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経済ジャーナリスト鈴木雅光の「奔放自在」 vol.20
公開日:2020年11月26日

コロナショックから1年でJ-REITはどうなったのか

早いもので、COVID-19という新型コロナウイルスが世界的に広がってから1年が経とうとしている。が、感染拡大は収まるどころか「第三波」などと言われ、状況はむしろ悪化の方向に進んでいる。

この間、「ニューノーマル」や「アフターコロナ」、「ウィズコロナ」といった言葉が喧伝されたが、これは不動産にもあてはまる。感染拡大の影響で、リモートワークや多拠点居住など、新しい働き方、新しい住まい方が注目されるようになった。そうなれば不動産価格にも影響が及ぶ。

そして、不動産市況に先行して動くのがJ-REITの値動きと言われている。そうだとするならば、特に不動産投資に関心を持っている人たちは、とりもなおさず今のJ-REITの動向をチェックしておく必要があるだろう。

ということで、グラフはコロナショック前からの主だったJ-REITの価格動向を示している。各ファンドの値動きを比較しやすいように、2020年2月3日時点の価格を100として指数化している。

なお、ここで取り上げたJ-REITは、特定の投資用途に集中投資するタイプのなかで時価総額が最も大きいものだ。ちなみに以下のようになっている。

<下記画像クリックで拡大します>

日本ビルファンド投資法人・・・・・・オフィスビル特化型
日本プロロジスリート投資法人・・・・・・物流特化型
アドバンスレジデンス投資法人・・・・・・レジデンス特化型
日本リテールファンド投資法人・・・・・・商業施設型
ジャパンホテルリート投資法人・・・・・・ホテル特化型

3月19日の急落場面で最も大きく値下がりしたのがジャパンホテルリート投資法人だった。2月3日を起点とした時、3月19日の価格は65%強も下げている。言うまでもなく、自粛ムードが広まるなかで、インバウンド観光客も含めて旅行需要が一気に消滅したからだ。

その後、GO TOキャンペーンに対する期待感もあり、目先の高値をつけた10月8日までの間に、133%もの上昇となったが、現状ではまだコロナショック前の水準を回復できていない。第三波の懸念が広まるなか、ホテル需要はまだ当分、回復しないだろうというのが、市場関係者のコンセンサスといえそうだ。

日本リテールファンドの戻りも鈍いが、これもやむを得ないだろう。同ファンドは商業施設特化型だが、ニューノーマルのなかで商業施設での買い物を躊躇する消費者は結構多い。買い物をする場所は、かつてはデパート、スーパーマーケットといった商業施設が中心だったが、恐らくこれから相当数がこの手の商業施設ではなく、ECへと切り替わっていく。そしてこの流れは、コロナ騒動が沈静化した後も、大きく変わることはない。アマゾンなどは、モノによっては注文をしたその日のうちにモノが届く。この便利さを知ってしまうと、よほどリアル店舗での買い物が好きな人でなければ、クリックひとつでモノが買えるECを利用するようになるだろう。

ホテルはコロナ騒動が沈静化すれば需要が回復して、価格も元に戻る可能性はあるが、商業施設はアマゾンなどのECで買い物をする利便性を多くの消費者が知ってしまっただけに、コロナショック前の水準を取り戻すには、かなりの時間を必要とするのではないだろうか。

一方、極めて堅調なのが日本プロロジスリート投資法人だ。同ファンドは物流施設を組み入れて運用している。前述した商業施設特化型の日本リテールファンド投資法人とは真逆の値動きと考えて良いだろう。3月19日の値下がりは他のファンドのなかで最も小さく、現時点の価格は唯一、コロナショック前の水準を上回っている。

ここまで買われている理由は、商業施設特化型の不振の裏返しと言っても良い。商業施設で買い物をする人が減る一方、ECで買い物をする人が増えれば増えるほど、物流施設に対する需要が高まっていく。倉庫物件に対する需要は今後も落ち込むことはないだろう。今、J-REITの投資用途別では、物流施設特化型が最も有望と考えて良い。それはJ-REITだけでなく、現物の不動産投資にも同じことが当てはまる。

2月3日の水準をやや下回っているが、物流施設特化型と共に比較的安定した値動きを続けているのが、レジデンス特化型のアドバンスレジデンス投資法人だ。11月20日時点の価格は89.66で起点を下回っているが、コロナショック後の上昇局面では一時的に2月3日の価格を超えてきた。

ただし、人々の住まい方が変わり、都心のタワーマンションから郊外の一軒家に住み替える動きが広まれば、特に都心のマンション物件を多く組み入れているファンドは不利になる。郊外や地方に住むという動きは、まだそれほどはっきりしていないので何とも言えないが、もしレジデンス特化型のJ-REITを保有しているとしたら、投資先の物件がどういう類のものなのかを調べる必要がありそうだ。

最後にオフィスビル特化型で、ここでは日本ビルファンド投資法人を取り上げている。

オフィスビルははっきり言って厳しい。11月20日時点の価格は、他の特化型に比べて最も安い。3月19日の急落場面では、日本プロロジスリートに次ぐ、下げ幅の小ささだったが、大きく回復することもなく、ひたすら下げ続けている。一時は3月19日の急落場面でつけた安値を下回る場面すらあった。

理由は改めて言うまでもないだろう。リモートワークが一般化すれば、オフィスビル需要は大幅に後退する。

筆者の知り合いが自分の会社をリモートワークに切り替えるため、オフィスビルを退去しようした。それにあたって、今まで使っていたデスクやイスを中古業者に引き取ってもらおうとしたところ、その業者は「引き取りの際にはお金をいただきます」ということだったそうだ。本来はいくばくかの値段が付くはずなのに、今はオフィスビルを退去したい会社がたくさんあるため、事務用品の中古マーケットで値崩れが生じていると考えられる。そのくらいオフィスビル需要が冷え込んでいるということだ。

オフィスビル需要の後退が長引けば、当然のことながら日本ビルファンド投資法人の価格はじりじりと下がっていく。その価格下落が続く限り、オフィスビルの不動産市況も厳しい状況が続くことになるだろう。



金融ジャーナリスト
鈴木雅光(すずき・まさみつ)

JOYnt代表。岡三証券、公社債新聞社、金融データシステムを経て独立し(有)JOYnt設立し代表に。雑誌への寄稿、単行本執筆のほか、投資信託、経済マーケットを中心に幅広くプロデュース業を展開。

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