HOME > 投資・株・FX > TRADE×TRADE 特別対談 part2 「S DIVISION HOLDINGS 酒匂隆雄×須見一」
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インタビュー日:2021年2月25日
公開日:2021年3月17日

フィリピンを拠点に金融やBPOのビジネスを展開してきたS DIVISION HOLDINGSが、いよいよアジアの金融センター、シンガポールに進出する。シンガポール進出の狙いと、今後のビジネス展開について、S DIVISION HOLDINGS会長の須見一氏と、S DIVISION HOLDINGS顧問の酒匂隆雄氏が語った。

前回の対談記事はこちら
フィリピンBPO視察レポートはこちら

ビジネスポートフォリオの拡大でコロナを乗りきる

酒匂

昨年からのコロナ禍の影響で、最近はなかなかフィリピンにお邪魔する機会がないのですが、ビジネスは順調ですか。

須見

フィリピンもロックダウンの状態にあり、経済活動は止まりました。今まで経験したことのない経験をさせてもらったと思っています。

ビジネスで大事なのは、それこそ経済そのものが止まるという異常事態が起きても倒れないビジネスポートフォリオを持つことです。それを今回は改めて実感しました。

レンディングビジネスに関して言えば、私たちは貸し手になるわけですが、今回のロックダウンに際して、フィリピン政府は貸し手に対して3カ月間は取り立てをしないようにという要請を出しました。(※1)

これによって借り手は返済を迫られなくなったので、ひとまず経済的な不安感は軽減されました。

須見一
 

でも正直なところを言いますと、ここまで長引くとは思ってもみませんでした。ここまで長引くと、周りでも倒産に追い込まれる会社が増えてきていますし、弊社のレンディング事業でも回収できないものも出てきましたが、一方でBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)(※2)については堅調に推移しています。

リモートワークが増えたことによって、弊社が運営しているコールセンター事業の引き合いが増えています。大企業でも改めてBPOを見直していて、現在、200社くらいから申し込みがあり、そのうち50社程度を対象にしてデューデリジェンスを行い、実際に取引するのは5社程度という感じです。それでもコールセンターの席数を250席程度、急募して対応しています。

酒匂

新型コロナウイルスの感染状況は、現時点でどのような感じですか。

須見

政府が緊急事態宣言を発出したことで、フィリピン国民はそれをちゃんと受け止めています。
とはいえ、お国柄もあるのかも知れませんが、総じて楽観的ではあります。唯一、懸念されるのは、やはり国民の8割が貧困層ということもあって、ワクチンや薬がなかなか行き届かないことです。感染拡大し始めた頃は弊社のコールセンター要員も、1~2時間という通勤時間をかけて出勤していましたから、感染しないかどうか心配していましたが、現状では感染対策がうまく機能していて、1人も感染者を出さずに来ています。

酒匂

経済が大きく落ち込んだことで、BPOも大丈夫だろうかと心配になりましたが、目下のところ堅調で良かったと思います。

須見

そうですね。コールセンター事業で感染者を出さずに済んでいるのは、オペレーターを全員、在宅で作業できるようにしたことが大きいのだと思います。これによって、将来的にはコールセンターのオフィスを無くすという未来図も描けるようになりました。

ただ在宅だと、オペレーターがちゃんとお客様の対応が出来ているのかどうかを、チェックする機能を作らなければなりません。そこは課題のひとつですね。

※1

フィリピン政府は2020年3月~6月に不可欠な買い物と運動のための外出を除き、外出禁止の厳しいロックダウンを施行。その結果、不良債権比率が急悪化し、銀行の不良資産を外部へ移管できるFIST法案を決議。民間企業には、ローン期間の延期や、利息のみの回収などの緩和策をクライアントに与えるように要望した。

※2

BPO - Business Process Outsourcing(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)
自社業務の一部を外部の専門業者に委託すること。【代表的なもの:コールセンター】

フィリピンでも進む金あまり

酒匂

正直、新型コロナウイルスの感染拡大については青天の霹靂でした。当初はSARSやMARSのように、感染が拡大したとしても一部地域で止められるのではないかと楽観視していたのですが、この1年で世界中に広がってしまいました。世界的にはとてつもない経済的損失だと思います。

実際、GDPは世界中どの国もマイナスになっていますし、それはフィリピンも同じで前年比がマイナス9.5%という惨憺たる状態になっていますが、こうした実体経済の動きとは裏腹に、世界の株式市場は極めて堅調に推移している。

この分断をどう考えれば良いのか。金余りが原因と言われるが、その余剰資金が今、どのように流れているのか、誰を潤しているのかという点を、改めて整理して考えてみたいと思います。

須見

確かに、最近の株価の値動きは実体経済の状況に即していませんね。私自身に照らしてみても、確かにこれまで毎月1回行っていた旅行に出かけなくなりましたし、いろいろな点でお金を使わなくなりましたから、お金が行き場を失って、株式市場や不動産市場に流れ込むのは分かります。

酒匂隆雄
酒匂

私のような高齢者になると、そもそもお金を使う先が無くなってくるので自然と貯めこんでしまうのですが、消費意欲が高い若い人になると、使う先が限定されているだけに、リスクをどんと取りにいく人が出てくるのでしょうね。

ところでS DIVISION HOLDINGSはこれからマニラ以外にも拠点を広げる予定とのことですが、その辺の進捗状況はどうなっていますか。

須見

正直なところを申し上げますと、金融ビジネスを展開するうえで拠点がフィリピンだと若干、それがネックになるケースがあります。本当は非常に成長性の高い、素晴らしい国だと思うのですが、保守的な金融ビジネスの世界では信用面の格付けが一段低くなります。

フィリピンに対する周りの見る目がなかなか変わらないのであれば、私たちが変わるしかありません。そこで本社をシンガポールに移す決断を下しました。今はシンガポールの金融ライセンスを取得するために動いている段階で、ライセンスが取得できたらそこをハブにして、フィリピンやマレーシアにビジネスを拡大させていこうと考えています。

シンガポール進出でレピュテーションを高める

酒匂

今もフィリピンベースで上手く行っているのですが、確かにフィリピンに対する偏見の眼があるのは事実です。私は銀行を辞めて20年が経つのですが、当時の知り合いにフィリピンビジネスの話をすると、10人中8人はやや胡散臭いものを見るような目になります。

ビジネスの根幹はフィリピンでも、本店をシンガポールに移すのは良い判断だと思います。これで会社のレピュテーションもかなり上がるのではないでしょうか。

ところで、シンガポールでどのようなビジネスを展開する予定なのか、開示できる範囲で教えて下さい。

須見

シンガポールについては今、事務所を探している最中で、どうせやるならば一等地に借りて、本格的にシンガポールをアジアビジネスのハブにしていこうと考えています。そして、フィリピンでレバレッジを高めたビジネスを展開していく予定です。

またシンガポールではファンドを立ち上げるのですが、私たちはこれまでフィリピンを拠点にしてビジネスを展開していたため、シンガポールでは当然、無名だし実績もありません。そういうこともあって、一般投資家向けのファンドはまだ立ち上げることができないので、まずはプロ向けのファンドを立ち上げ、2、3年で実績を作ってから改めて一般投資家向けに販売できるファンドを組成するライセンスを取得しようと思います。

ただ、マレーシアについては一般投資家向けのライセンスを取得出来ていますから、両方を合わせれば、一般投資家からプロ投資家まで、すべての人に向けた商品提供が可能になります。

酒匂

なるほど、これで結構さまざまなプロダクツが揃ってきましたね。

須見

そうですね。基本はレンディング事業になるのですが、それ以外にもフィリピンのBPO事業があり、値上がり期待が高いところで不動産事業、AB証券という証券会社、27年の歴史を持つ「まにら新聞」という媒体も持っています。

AB証券は株式取引のための会社なのですが、現状、フィリピンの株式市場は空売りが出来ません。フィリピンの金融当局によると、まだ3年から5年先くらいまでは空売りを解禁しないそうです。なぜなら、空売り規制を解禁すると、外国企業に乗っ取られてしまう恐れがあるからです。

現在、フィリピンの証券取引所には270の会社が株式を上場しているのですが、やはりこの倍くらいまで市場規模が拡大しないと、空売り規制の解禁は難しいでしょう。だから、今の株式市場はどこを買っても儲かる可能性が高まっています。

酒匂

フィリピンはやはりコロナの影響が強く、株式市場の立ち直りもニューヨーク市場に比べてかなり遅い感じです。ただ、これから先、ワクチンの接種が進めば、経済成長は巡航速度に乗り、一気に伸びるのではないかと見ています。

実は日本でも債券を販売する予定があるんですよね。

4月から日本でもプロダクツの販売を開始

須見

着手したのは昨年の夏で、この4月から具体的にプロダクツの販売をスタートさせるということで当局の許可も得られています。是非お楽しみにしてください。

とにかく、さまざまなビジネスを展開させていきます。フィリピンを中心にマウントフジという新しいレンディング会社も創りました。こちらは個人を対象にしたレンディング会社です。AIをフル活用して与信審査を行い、タブレットを通じてレンディング出来る仕組みを作っている最中です。

私たちが最初にフィリピンに行ってレンディング事業を始めた時、日本の審査基準をそのまま当てはめたのですが、そうするとフィリピンではお金を貸せる人がいなくなってしまうことに気付きました。そこで、個人の信用をAIでスコアリングするシステムを導入したのです。

もちろんデフォルトも増えるかも知れませんが、それ以上に貸し出しをマスで広げていけば、仮にデフォルトが生じたとしても、収益化するチャンスが増えると考えています。

そして今、不動産関連としてはセブ島のゴルフ場開発に着手しました。

これは私たちにとって未知の分野なのですが、セブ島に3万平方メートルの土地をすでに取得していて、そこにゴルフ場や水上コテージを造ります。まだどういう形にするかは見えていないのですが、飛行機が飛ぶようになったら一気に開発を進めます。ゴルフ好きの酒匂さんに気に入っていただけるような遊び場を造ります。

酒匂

一応、私はアドバイザーの立場ですから、うるさいと思われようとも、やはり金融の世界に何十年もいた知見をある程度持っていますし、業界のしきたりも多少、精通していると思いますので、セブ島でゴルフを楽しみながら、さまざまなアドバイスをさせていただきたいと思います。今後が非常に楽しみです。

須見

はい、私もコロナが一段落したら一歩一歩夢を実現させていきたいと思っています、楽しみにしていてください。

 



酒匂隆雄プロフィール
酒匂 隆雄(さこう・たかお)
S DIVISION HOLDINGS 顧問
 

1970年に北海道大学を卒業後、国内外の主要銀行で為替ディーラーとして外国為替業務に従事。
その後1992年に、スイス・ユニオン銀行東京支店にファースト・バイス・プレジデントとして入行。
さらに1998年には、スイス銀行との合併に伴いUBS銀行となった同行の外国為替部長、東京支店長と歴任。
現在は、S DIVISION HOLDINGS顧問、酒匂・エフエックス・アドバイザリー代表、日本フォレックスクラブの名誉会員。

トレードトレードblog:
酒匂隆雄が語る「畢生の遊楽三昧」

 
須見一氏プロフィール
須見 一(すみ・はじめ)
S DIVISION HOLDINGS 代表取締役会長
 

2012年に会社設立後、日本とフィリピンで事業を行う。フィリピンの政財界や、現地の有力者とのコネクションを持ち、2019年現在フィリピンの貸金業で日系最大手まで会社を成長させる。

オフィシャルサイト:
S DIVISIONホールディングス

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