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経済ジャーナリスト鈴木雅光の「奔放自在」 vol.26
公開日:2021年4月23日

資産形成の誤解1 ~少額投資でも資産形成は可能?

最近は、若い人たちに資産形成をしてもらいたいと考える金融機関が多いからなのか、やたらと「少額投資」のメリットを説く声が聞こえてきます。

かつて投資信託の最低購入金額は1万円程度だったのですが、最近はインターネット証券会社を中心に、1000円から購入できる投資信託が増えてきました。

「おつり投資」というスキームもあります。クレジットカードで買い物をした時に発生したと想定されるお釣りを、ロボアド運用してくれるというものです。実際にはクレジットカード決済なのでお釣りの概念はないのですが、事前に金額設定をすることによって、お釣りが発生したと想定するのです。たとえば設定金額を100円単位にして360円の買い物をした場合は、400円-360円=40円が投資に回されます。これが500円単位なら500円-360円=140円、1000円単位なら1000円-360円=640円になります。

全く現金を使わずに投資する方法もあります。「ポイント投資」がそれです。文字通り、買い物などをした時に溜まっていくポイントで、株式や投資信託を買い付けるというものです。

こうした少額投資のスキームが意外と人気を集めています。手軽に始められることに加え、少額のお釣りやポイントによる投資だから、多少の損が生じたとしても、実感としてそれほど「痛い」想いをせずに済むといったことが、人気の理由でしょう。

少額投資のメリットを改めて整理しておきましょう。

まず、誰でも投資できること。最低1000万円が必要となると、なかなか投資しようという気になれませんが、1000円であればそれほど躊躇せずに投資できます。

では、なぜ少額資金だと投資しやすいのかというと、損をした時のダメージも小さくて済むからです。

たとえば5%の値下がりがあったとしましょう。投資元本が1000万円だと、5%の値下がりで損失額は50万円。これに対して1000円であれば、同じ率の値下がりでも損失額は50円で済みます。

一般的に投資をしない人たちは、「投資はお金が必要だから」、「勉強しなければならないから」という理由で二の足を踏むのですが、こうしたハードルを、少額投資は大きく下げてくれます。ちなみに最近の少額投資スキームを見ると、投資対象までAIで決めてくれるロボアドがメインですから、投資について必要最低限の勉強をする必要もなく、文字通りお任せでお金を増やしてくれるというのが、この手のスキームの売り文句でもあります。

でも、確かに少額資金は投資へのハードルを下げてくれるのですが、リターンもかなり限定的になることを忘れてはいけません。

正直、1000円投資をずっと続けていても、資産形成にはならないのです。

たとえば年平均のリターンで、毎月1000円ずつ積立投資をしていったとしましょう。積立期間は30年とします。

30年の積立期間といったらかなりの長期投資です。何しろ30歳から始めたとしても、積立期間が終了する頃には定年一歩手前の60歳ですから。では、実際に毎月1000円をコツコツ投資し続けた人の30年後の資産はいくらになっているでしょうか。

答えは81万5400円です。

81万5400円!!!!!

仮に毎月の積立金額を1万円に引き上げたとしても、30年後の資産額は815万4000円です。

たとえば60歳で定年を迎えた場合、厚生年金を受給できるのは65歳からですから、5年間は基本的に無年金状態で生活する必要があります。だからこそ皆、65歳になるまで雇用延長などの制度を使って働くのですが、当然、雇用延長になると月々の給料は大幅に減ります。その間、現役と同じ感覚でお金を使っていたら、あっという間に蓄えは無くなります。

仮に毎月10万円の赤字が生じたとしましょう。それを毎月1万円ずつ30年間積み立ててつくった815万4000円で賄ったとしたら、7年弱でこの蓄えは底を尽くことになります。

この時点で67歳。まだまだ人生は先が長いので、そこから先は公的年金だけに頼った生活をしなければなりません。恐らく、決して楽な生活ではないでしょう。ましては毎月1000円の積立投資でつくった81万5400円なんて、全くのゼロに比べればマシですが、長い老後の生活を賄う資金として考えると、あまりにも心許ないと言わざるを得ません。

ということで、最近、さまざまなメディアで言われている「少額投資」は、初めて投資をやってみようという人のきっかけにはなるけれども、資産形成には全く役に立ちません。

もちろん、それでも「何もしないよりはマシ」ではありますが、1000円や1万円程度の積立投資をどれだけ長く続けたとしても、ほとんど老後の足しにはならないのです。もし積立投資で資産形成をするのであれば、最初は1万円からでも良いのですが、途中で3万円、5万円というように、毎月の積立金額を増やしていけるように努力することが肝心です。



金融ジャーナリスト
鈴木雅光(すずき・まさみつ)

JOYnt代表。岡三証券、公社債新聞社、金融データシステムを経て独立し(有)JOYnt設立し代表に。雑誌への寄稿、単行本執筆のほか、投資信託、経済マーケットを中心に幅広くプロデュース業を展開。

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