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経済ジャーナリスト鈴木雅光の「奔放自在」 vol.46
公開日:2022年5月27日

投資信託の評価はどこを起点にするかで変わる

以前、このコラムで「騰落率で投資信託の良し悪しを判断してはいけない」という話を書きました。

預貯金の利率と同じように、リターンをパーセンテージで表示するものではあるのですが、預貯金利率が将来、確実に受け取れるリターンであるのに対し、投資信託の騰落率は過去の運用成果を表示したものという大きな違いがあります。

つまり、騰落率で表示されたリターンは、あくまでも過去のマーケットの値動きを反映したもので、将来のリターンを約束したものではありません。したがって、騰落率の良し悪しで投資信託を選ぶと、「過去1年間のリターンが良かったから買ったのに、どうして値下がりするの?」ということになりかねないのです。

加えて、騰落率が投資信託を選ぶ際の判断材料にならないもうひとつの理由として、騰落率の計測期間の起点をどこにするのかによって、その投資信託に対する評価が大きく変わることも挙げられます。

たとえば、次のように基準価額が変動した投資信託があるとしましょう。基準価額は日々動いているものですが、本稿では簡略化して、1年ごとの基準価額で考えたいと思います。

運用開始時・・・・・・1万円
1年目・・・・・・1万2000円
2年目・・・・・・8000円
3年目・・・・・・1万6000円
4年目・・・・・・1万5000円
5年目・・・・・・1万6000円

1年目の過去1年間騰落率は、1万円が1万2000円になったので、20%のプラスです。

この騰落率を見て、「1年間で20%も儲かる投資信託なのだから、これはきっと良い運用が行われているに違いない」などと考えて、この投資信託を購入する人もいるでしょう。

でも、2年目にかけて、基準価額は1万2000円から8000円まで急落しました。この1年間で▲33.33%という大きな下げに見舞われたことになります。この時、20%のリターンを期待して購入した人は、恐らくかなりの失望感を味わうに違いありません。

次に、2年目に8000円の基準価額でこの投資信託を買った人は、3年目にかけて基準価額が1万4000円に値上がりしたため、100%という非常に高いリターンを得ることができました。8000円で購入した人たちの、この投資信託に対する評価は、非常に高いものになるでしょう。

しかし、その非常に高い騰落率を見て、3年目にこの投資信託を購入した人は、4年目にかけて▲6.25%のマイナスリターンに落ちこんだのを見て、きっと面白くない気分を味わうはずです。また、5年目まで保有し続けたとしても、1万6000円の基準価額で購入したものが一旦、1万5000円に値下がりし、そこからようやく1万6000円に回復しただけなので、購入時からのリターンはプラスマイナス・ゼロです。言い方を換えると、この2年間、何にも投資していなかったのと同じになります。これまた何とも残念な話です。

そして、運用開始時に1万円の基準価額で購入して保有し続け、5年目を迎えた人からすれば、過去5年間の運用期間で60%のリターンを享受できたことになります。1年平均にすると12%のリターンですから、決して悪くない結果です。恐らく5年間保有した人は、その結果に満足するはずです。

何が言いたいのかというと、同じ投資信託でも、購入したタイミング、保有期間によって評価がまちまちになるということです。

1年目に1万2000円の基準価額で購入したものの、2年目にかけて8000円まで急落したところで、「もうこれ以上の損失には耐えられない」と考えて解約した人にとって、この投資信託に対する評価は最低でしょう。

でも、2年目に8000円の基準価額で購入した後、5年目を迎えるまで保有し続けた人からすれば、「自分の資産を倍増させてくれた、とても良い投資信託だ」という評価になるはずです。

このように、どのタイミングで購入し、どのタイミングで利益を確定させたのかによって、投資信託に対する印象・評価は大きく違ってきます。したがって、一定の計測期間中における騰落率を見ただけでは、その投資信託の本当の姿は見えてきません。それゆえに、騰落率は投資信託を選ぶうえでは、何の判断材料にもならないのです。

では、投資信託を選ぶうえで何を判断材料にすれば良いのか、ですが、大前提としては、自分がどういう運用をしたいのかを考えたうえで、自分の運用に足りない資産クラスを補うようにしましょう。仮に、それが米国株式だとしたら、米国株式を組み入れて運用する投資信託のなかから、

1.現在の純資産総額が繰上償還されない程度の規模であること(100億円程度あれば合格点)。
2.順調に資金流入が続いているもの。
3.運用方針が納得できるもの。

以上の3点を確認したうえで、過去の基準価額の値動きを見るようにします。そして、基準価額が高値を付けたところから底値を打つところまで、どの程度値下がりしたのかを把握します。その高低差が、その投資信託の持つリスクです。

仮に値下がり率が最大30%だとして、投資する金額が100万円だと、最大30万円の損失を被るリスクが想定できます。その損失を許容できるかどうかを考え、投資する資金を調整するようにします。大事なことは、どのような投資信託を買うにしても、自分のリスク許容度の範囲内で投資することなのです。



金融ジャーナリスト
鈴木雅光(すずき・まさみつ)

JOYnt代表。岡三証券、公社債新聞社、金融データシステムを経て独立し(有)JOYnt設立し代表に。雑誌への寄稿、単行本執筆のほか、投資信託、経済マーケットを中心に幅広くプロデュース業を展開。

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