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経済ジャーナリスト鈴木雅光の「奔放自在」 vol.23
公開日:2021年2月09日

「ランキング」はあてにならない

株式や投資信託などの投資商品を選ぶ時、絶対にやってはいけないことのひとつが、ランキングを参考材料にすることです。特に、投資の初心者はこの手の間違いをしてしまいがちなので注意が必要です。

ランキングにはさまざまなものがあります。「ヤフーファイナンス」や「株探」、「モーニングスター」といった、投資関連のサイトを見ると、必ずトップページにさまざまなランキングが掲載されています。

たとえばヤフーファイナンスの「株式ランキング」では、値上がり率、値下がり率、出来高のランキングが掲載されていますし、株探も同じように値上がり率や値下がり率、人気テーマ、人気ニュース、信用残などがランキングされています。

あるいは投資信託の評価会社であるモーニングスターであれば、「ファンドランキング」として過去1か月、1年、3年、5年、10年のリターンやレーティング、コスト、純資産、売れ筋などのランキングが掲載されています。

特に、投資経験の少ない人ほどこの手のランキングに依存する傾向があります。しかし、株式や投資信託、J-REITなど投資商品のランキングは、あくまでも過去の結果でしかないことに注意が必要です。

なぜなら株式も投資信託も、基本的に投資先となるマーケットの値動きにリターンが左右されるからです。

そして、マーケットが将来、値上がりするのか、それとも値下がりするのかは、誰にも分かりません。過去3年間で基準価額が60%値上がりした投資信託があったとして、それがこれから3年後も、同じように60%の値上がりを実現できるかどうかは、分からないのです。

したがって、投資信託の値上がり率ランキングは、ファンド選びの参考材料にはなりません。たとえば過去3年間の騰落率がトップのファンドを選んで購入したからといって、これから5年後、10年後もずっとトップクラスの運用成績を維持できるかどうかは、わからないのです。

時々、株式の値上がり率ランキングに、ダントツで他の銘柄を圧倒するような値上がり率でトップに躍り出てくる銘柄があります。厳密にいえば株式ではなくETFです。「Wisdom Tree天然ガス上場投信」がそれです。

このETFは極めて特殊な値動きが続いており、値上がり率トップに躍り出る時のそれは、前日比で100%になっていたりします。つまりたった1日で2倍の値動きになるということです。

この値動きがいかに特殊かは、このファンド名でチャートを検索すれば一目瞭然です。2018年1月からのチャートを見ると、2018年1月4日から2019年6月3日までは3円から4円で推移していて、2019年6月4日から2020年1月30日までは2円から3円で、そして2020年1月31日から現在にかけては1円から2円の間で推移しています。これを四本値チャートにすると、まるでバーコードのようになります。

現在までの株価の推移を見ると、ほぼ連日、始値が2円で高値となり、ザラ場に1円という安値を付けた後、終値が2円に戻るというパターンを繰り返していますが、時々、そのパターンが変わり、始値が1円で終値が2円になることがあります。1円でスタートした株価が2円になるのですから、値上がり率は100%です。このような値動きをした時、このETFは値上がりランキングのトップに登場してくるのです。

しかし、だからといってこのETFに投資することで常に100%の値上がり益が得られるのかというと、恐らくそれはかなり難しいと思います。

この銘柄の1月29日時点の板を見ると、1円の株価で買いたいという注文の口数が3億2167万6800口あるのに対し、2円で売りたいという注文の口数は9910万2800口しかありません。同じことを考えている投資家が大勢いて、皆、1円で買えることを虎視眈々と狙っています。ちなみに、同日の出来高は698万6800口ですから、買い注文の口数に対して、ほとんど取引が成立していないことが分かります。

つまり1円で買ったETFを2円で売却して100%の値上がり益を狙うというのは、理屈としては成り立ちますが、実際には注文そのものがほぼ成立しないので、現実的ではないということになります。

恐らく、1日の値上がり率が100%になれば、これを超えるリターンを上げられる銘柄はないでしょう。当然、ランキングのトップになるわけですが、前述したように買える可能性が極めて低いので、1円買いの2円売りを繰り返して収益を得るのは、ほぼ不可能です。

もちろん、「Wisdom Tree天然ガス上場投信」は特殊事例ではありますが、やはりランキングは銘柄選びをするうえで何の参考にもならないことを意味しています。

投資先選びで大事なのは、過去の運用成績、過去の値上がり率ではありません。それ以前にどのようなビジネスがこれから先、注目されるのか、どのマーケットが有望なのか、を見極めることです。投資信託や個別銘柄の値上がり率ありきではなく、マーケットやビジネスの本質を見極めることこそが、投資対象選びにおいては重要なのです。



金融ジャーナリスト
鈴木雅光(すずき・まさみつ)

JOYnt代表。岡三証券、公社債新聞社、金融データシステムを経て独立し(有)JOYnt設立し代表に。雑誌への寄稿、単行本執筆のほか、投資信託、経済マーケットを中心に幅広くプロデュース業を展開。

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