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経済ジャーナリスト鈴木雅光の「奔放自在」 vol.37
公開日:2021年11月29日

大丈夫か?さわかみファンド

個人投資家に人気の高い投資信託に「さわかみファンド」があります。どの金融機関にも属さない、完全独立の投資信託会社の草分けとして1996年にさわかみ投信の前身であるさわかみ投資顧問が設立され、1999年から公募投資信託である「さわかみファンド」の運用をスタートさせました。

創業者であり、最初の運用責任者である澤上篤人氏はすでに運用の一線から退いており、2021年7月にはさわかみ投信の会長職も退任しました。今は息子の澤上龍氏が代表取締役社長であり、2013年からは草刈貴弘氏がCIO(最高投資責任者)として運用を仕切っています。

さわかみファンドは独立系投資信託会社としては、まさにパイオニア的な存在でした。当時、証券会社や銀行、あるいは外資系金融機関や外資系運用会社といった金融機関の後ろ盾なしに投資信託会社を立ち上げることなど、ありえないことだったからです。さわかみ投信が徐々に存在感を高めていくなかで、セゾン投信やレオス・キャピタルワークス、コモンズ投信、鎌倉投信といった後続組も輩出されました。

少額資金で毎月積み立てていくという投資スタイルが広まったのも、さわかみファンドを通じて積立投資を行う個人が増えたからです。何よりも多くの投資信託会社は、新規設定に次ぐ新規設定で運用ファンドの本数をどんどん増やしていったのに対し、さわかみ投信は「さわかみファンド」、たった1本の運用で20年以上続いてきました。稀有な存在といっても良いでしょう。

ファンドの運用規模を示す純資産総額は、2021年10月1日時点で3502億1800万円ありますから、国内株式型の投資信託のなかでは比較的大きなファンドです。この数字を見る限りにおいては、堅調に運用され続けているようにも思えます。ちなみに2011年11月1日時点の純資産総額は2034億6400万円でしたから、この10年の間に1467億5400万円も増えたことになります。

もう少し数字を見てみましょう。2011年11月1日時点の基準価額は1万269円でした。これが2021年10月1日時点では3万1779円まで値上がりしています。この10年間で基準価額は209.46%値上がりしたことになります。厳密に言えば、この間の運用期間は10年ではありませんが、約10年として1年あたりの平均リターンを計算すると20.94%になります。この超低金利からすれば十分すぎるくらいのリターンでしょう。

では、同じ期間中に株式市場全体がどの程度値上がりしたのかというと、日経平均株価は2011年11月1日時点で8835円だったのが、2021年10月1日時点では2万8771円になりました。この間の値上がり率は225.64%にも達しています。

さわかみファンドは日本株を投資対象とするアクティブファンドですから、日経平均株価をベンチマークにしているかどうかは別にして、少なくとも市場全体の値動きをアウトパフォームするために銘柄を選んで投資しているはずです。ところが、そのリターンは日経平均株価に負けているのです。

もちろん運用成績などというものは、その時々の環境によって市場平均を上回ったり、逆に下回ったりするものですから、短期的なリターンで見た場合の勝ち負けは気にする必要はありません。が、10年というそこそこに長期間の運用で市場平均を超えられないというのは、やはりアクティブ運用の投資信託としては、その存在意義を問われることになるでしょう。この先10年後、20年後に運用成績をどのように立て直していくのか。これはCIOである草刈氏の重要な責務でもあります。

とはいえ、それも10年後、20年後にさわかみファンドが存在しているかどうかによります。

前述したように、2011年11月1日から2021年10月1日にかけてのさわかみファンドの基準価額は209.46%の値上がりでしたが、この間に純資産総額がどの程度増えたのかというと、増加率にして72.12%です。

投資信託の基準価額は、「受益権1口あたりの純資産総額」であり、純資産総額は投資信託に組み入れられている株式や債券などの資産の時価総額です。したがって、資金の出入りが全く無かったと仮定すると、基準価額の騰落率と純資産総額の増減率はほぼ一致するはずです。逆に一致しないということは、資金の流出入による受益権口数の増減が生じていることを意味します。

さわかみファンドの場合、2011年11月1日から2021年10月1日にかけて基準価額が209.46%も値上がりしたのに、純資産総額は72.12%しか増えませんでした。つまり、資金流出によって受益権口数が減っていることを意味します。

2011年11月1日時点の受益権口数の概算値は1981億3400万口でした。ちなみに受益権口数は、純資産総額を1口あたりの基準価額で割れば、概算値を計算できます。

では、2021年10月1日時点の受益権口数はどうかというと、1102億400万口です。この10年近くで、さわかみファンドの受益権口数は879億3000万口も減少したことになります。

このように解約額が設定額を上回る状態が続くと、運用そのものがとても苦しくなります。設定額が解約額を上回り、資金がどんどん流入してくる状態であれば、運用成績を改善するために新しい銘柄を組み入れることが出来ますし、仮にマーケットが下落している局面でも、資金さえ入ってくれば、株価が安くなったところを組み入れることが出来ます。

でも、資金流出が続く状態では、株価が安くなった時に思い切って買いに行くのが難しくなります。つまり、運用成績がじり貧になる恐れがあるということです。

この10年のさわかみファンドを観察すると、いろいろな意味で隘路に嵌った感があります。



金融ジャーナリスト
鈴木雅光(すずき・まさみつ)

JOYnt代表。岡三証券、公社債新聞社、金融データシステムを経て独立し(有)JOYnt設立し代表に。雑誌への寄稿、単行本執筆のほか、投資信託、経済マーケットを中心に幅広くプロデュース業を展開。

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