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経済ジャーナリスト鈴木雅光の「奔放自在」 vol.36
公開日:2021年11月10日

「インフレ⇒金利上昇⇒株価下落」になるか

インフレ懸念が浮上してきています。原油価格の指標的な存在であるWTIの価格は、2020年6月には1バレル=38.30ドル(月中平均)だったのが、2021年9月には71.56ドルまで上昇しました。

海運市況も、特にこの1年で大きく上昇してきました。バルチックドライインデックスは、2020年5月15日時点で407ポイントだったのが、2021年10月8日時点では5526ポイントまで上昇しています。原油市況も海運市況も、それらの上昇は物流コストの上昇につながり、さまざまなモノの値段に影響を及ぼします。

CRB指数も上昇しています。これは先物取引所で取引されている商品先物価格のインデックスであり、構成商品はアルミニウム、ココア、コーヒー、銅、トウモロコシ、綿、原油、金、灯油、赤身豚、生きた牛、天然ガス、ニッケル、オレンジジュース、銀、大豆、砂糖、無鉛ガス、小麦という19品目によって構成されています。2017年1月以降のチャートを見ると、160~210ポイント前後で推移していたのが、コロナ禍の影響で2020年4月に110ポイントを割り込むところまで値下がりした後、2021年10月15日時点では240ポイントまで上昇しました。

あるいは世界的な半導体不足も、インフレ懸念につながっています。新型コロナウイルスの感染が世界的に拡大していくなかでリモートワークが広がり、パソコンやスマートフォン、タブレットなど半導体を用いている製品のニーズが高まりました。

しかしその一方で、半導体製造工場の操業停止などもあり、拡大する需要に供給が追い付いていない状態が続いています。

2020年初頭から続いた新型コロナウイルスの世界的な感染拡大によって、多くの国が経済活動を大幅に減速させましたが、ここに来て経済再開の動きが見えてきたことによって需要と供給のギャップが大きく開き、それが物価の上昇を促しています。

日本の消費者物価指数は、2020年10月から2021年8月にかけて、前年同月比マイナスが続いていますが、米国の消費者物価指数は2021年4月に前年同月比4.2%の上昇になって以降、9月まで5%台の上昇が続いています。FRBのインフレ目標値は消費者物価指数ベースで年2%の上昇ですから、4月以降のインフレ率は明らかに目標値を上回っており、これが利上げ見通しを強めています。

金利が上昇に転じると、必ずといって良いほど浮上してくるのが、株価下落に対する懸念です。

教科書的に言えば、金利が上昇すると企業や個人の借入コストが上がるので、設備投資や個人消費が抑制され、企業業績が悪化するから株価が下がる。あるいは、金利が上昇すればリスク資産よりも安定資産に投資資金がシフトするから、株価は下落する、ということですが、実は過去10年程度の米国長期金利と株価の関係を見ると、長期金利が上昇したからといって必ずしも株価にとってネガティブ要因であるとは限らない事実が見えてきます。

添付したグラフは、米国の10年国債利回り(長期金利)とS&P500株価指数の推移を重ね合わせたものです。

2012年8月を起点にすると、米国の長期金利はざっくり見て4回、上昇局面があります。2012年8月から2013年12月、2016年8月から2018年10月、2019年6月から2019年12月、そして2020年7月から2021年10月がそれです。

では、この間に米国の株価が下落したのかというと、グラフを見ても分かるように、実はほぼ値下がりすることなく上昇傾向をたどってきました。

では、逆に金利が低下すれば株価は下がるのかというと、これも否で、少なくとも2012年8月以降の値動きを見る限りにおいては、金利低下局面においても株価はほぼ上昇しています。理論的には、「金利上昇=株価下落」、「金利低下=株価上昇」、なのですが、実はこの相関性は、少なくとも米国の株式市場においては、それほど機能していないのではないかと考えることが出来ます。

それが良いか悪いかは別にして、とにかく株主を重視する経営が行われ、高ROEを維持するために積極的な自社株買いを行うなど、徹底して株主資本主義が貫かれている。こうした背景があるからこそ、金利が上昇してもそれを意に介さず、米国の株価は上昇を続けてきたと考えることが出来ます。

逆に言えば、米国が株主資本主義を否定するような政策を打ち出してくれば、金利が上昇しようと、あるいは低下しようと、株価は大幅な調整局面に入っていくのではないかと考えられます。

新型コロナウイルスの感染拡大局面において、米国は積極的な財政出動を行い、景気の悪化を食い止めようとしました。

しかし、一方で財政状況は確実に苦しくなり、「貧富の格差」が拡大しました。財政を悪化させたままにすることは出来ないので、いつかは増税策が浮上してきます。その時、米国政府は誰から税金をより多く取ろうとするのでしょうか。企業が貪欲に利益を追求しにくい方向に政策の舵が切られた時、米国の株式市場は潮目を迎えるのだと思います。



金融ジャーナリスト
鈴木雅光(すずき・まさみつ)

JOYnt代表。岡三証券、公社債新聞社、金融データシステムを経て独立し(有)JOYnt設立し代表に。雑誌への寄稿、単行本執筆のほか、投資信託、経済マーケットを中心に幅広くプロデュース業を展開。

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