の推移を見ると、2022年2月あたりから前年同月比が上昇し始め、同年4月には2%に乗せました。ちなみに政府・日銀が目標としている物価上昇率は、前年同月比2%です。
その後も物価は上昇を続け、2023年1月には4.2%になりました。そこから徐々に低下したものの、2025年7月時点のそれは3.1%であり、政府・日銀が掲げている物価上昇率の目標値を大きく上回っています。現時点においてはまだデフレ脱却宣言は出されていませんが、ここまで物価が上昇すると、さすがにデフレ的な金融政策を継続するのは困難になります。そう遠くない時点で、日銀は現在0.5%にしている政策金利の誘導目標を、0.75%程度まで引き上げざるを得なくなるでしょう。
こうして金利が生まれてきたからか、このところ預貯金など金利商品に対する関心が、徐々に戻ってきているように思えます。ゼロ金利下では株式や投資信託などのリスク資産に関心を示していた人たちも、ある程度、納得できる利子・利息が得られるのであれば、わざわざリスクを冒す必要はないと考えているのでしょうか。
ただ金利商品のなかには、今はまだ買わない方が良いものもあります。
日経新聞にも書かれていましたが、個人向けに販売されている普通社債が人気を集めています。普通社債とは、一般事業法人が発行している債券のことです。7月に発行された第25回楽天グループ普通社債は、3年で年2.336%の利率で、発売開始から10分たたずに売り切れたそうです。9月にはイオンが個人向けに期間7年の普通社債を発行しましたが、その利率は年2.025%でした。
現在、銀行の定期預金利率が、3年満期で年0.35%、7年満期で年0.45%ですから、同じ期間の普通社債の有利さが目立ちます。だからこそ、これだけ高い人気になっているのでしょう。
しかし、金利が高いとはいっても、債券には債券特有のリスクがあることを忘れてはなりません。
まずデフォルトリスクです。銀行預金であれば、預けている銀行が破綻したとしても、元本1000万円とその利息は、預金保険によって守られます。あるいは同じ債券でも、日本国債であれば、そう簡単にデフォルトはしません。そうはいっても最近はいささか不透明になっていますが、それでも国が発行する債券ですから、よほどのことがない限り、デフォルトにはならないと考えて大丈夫でしょう。
でも、社債は一般企業が発行していますから、その企業の信用リスクがそのまま反映されます。社債を発行している企業が破綻したりすると、その時点で投資した資金が戻って来なくなるリスクが生じてくるのです。
ちなみに、デフォルトするリスクについては、社債ごとに取得されている格付を見れば、ある程度のところまで把握できます。なお、第28回イオン普通社債の格付は、R&Iで「A-」、第25回楽天グループ普通社債の格付はJCRで「A-」です。

基本的にAの格付を取得している社債であれば、償還までデフォルトするリスクは低いと考えられますが、格付は企業の財務内容が変化すると随時、見直されます。現在、Aの格付を取得しているからといって、将来もそのままである保証はありません。格下げになるリスクがあることにも留意しておきましょう。
もうひとつ、債券に投資する際の留意点ですが、債券も価格変動商品であることです。確かに償還まで保有すれば、額面金額で元本が償還されますが、償還日前に市場で売却する際は、市場で形成される債券価格で売却します。
この債券価格は、金利が上昇するほど値下がりし、金利が低下するほど値上がりします。現在、日本の金利は正常化に向けて徐々に水準を引き上げていく過程にあるので、特に償還までの期間が長い債券ほど、債券価格が大きく下がります。
基本的に金利は、償還までの期間が長いほど高くなる傾向があります。これは償還という形で投資家の手元に資金が戻ってくるまでの期間が長いため、その間に何か不測の事態が生じてデフォルトを起す危険性があることを織り込んで、利率が決まるからです。
しかし同時に、償還までの期間が長い債券ほど、金利が上昇した時の値下がりリスクが大きくなりますし、その間に資金需要が生じて債券を売却せざるを得なくなる可能性も高まります。
こうした諸事情を考えると、確かに今時点の金利水準は魅力的な債券ではありますが、これらの留意点があることをしっかり把握して、購入の是非を検討する必要があるのです。

鈴木雅光(すずき・まさみつ)
金融ジャーナリスト
JOYnt代表。岡三証券、公社債新聞社、金融データシステムを経て独立し(有)JOYnt設立し代表に。雑誌への寄稿、単行本執筆のほか、投資信託、経済マーケットを中心に幅広くプロデュース業を展開。
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