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経済ジャーナリスト鈴木雅光の「奔放自在」 vol.46
公開日:2022年5月06日

これからの積立投資はしばらく我慢が必要かも知れない

この20年、米国をはじめとして世界の株式市場は「長期金利の低下」と「物価の安定」という恩恵を受けて、力強く上昇傾向をたどりました。

※画像クリックで大きな画像が表示されます

上記グラフは、野村アセットマネジメントが設定・運用している「外国株式インデックスファンド」の基準価額と、同ファンドに毎月1万円ずつ積立投資を継続した場合の累積金額を示しています。折れ線グラフが基準価額、オレンジ色の棒グラフが積立金額の累計金額で、グレーの棒グラフが積み立てた資金で投資をして得た収益も含めた累積評価額です。

2002年11月から積立投資を行い、19年と4カ月が経った積立金額の累計額は233万円。これに対して累計評価額は746万8923円になりました。233万円の資金を投入した結果得られた収益が、この19年4カ月間で513万8923円ですから、なかなか良い成果が得られたといっても良いでしょう。もし毎月の積立金額を1万円でなく3万円にしておけば、累計評価額は優に2000万円を超えますから、例の「2000万円問題」で不安な気持ちになることもありません。

この経験をした人は、恐らく多少の自慢も込めて、「やはり長期・積立・分散投資は素晴らしいよ。ほら、こんなに運用益が出ている。資産運用の王道だね」などと言うでしょう。

でも、それはこの20~30年の投資環境が、株式市場にとってフォローだったからです。ちなみに外国株式インデックスファンドはMSCI-KOKUSAIという、日本を除く先進国の株式市場に分散投資したのに近い投資成果を目指すインデックスファンドですが、株式市場の規模感からも米国の株価動向から受ける影響が強いと考えられますので、以下は米国の金融市場を事例にして、説明していきます。

米国の長期金利(10年国債利回り)は、1981年9月末に過去最高水準である15.84%まで上昇しました。その背景にあったのは、第1次オイルショック、第2次オイルショックという2度のオイルショックによる物価上昇です。米国の消費者物価指数上昇率は、1970年が5.8%で、1972年には3.8%まで低下したものの、1974年には11.05%まで上昇。1976年に5.74%まで低下した後、1980年には13.54%まで上昇しました。そして前述したように、1981年9月末には瞬間的に15.84%をつけたのです。

このように年率で2ケタもの物価上昇率が示現した原因は、もちろんオイルショックの影響はあったと思われますが、同時に1960年代終盤から米国経済がスタグフレーションに入ったこと要因のひとつと見られています。

FRBがスタグフレーションから脱するために金融緩和を実施し、インフレが加速しやすい素地が出来ていたなかで2度のオイルショックが起こりました。これが引き金になり、インフレが加速したのです。

そして、株価はどうなったのかというと、1968年11月から1970年6月にかけてS&P500は33%の値下がりをした後、1972年12月にかけて高値を更新するところまで上昇したものの、そこから1974年9月にかけて46%も値下がりしました。その後、株価はジリジリと値を上げたものの、1972年12月につけた高値を更新したのは、1980年7月でした。高値更新まで9年半もの時間を必要としたのです。この間を「株式の死」と言います。

現状、米国の長期金利は徐々に上昇傾向をたどっています。FRBが金融引き締めに転じたからです。またECBもいよいよ金融引き締めに転じる動きを見せ始めており、しばらく世界的に金利は上昇傾向をたどりそうな気配が広がりつつあります。

怖いのは、2020年初頭から始まった世界的なパンデミックによって、米国だけではなく、EU各国や日本でも大幅な金融緩和が行われ、目下、世界の金融市場にはお金がジャブジャブに溢れかえっていることです。ここにロシアのウクライナ侵攻に対する西側諸国の制裁と、ロシアによる対抗措置によって資源価格が急騰しており、世界的にインフレが広がりつつあることです。世界的な量的金融緩和と資源価格の急騰によって、かつて米国が経験したような、手の施しようのないインフレに見舞われる恐れがあるのかどうか、私たちはしばらく注視しておく必要があるでしょう。

不幸にして、世界的にインフレが加速したら、当面、株価は低迷を余儀なくされるでしょう。

これが世界的な好況を背景にした、ディマンドプル的な物価上昇であれば、企業業績が拡大して「インフレ下の株高」が醸成される可能性もありましたが、今のインフレは完全なコストプッシュ型のインフレです。加えて、戦争という不透明要因も横たわっており、世界経済は先行き楽観視できない状況にあります。景気が下押しされたら、「不況下のインフレ(=スタグフレーション)」という望ましくない事態に追い込まれることも考えられます。

そうなった時、1970年代の米国株式市場のように、株価低迷が長引く恐れが生じてきます。そうなった時、株価上昇局面しか知らずに積立投資を続けてきた人が、どこまで耐えられるのかという点を、しっかり考えておく必要があります。

前述したように、米国では1974年9月にかけて、S&P500が46%も下落しました。約半値です。ということは、19年と4カ月もかけてコツコツと積み立てて、746万8923円になった評価額が403万3218円まで目減りしてしまうことを意味します。すでにある程度の資産を株式投資で築いた人は、そのリスクを自分自身が許容できるかどうかを考える必要があります。

耐えられないという人は、今のうちに利益を確定させるのが無難でしょう。



金融ジャーナリスト
鈴木雅光(すずき・まさみつ)

JOYnt代表。岡三証券、公社債新聞社、金融データシステムを経て独立し(有)JOYnt設立し代表に。雑誌への寄稿、単行本執筆のほか、投資信託、経済マーケットを中心に幅広くプロデュース業を展開。

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