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経済ジャーナリスト鈴木雅光の「奔放自在」 vol.24
公開日:2021年2月24日

配当利回りで投資する魅力

「株式投資で儲ける」という話になると、恐らく多くの方は「株価が大きく値上がりする銘柄は何?」ということに興味を示すと思います。テンバガーといって、短期間のうちに株価が10倍以上になる銘柄が時々、出現することもあり、株式投資で一攫千金を狙っている人たちは、自分もこの手の銘柄に乗れることを夢見ています。

株式投資によって得られるリターンの源泉を分解すると、大きく2つに分かれます。

ひとつは今も触れた株価のキャピタルゲインです。株価の安い時に買い、それが後々値上がりしたところで売却すれば、値上がり益が得られます。

そして、もうひとつは配当金です。配当金は企業の税引き前当期利益から法人税、住民税、事業税を差し引いた後に残される「当期純利益」の一部を原資にして、あらかじめ決められた基準日に株主として登録されている人を対象に支払われます。

前述したように、キャピタルゲインと配当金のうち、多くの投資家はキャピタルゲインを重視する傾向があります。確かに、「年2%の配当利回り」と「1か月で株価が10倍」を比較したら、圧倒的にキャピタルゲインの方が魅力的に映るでしょう。

また日本企業の多くがかつて配当金の支払いについて消極的であり、そのため配当利回りが低めに推移していたことも、配当よりキャピタルゲインを重視する傾向が強い理由のひとつであると考えられます。

1980年代後半、日本は高度経済成長の最終局面に入り、株価や地価がとめどもなく値上がりするバブル経済へと突入していきました。この間、企業は儲けの一部を配当金として株主に還元するよりも、大規模な設備投資を行ってより大きな収益を狙った方が合理的という判断も手伝い、配当に対して消極姿勢を強めたのです。そのうえ、バブル経済で株価は上昇の一途をたどっていきましたから、配当利回りが非常に低くても、株主はほとんど気にもかけなかったというのが事実でしょう。

でも、値上がり益ほどリターンの根拠が不明確なものはありません。確かに企業価値が上がると思われれば、多くの投資家が買いに来るので株価は値上がりします。

とはいえ、株価の値上がり益は企業が稼いだ利益から捻出されるものではありません。「企業価値」という、人によって異なる価値観が根拠になっています。

そのため、思惑によって株価は上下します。企業業績が好調なのに株価が値下がりすることがあるのは、その企業の株式を保有、売買している投資家の価値観が皆、バラバラだからです。その結果、株価は過大評価されたり、逆に過小評価されたりします。

もちろん、根拠があいまいだからこそ、その不確実性を加味してキャピタルゲインは大きくなる傾向があると考えることも出来ますが、長期投資を前提にした場合、この手のあいまいなものに振り回されるのはストレスがかかります。

この点、配当金は根拠が明確です。前述したように、配当金は企業の税引き前当期利益から法人税、住民税、事業税を差し引いた後に残される「当期純利益」の一部を原資とします。つまり企業の利益が配当原資に充てられるのです。もちろん利益も景気、競合他社との競争など、さまざまな要因によって増減しますし、将来の業績を正確に読み込むことは出来ません。でも、人の心理に大きく左右される株価の行方に比べれば、はるかに確度は高いといえるでしょう。

株主には3つの権利があることをご存じでしょうか。「配当を受け取る権利」、「株主総会での議決権」、「残余財産の分配を受ける権利」がそれです。でも、このなかには「株価の値上がり益を得る権利」という意味を含む言葉はありません。つまり企業の株主として得る金銭的な利益は、配当金が「主」であり、株式の売買益はあくまでも「従」なのです。

このように考えると、株式の長期投資で大事なことは、株価がどれほど値上がりするのか、ということよりも、継続的、長期的に配当が上昇していくかどうかの方が大事になってきます。

実は、長期的に配当金の増配が続く銘柄を持つことは、短期的に大きなリターンが得られる銘柄よりも、はるかにポートフォリオの投資効率を上げる効果が期待できます。

「連続増配企業」で検索を掛けると、いろいろな企業が出てきます。たとえば花王は32期連続増配です。2021年12月期決算の年間配当金は1株あたり144円でした。同社の株価は2月19日終値が7435円なので、配当利回りは1.92%です。

1.92%ではそれほど食指も動かないと思いますが、もし1990年に投資していたとしたらどうなるでしょうか。ちなみに1990年12月の株価は月末で1200円です。この時の配当は1株あたり7.1円ですから、配当利回りは0.59%と極めて低いのですが、もし1株1200円の時に投資をして、今まで保有し続けたとしたら、1200円の買値に対して2020年12月期の配当金が144円なので、利回りは12%にもなります。

科研製薬という製薬会社は16期連続増配で、2007年3月期の年間配当金が17円。同年3月末の株価が959円ですから、配当利回りは1.77%ですが、2021年3月期の年間配当金は150円の予定です。この銘柄にもし2007年3月末の959円の株価で投資していたら、配当利回りは15.64%にもなります。

そして花王も科研製薬も、さらに増配記録を更新していく可能性がありますから、そのまま株式を保有し続けていれば、さらに利回りは向上する可能性があります。

もし、年間の配当利回りが12%、あるいは15%にもなるまで保有し続けていたら、この超低金利下でその株式を手放そうなどとは思わなくなるでしょう。

確かに、いくら配当利回りが良くても、株価が下落していたら差し引きでマイナスになるのではという声も出てきそうですが、連続増配を長年にわたって続けているような企業は、企業価値の向上に余念がありません。

ちなみに花王の株価は、1990年12月末が1200円で、2021年2月19日が7435円ですから、株価は30年間で6倍になりましたし、科研製薬の株価も2007年3月末の959円から2021年2月19日には4145円まで値上がりしていますから、14年間で4.3倍です。このように株価も長期的に上昇しているのです。

非常に気の長い話ではありますが、資産という意味で株式を保有するならば、このように増配を続けてくれそうな企業を発掘するのもひとつの手です。



金融ジャーナリスト
鈴木雅光(すずき・まさみつ)

JOYnt代表。岡三証券、公社債新聞社、金融データシステムを経て独立し(有)JOYnt設立し代表に。雑誌への寄稿、単行本執筆のほか、投資信託、経済マーケットを中心に幅広くプロデュース業を展開。

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