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経済ジャーナリスト鈴木雅光の「奔放自在」 vol.27
公開日:2021年5月21日

資産形成の誤解2 ~平均リターンは実現可能?

インターネット証券会社などの金融機関がつくっている投資信託のプロモーションサイトで、時々、こんな記事を見かけます。

「たとえば年平均5%で運用できたとします。この収益を再投資して運用した場合、元本100万円が10年後には162万8895円になります。だから再投資をして長期運用することが必要なのです」。

再投資とは、一定の運用期間中に生じた運用収益を投資元本に組み入れて運用することで、一般的には複利運用に近い効果が得られると言われています

前出のカッコ書きの内容で言うと、年平均5%という前提条件を置いて、毎年5%の収益を投資元本に組み入れて運用した場合の10年後の元利合計金額を表示しています。計算方法は複利運用のそれと全く同じです。

具体的にどのような計算が行われるのかというと、元本100万円を5%で1年間運用した場合の元利合計金額は105万円です。

2年目は、この105万円を元本として5%で運用しますから、110万2500円になります。

3年目は110万2500円を元本として5%で運用します。その結果、元利合計金額は115万7625円になります。

こうして10年間運用し続けると、前出の162万8895円になるというわけです。

仮に複利運用をせず、毎年得られる5%のリターンを受け取り、常に元本を100万円に戻したうえで1年間運用することを10年間繰り返した場合の元利合計金額は、150万円です。このような運用を単利運用と言います。

単利運用だと150万円。複利運用だと利息が利息を生んで162万8895円。確かに、複利運用の方が有利です。

しかし、投資信託の再投資効果をこれと同じ理屈で論じるのは、いささか無理があります。大きな誤解を生む恐れすらあると言って良いでしょう。

複利運用効果はあくまでも毎年一定率の収益が得られることを前提にしているのですが、投資信託の場合、あくまでも「投資」なので、毎年リターンが得られる保証はどこにもないからです。場合によってはマイナスが生じることもあります。

「だから平均リターンだと言っているじゃないか」と言う反論もありそうです。確かに、「儲かる時もあれば損をする時もあるので、それも考慮した平均のリターンが5%なんだ」という理屈も言えなくはないのですが、実は再投資をして生じたマイナスのリターンが資産価値に及ぼす影響は、意外と大きいのです。

ちょっとしたシミュレーションを試みてみましょう。

まず、1年目に5%、2年目に▲5%、3年目に5%、4年目に▲5%というように、プラスリターンの年とマイナスリターンの年が交互にあったとします。率はプラスリターンを5%、マイナスリターンを▲5%とします。

10年間の勝敗は5勝5敗になりますが、この前提条件で10年間運用した場合の元利合計金額は98万7562円です。つまり元本割れです。これをパターン1ということにしましょう。

パターン2は、同じようにプラスリターンを5%、マイナスリターンを▲5%として、2年連続でプラスリターンの後、1年がマイナスリターンとして、10年間で7勝3敗したケースです。この場合の10年間の元利合計金額は120万6413円です。

パターン3はさらに勝率を上げて、3年連続でプラスリターンが続いた後、1年間がマイナスリターンを繰り返したケースです。10年間で8勝2敗になるのですが、この場合の10年間の元利合計金額は133万3404円でした。

パターン3のように、10年間の成績が8勝2敗だったとしても、毎年5%で複利運用した場合に比べて、収益は大幅に減ってしまうのです。

もちろん実際の運用においては、プラスリターンが5%でマイナスリターンが▲5%というように、プラスとマイナスが同率になることはありません。プラスリターンが30%でマイナスリターンが▲5%になることもあれば、逆にプラスリターンが5%でマイナスリターンが▲30%になることもあります。

プラスリターンの率が高ければ高いほど、かつプラスリターンの年が多ければ多いほど、トータルのリターンは高くなりますが、実際にどうなるのかは、マーケット相手の話なので、全く分からないというのが正直なところです。

このように考えていくと、平均リターンで再投資をするという前提のシミュレーションが、いかに現実離れしているのかが分かると思います。

つまり金融機関が投資信託に関して、平均リターンを用いて再投資効果を強調してきたら、かなり非現実的な話をしていると思うべきですし、それを鵜呑みにして投資信託を買わないようにした方が無難なのです。



金融ジャーナリスト
鈴木雅光(すずき・まさみつ)

JOYnt代表。岡三証券、公社債新聞社、金融データシステムを経て独立し(有)JOYnt設立し代表に。雑誌への寄稿、単行本執筆のほか、投資信託、経済マーケットを中心に幅広くプロデュース業を展開。

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