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経済ジャーナリスト鈴木雅光の「奔放自在」 vol.51
公開日:2022年8月19日

ESG投信の本当の姿とは

金融庁が毎年作成・公開している「資産運用業高度化プログレスレポート(以下、プログレスレポート)」をご存じでしょうか。

これは金融庁が2020年から作成しているもので、この5月にリリースされた2022年版が3回目になります。このレポートは、どちらかというと資産運用ビジネスに関わっている人たちが読む内容ではありますが、このレポートを作成するにあたり、金融庁が投資信託会社をはじめとする資産運用会社の動向をモニタリングしつつ、対話を重ねるなかでまとめたものなので、実際に投資信託などを購入して資産を運用する個人にとっても、役立つ情報が盛り込まれています。このレポートは、金融庁のホームページにアクセスすれば誰でも読むことが出来るので、興味のある方は一度、目を通してみて下さい。

今回のレポートでは、プロダクトガバナンスやESG投信、あるいは仕組債などに関して調査・報告されていますが、今回は今、話題のESG投信について取り上げてみましょう。

ご存じのように、「SDGs」や「ESG」が資産運用の世界でも注目されるようになり、これらをファンド名に掲げた投資信託が増えています。同レポートによると、2021年10月末時点において、「ESG関連公募投資信託(以下、ESG投信)」の本数は225本あり、これを37社の投資信託会社が設定・運用しているとのことです。これについて、プログレスレポートはさまざまな観点から分析しています。

まずESG投信の新規設定本数ですが、これは年を追うごとに増加傾向をたどっています。2013年に1本、2014年に3本、そして2015年に11本というように増え始め、2018年に31本、2019年に22本、2020年に41本、2021年には96本が新規設定されました。

ちなみにこの新規設定本数は、アクティブ型とパッシブ型の合計です。ちなみに2010年から2021年までの新規設定本数で言うと、アクティブ型が181本、パッシブ型が44本ですから、圧倒的にアクティブ型が中心になっています。

穿った見方をすると、アクティブ型の方が購入時手数料や信託報酬を稼げるからと考えることも出来ます。ESG投信のうち、パッシブ型とアクティブ型の信託報酬率を比較すると、平均値で、パッシブ型が年0.4%以下、アクティブ型は年1.6~2.0%に設定されていると、同レポートに書かれています。

新聞や雑誌などでESGが話題になることも多いだけに、言葉だけは知っている人も多いでしょう。そこで「今、話題のESG関連銘柄に投資するファンドです」というセールストークを用いると、ひょっとしたら何も考えずに買ってくれる個人客がいるかも知れません。このように、物事をよく知らずに買ってくれる人がいるのであれば、わざわざローコストのパッシブ型を販売しなくても、しっかり購入時手数料や信託報酬が取れるアクティブ型を販売した方が儲かる、という判断が、販売金融機関や運用会社にあるとも考えられます。

なぜ、そのような穿った見方をしてしまうのかというと、ESG投信の設定・運用を行ううえでの組織体制について、いささか疑問に思われる点が、同レポートにおいて指摘されているからです。

まずESG投信を運用するうえで、ESG専門部署やチームの有無については、70%が「有」としたものの、30%が「無」と回答しました。

また、ESGの取組を推進するために「責任投資推進室」を設置したものの、全員が他部署との兼務であるケース、あるいはESG専門人材がいないと答えた運用会社が38%を占めるなど、体制の不備を同レポートは指摘しています。

ESG投資のための体制が不備であるにも関わらず、特にアクティブ型ESG投信の信託報酬率が、その他アクティブ型に比べて高めというのは、納得しにくいところです。

もう1点、償還期限についても触れておきましょう。

ESG投資は、持続可能な世界を実現するために、企業が環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)という3つに配慮した経営を行うことによって、企業そのものの長期的かつ持続的成長につながるという考え方がベースにあります。長期的かつ持続的成長を運用成績に反映させるのであれば、ESG投信の償還期限は無いに越したことがないし、あったとしてもできるだけ長期間であるべきです。

しかし、実際に今、設定・運用されているESG投信の信託期限を見ると、償還期限を設定していないのは93本で、全体の41%を占めるだけに止まっています。

それ以外のESG投信の償還期限は、
10年超・・・・・・49本(22%)
10年以下・・・・・・60本(27%)
5年以下・・・・・・23本(10%)
という結果になりました。

10年超はまだしも、償還期限を5年以下に設定しているESG投信が23本もあるというのは、ESG投資の本質から考えると、大きくずれているとしか言いようがありません。

こうした点を見ると、ESG投信は単に販売金融機関が手数料稼ぎのために販売している、他のテーマ型ファンドと同質であると考えられます。正直なところ、この手の投資信託は買わなくても良いのではないか、とさえ思えてきます。



金融ジャーナリスト
鈴木雅光(すずき・まさみつ)

JOYnt代表。岡三証券、公社債新聞社、金融データシステムを経て独立し(有)JOYnt設立し代表に。雑誌への寄稿、単行本執筆のほか、投資信託、経済マーケットを中心に幅広くプロデュース業を展開。

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