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経済ジャーナリスト鈴木雅光の「奔放自在」 vol.45
公開日:2022年4月22日

出口を想定してリスクを取る

最近、「人生100年時代なのだから、70歳からでもリスクを取った運用を」という声を聞きますが、これはある意味、詭弁です。

もちろん120歳まで生きられる自信があるならば、「70歳から100歳までの30年間、長期投資で増やしたお金を120歳までの生活費に充てる」、というプランは成り立ちます。

でも、そこまで生きられる人は、ほぼ皆無といっても良いでしょう。その前に、恐らく80歳前後になった時点で認知能力に支障を来し、投資のことを考えられるだけの余裕が無くなります。

そう考えると、「70歳からでも遅くありません。投資しましょう」と言うのは、あまりにも無責任のように思えるのです。特に根拠があるわけではないのですが、後期高齢者が75歳以降だとすると、遅くとも70歳くらいまでには投資を終わらせ、そこまでに積み上がった資金で余生を過ごすのが、正しいライフプランではないでしょうか。

大事なのは、漠然と長期投資するのではなく、しっかりゴールを決め、それに向けて計画的に資産形成を行うことです。仮に資産運用のゴールを70歳に定めた場合、60歳以降、徐々にリスク資産の比率を下げるのは合理的です。

若い頃の5年は大した時間ではありませんが、高齢になり、残り時間が短くなってからの5年は非常に大きいと考えるべきでしょう。前述したように、70歳をゴールに定めたとして、69歳で株価の暴落に直面すると、その暴落分をリカバリーする前に、自分の命の時間が尽きてしまうことも考えられます。

ですから、ある程度の余裕を持たせて、60歳くらいから徐々にリスク資産の比率を減らした方が良いと考えられます。

一方、若い世代であれば長期投資を前提にして積極的にリスクを取っても良いでしょう。20代から30代であれば、70歳を資産運用のゴールとすると、40~50年程度の運用期間を確保できます。

これだけ運用期間が長期になると、恐らく数回は株価の暴落に直面するでしょう。でも、恐らく運用をし続ければ、どこかで暴落前の水準を回復するでしょうし、世界経済が今後も成長するならば、株価は暴落前の水準をクリアして、さらなる高値に向かって値上がりするはずです。

その上昇によって自分の資産を大きく増やすためには、リスク資産による運用比率を出来るだけ高めておくことです。そして60歳くらいまでリスク資産を高めた運用を行い、そこから70歳のゴールに向けて、徐々にリスク資産の比率を下げていけば良いのです。

ところで、リスク資産をどの程度持つのかを考える時、犯しがちな間違いがあります。それは、自分が持っているポートフォリオ全体でリスク資産の比率を調整するのではなく、単体の投資信託でそれを行おうとすることです。具体的に言えば、バランス型投資信託への投資がそれに該当します。

バランス型投資信託とは、たとえば日本株式、外国株式、国内債券、外国債券、国内不動産投資信託、外国不動産投資信託というように、複数の異なる資産クラスに分散投資するタイプの投資信託です。

バランス型投資信託の主旨は、資産クラス分散を行うことによって、基準価額のボラティリティを抑えることにあります。それでもリーマンショック級の暴落があれば基準価額の下落を回避することは出来ませんが、米国株式や国内株式など単体の資産クラスで運用している投資信託に比べれば、下落率を小さく抑えられます。そのため、投資に不慣れな投資初心者から、投資経験の長い人にまで人気のある投資信託のタイプです。

もちろん、保有資産の大半をこのタイプの投資信託で運用するというのであれば、何も問題はありません。引き続きバランス型投資信託で運用し続ければ良いと思います。ただ、多くの人が保有している金融資産は、リスク資産だけではありません。預金もあれば保険にも加入しているでしょう。なかには個人向け国債を持っている人もいるでしょうし、自宅だって金融資産ではありませんが、立派な資産のひとつです。大事なのは、保有しているすべての資産のバランスの中で、どれだけリスクを取れるのかについて考えることです。

たとえば預金に1000万円を預けている人が、預金とは別に、国内外の株式と債券に50%ずつ分散投資するバランス型の投資信託を500万円分保有しているとします。恐らくこの人は、1500万円のうちの500万円をリスク資産に振り分けていると思い込んでいるはずです。比率にして33.3%がリスク資産という認識です。

でも、よく考えてみれば国内外の債券が持つリスクは、預金に比べればやや高めですが、株式に比べればはるかに低くなります。その債券を50%組み入れて運用するバランス型投資信託を500万円分保有しているのですから、本当の意味でリスクを取っている部分は、株式部分に該当する50%だけと考えられます。

つまり、このバランス型投資信託に振り分けた500万円のうち250万円だけが、リスク資産ということになるのです。この人が保有している1500万円のうち、リスクを取っている部分が250万円だとしたら、保有資産全体から見たリスク資産の比率は、わずか16.6%になります。

本人はリスクを取ったつもりでいても、他の保有金融資産に占めるバランス型投資信託の比率で考えると、実はほとんどリスクを取っていない、ということになってしまうのです。

したがって、将来に向けて資産を増やす目的で投資信託を購入しようと考えている若い人が、もしバランス型投資信託を購入するのであれば、預貯金などの無リスク資産を出来るだけ少額にしたうえで、資産の大部分をバランス型投資信託で運用するか、もしくは無リスク資産とのバランスを考慮しながら、バランス型投資信託ではなく、国内株式や世界株式などのリスク資産を高めに組み入れて運用している投資信託に、運用資金を振り分けることをお勧めします。



金融ジャーナリスト
鈴木雅光(すずき・まさみつ)

JOYnt代表。岡三証券、公社債新聞社、金融データシステムを経て独立し(有)JOYnt設立し代表に。雑誌への寄稿、単行本執筆のほか、投資信託、経済マーケットを中心に幅広くプロデュース業を展開。

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