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経済ジャーナリスト鈴木雅光の「奔放自在」 vol.28
公開日:2021年5月28日

資産運用の誤解3 ~長期、積立、分散投資でリスクは軽減される?

「人生100年時代の資産運用は長期、積立、分散投資が基本」などと言われています。

「長期」は売ったり買ったりを繰り返すのではなく、買ったものをずっと持ち続ける、「積立」は一度にまとまった資金で投資するのではなく、少額資金を積み立てていく、「分散」は単一の銘柄、単一の資産クラスに投資するのではなく、複数銘柄、複数資産クラスに資金を分けて投資しましょう、ということです。

要するにリスク分散のための要諦であり、金融庁はこれらを実現するために「つみたてNISA」で資産形成をしましょう、と提言しています。

ただ、これをあまり真に受けるのも考え物です。

たとえば長期投資。長く持てば確実にリターンが得られると思っている人もいますが、長期で持つほどリスクが高まるという見方も出来ます。たとえば皆さんは、30年後の日本がどうなるかを正確に予想できますか。遠い未来になればなるほど、不確定要素は強まります。

積立投資は資産形成の一手法としてはありですが、リスク量そのものが減るというわけではありません。たとえば日経225平均株価のインデックスファンドを積立投資したからといって、日経225平均株価に投資していることのリスクは同じです。定額購入を続けることで、価格が下がった時に多めの口数を購入できるため、全体で見れば安値で仕込める口数が増えて、平均の買付コストが下がるという効果はありますが、それは投資対象のリスク量が減ったのとは別問題です。

資産運用の誤解3 ~長期、積立、分散投資でリスクは軽減される?

そして分散投資ですが、少なくともグローバルで株式に分散投資をしたところでリスクが減るとは限りません。

なぜ分散投資をするのかということですが、基本的にはリスクを分散させるためと言われています。Aという資産の価格が値下がりしても、Bという資産の価格が値上がりすれば、Aの値下がりをBの値上がりでカバーできます。

そのため、ポートフォリオを組む際には、値動きの方向性が異なるもの同士を組み合わせるのが肝心と言われ、そのなかでグローバル分散投資という考え方が生まれました。国が違えば経済の状況も違ってくるため、株価の値動きに違いが生じてくるはずだから、株式のグローバル分散投資を行えば、リスクを軽減させながらリターンが狙えるという考え方です。

しかし、実はこの考え方も結構怪しい部分があります。

相関係数という言葉をご存じでしょうか。これは、たとえばAとBのリターンの完成性を表すもので、+1~-1の間の数値で示されます。+1に近づくほど強い正の相関性があり、-1に近づくほど強い負の相関性があることを意味します。「正の相関」とは、Aが値上がりした時にBも値上がりすることであり、「負の相関」は、Aが値上がりした時にBは値下がりすることです。そして、「0」は相関がないことを意味します。相関係数と相関の度合いは、以下のようになります。

0.7≦r≦1.0=強い正の相関
0.4≦r≦0.7=正の相関
0.2≦r≦0.4=弱い正の相関
-0.2≦r≦0.2=ほとんど相関がない
-0.4≦r<-0.2=弱い負の相関
-0.7≦r≦-0.4=負の相関

-1≦r≦-0.7=強い負の相関
したがって分散投資をするならば、相関係数が0か、もしくは-1に近いものを選ぶべきということになります。

では実際問題、資産クラス間の相関性には、どのような関係がみられるでしょうか。

たとえば世界中の株式市場に分散投資する投資信託があるとしましょう。これと日本株との間の相関係数は、直近10年間で見ると0.68です。これは正の相関を意味しますから、日本株が下落すると、世界株式も同じく下落することになります。

この他、世界株式との相関係数を見ると、米国株式が0.96、新興国株式が0.87、というように、いずれも強い正の相関を持っています。ということは、グローバル分散投資の株式型投資信託をポートフォリオのコアとして保有した場合、そのリスクを軽減させるために日本株や米国株式、新興国株式に分散投資したとしても、少なくとも数字上ではほとんど分散投資効果が得られないことを意味します。

逆に、世界株式と負の相関関係を持っている資産クラスは何かというと、日本国債と米国10年国債になります。したがって、グローバル株式のポートフォリオを持っている人は、日本国債か米国10年国債を持つべきなのですが、いずれも現在は超低金利の影響によって、金利面の魅力はほとんどありません。

ちなみに以上の数字は、JPモルガンアセットマネジメントが作成した資料によるもので、データの基準日は2021年3月末日になります。

したがって、リスク軽減効果のための分散投資という理屈は、少なくとも相関係数を見る限りは成り立ちません。「長期、積立、分散投資」を心がければ必ずリスクが軽減されるとは限らないことを、理解しておきましょう。



金融ジャーナリスト
鈴木雅光(すずき・まさみつ)

JOYnt代表。岡三証券、公社債新聞社、金融データシステムを経て独立し(有)JOYnt設立し代表に。雑誌への寄稿、単行本執筆のほか、投資信託、経済マーケットを中心に幅広くプロデュース業を展開。

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