
2018年11月3日、アメジスト香港主催の特別セミナーがアークヒルズクラブで開催されました。今回も、ビットコインクイーンの異名を持つ名波はるかさんをはじめとして、仮想通貨の世界で著名な柏崎勇さん、お馴染み酒匂隆雄さんと川口一晃さんなど、豪華ゲストをお迎えして、これからの資産運用においてとてもヒントになる話が盛りだくさんでした。
こちらの記事では、川口一晃さんの仮想通貨に関するお話をご紹介します。
※取材時:2018年11月3日

みなさんこんにちは。仮想通貨の動きをテクニカル分析で考えたいと思います。
テクニカル分析にもさまざま方法がありますが、私がメインで使っているのは「ペンタゴンチャート」と呼ばれるものです。
ペンタゴンチャートは、1990年代の前半くらいから、運用の世界で注目を集めた分析手法です。
ただ、これを描くのが面倒ということもあり、当時は手書きだったので、いつの間にか誰も付けなくなったというものです。
今はパソコンがあるので、描くのにも時間がかからなくなりましたが、それでも他のテクニカル分析に比べれば、手間がかかることに変わりはなく、なかなか広がらないのが現状です。
でも、実に理に適った分析手法であり、当たる確率が高いのも事実です。

ペンタゴンとは、正五角形のことです。正五角形は、黄金分割比で出来ています。黄金分割比とは、1対0.618の比率のことです。これは建築の世界や美術の世界でも使われている、美しさの比率を表す数字ですピラミッドの、ピラミッドやパルテノン神殿、ミロのヴィーナス、モナリザの絵も1対0.618で描かれている。
日本だと、京都の修学院離宮の庭の長さが、1対0.618の黄金比で造られていますし、葛飾北斎の富嶽三十六景ででてくる波が、黄金分割で描かれています。要するに、この比率は自然界の法則のひとつで、「最も美しいもの」の比率とされています。
金融業界でも、株価や為替レートなどの値動きを予測するに際して、1対0.618の比率を用いて分析しています。ペンタゴンチャートは用いなくとも、下値のメドや、上値の目標値などを考える時に、黄金比を用いるケースがあるのです。
では、ペンタゴンチャートを用いて、仮想通貨の値動きを予測してみましょう。
まずビットコインですね。最近、70万円前後で動いているのですが。あまりにも動きが小さくて、横ばいが続いています。非常に値動きが小さいことから、分析しにくいのが正直なところです。やはり一時的に200万円という高値を形成しましたから、その後の調整局面は、どうしても長くならざるを得ないということでしょう。
その中でも気をつけたいのが、そろそろ新しい流れが出るかどうかという局面にあることでしょう。
このように横ばいで推移しているのは、2つ理由が考えられます。
1つはエネルギーが溜まっている場合。もう1つは、上と下のどちらに行こうか迷っている場合です。恐らく、これからどの方向に進むのかを模索をしている状況ではないかと思います。200万円という高値は、きっとバブルだったのかも知れませんが、ようやく落ち着きを取り戻し、冷静になって、次の段階に向けた準備を進めているところではないでしょうか。
ただ、これから上昇に向けて動き始めたとしても、200万円の高値を奪還するには、関所がたくさんあります。上値抵抗線がいくつもあって、それを超えていかなければならないので、やはり最高値奪還にはかなりの時間を必要としそうです。
次はイーサリアムです。これも2万近くまで下がり、横ばいが続いています。イーサリアムのポイントは、2万5000円を超えていけるかどうなのかでしょう。これまでも3万円の持合いが壁になっていて、そこにつっかけて戻されるという動きを繰り返してきました。
なので、今後は2万5000円の壁を超えてきたら、次は3万円の壁があることに注意しなければなりません。この持合いから下に行くことも考えられますが、もし上に動いた時は、2万5000円が目先の目標値であり、次は3万円になります。
一目均衡表を見ると、ずっと雲の下にいます。これは、非常に相場が弱いことを意味します。しかも、雲が薄くなっており、乱高下しやすい時間帯に入ることを示唆しています。その意味では、そろそろ動きが出てきてもおかしくないということです。まだ先の話になりますが、3万円を超えてくると、節目がないので、5万円近くまで一気に上昇する可能性があります。
次はリップルです。最近、ちょっとした動きが出てきました。60円が変化日に当たります。で、そのあとずっと横ばいで、どんと下がりました。そして、この変化日で底値をつけています。
この後、再び動きがなくなりましたが、変化日を通過したので、新しい動きを待っている状態です。60円台後半から70円ぐらいが意識されるでしょう。逆に、目先の安値としては、40円です。40円で下げ止まるかどうか。40円を割り込んでしまうと、今度は20円代が視野に入ってきます。
これはすべての仮想通貨に当てはまるのですが、その値動きを分析する上で、なぜ、こういう動きをしたのかという理由を探し出すのは、なかなか難しい。株やFX、金、原油などは、大きな値動きがあると、翌日の日経新聞にその理由が書かれています。
例えば、経済指標が良かったとか、金利の引き上げがあったとか、あるいは誰かがこんな発言をしたとか、そういう理由が書かれていて、「なるほど。それで動いたんだな」と理解できるわけですが、仮想通貨の場合は、値動きの理由がほとんど分かりません。
買いたい、売りたいという、需要と供給の変化に影響を受ける部分が、非常に強い。需要と供給の動きで、ある程度、値動きが形勢されるのであれば、ファンダメンタルズ分析ではなくて、テクニカル分析しかないと思っています。

川口一晃 かわぐち・かずあき
金融ジャーナリスト、経済評論家
1北海道札幌市出身、1966年名古屋市の小学校へ入学。父親の転勤により5回の転校を経て、さいたま市立上落合小学校、さいたま市立岸中学校を卒業。大学卒業後、銀行系証券会社(現在の三菱UFJモルガン・スタンレー証券)に入社、資産運用業務に従事。
その後ファンドマネージャーとして、日興投信(現在の日興アセットマネジメント)や三菱銀行系列のダイヤモンド投資顧問会社(現在の三菱UFJ投信)に出向し運用に携わる。現在は、有限会社オフィスKAZ代表。
トレードトレードブログ:川口一晃の仮想通貨テクニカル分析
