2021年が終わり、新たな年が幕を明けようとしています。そこで「どうなる2022年!」をテーマとし、各分野のスペシャリスト達に2022年の経済・マーケットについて伺いました!

武者リサーチ代表で日本株のスペシャリスト武者陵司さんをはじめ、ニューヨークを拠点として、ファイナンシャル・コンサルタントとして活躍する若林栄四さん、外国為替ストラテジストである川合美智子さん、伝説の為替ディーラー酒匂隆雄さん、ペンタゴンチャートの第一人者川口一晃さんと、それぞれ違った目線で2022年を分析して頂きました。

武者陵司さん > 2022年の日本株
若林栄四さん > 2022年のマーケット
川合美智子さん > 2022年の注目材料と為替相場について
酒匂隆雄さん > 2022年のドル・円相場の展望
川口一晃さん > 2022年の相場をペンタゴンで読む

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各記事をご覧いただき、感想を書いていただけると当選確率がアップしますよ!

それでは、まずは武者陵司さんの「どうなる?2022年の日本株」を御覧ください。

武者陵司さんに聞く!
2022年の日本株

武者陵司

武者リサーチ 代表

武者ハイテク敗戦、グリーン敗戦など、いろいろネガティブな言い方がされる日本株ですが、これらはすべて過去に起きたこと、言わばバックミラーに映った姿です。今後の姿をフロントガラスを通してみれば状況は全く変わって見えるでしょう。

過去もよく見れば悲観しなければならないというものでもありません。日本株のボトムは2009年3月10日につけた7054円でした。これがバブル後の最安値です。そして直近の高値が、2021年9月14日につけた3万795円でした。ということは、この12年間で日本の株価は実に4倍超になっています。最高値更新とまでは行っていませんが、12年間で4倍のパフォーマンスは、米国を除けば決して世界に見劣りするものではありません。日本が本当に世界に劣後していたのは8~9年前まで、それ以降キャッチアップが始まっているのです。

インターネットが一般に普及して20数年が経過しました。この間、米国にはグーグルやアップル、フェイスブック(メタ)、アマゾンといった超巨大ハイテク企業が誕生し、米国の株式市場は我が世の春を謳歌してきました。

しかし、その勢いもいよいよ鈍化する時期に入りつつあるのではないかと考えています。

たとえば音楽や動画ストリーミングのジャンルに目を向けると、このジャンルに多くの企業が参入して価格競争が起こり、利益を生み出しにくくなってきています。

GAFAと称される巨大ハイテク企業は、プラットフォーマーとしてここまで成長してきたわけですが、自らコンテンツを生み出してはいません。インターネットとサイバーの世界で多くの利便性を開拓して圧倒的ユーザーを獲得し、その独占的強みを活用してさまざまな外部のコンテンツメーカーを支配しているのです。あたかも「アラジンの魔法のランプ」や「ドラえもんのポケット」にも似た驚異的機能で私たちの生活を大変便利にしましたが、その技術的進化はそろそろ成熟期に入っています。

スマホの新モデルに追加される新機能にさほどの驚きはなくなっています。あまり機能の差がないスマホメーカーが競争して価格が下がっていく時代に入り、プラットフォーマーの役割はさまざまなコンテンツを右から左に流しているだけの単なる土管になっていくものと思われます。今後真に付加価値を生み出すのは、土管ではなく、その土管を通して提供されるコンテンツになっていくのではないでしょうか。ここを見間違えてはいけません。

恐らく、GAFAなどの巨大なプラットフォーマーは、極めて強力にネットアプリプロバイダーやコンテンツメーカーを支配していることから、いずれ独占禁止法違反に問われるでしょう。それは、彼らのビジネスモデルが綻び始めることを意味します。

先日、フェイスブックが社名をメタに変更し、メタバースと呼ばれる仮想空間の開発を強化する方針を打ち出しました。現在のプラットフォームビジネスが収益的に厳しくなる恐れが強まってきたなかで、新しい収益の源泉を、さらなるバーチャルの世界に求めたのです。

しかし、仮想空間のなかで、物理的に距離が離れているところにいる者同士が会話をしたり、ゲームをしたりすることが、現実社会におけるさまざまな課題解決につながるのか、あるいは真に人々が必要としている付加価値を生み出せるのかと考えると、そこは極めて疑問です。

確かに、新型コロナウイルスの感染拡大によって、多くの人がオンラインでコミュニケーションを取るようになったことで、仮想空間に対する関心が高まっているのだとは思いますが、そもそもオンラインでのコミュニケーションは、ウイルス感染から自分の身を守るために行ったことですから、ウイルス感染が終息に向かえば、再びリアルなコミュニケーションへとシフトしていくはずです。メタバースのような仮想空間に対する関心は、これまでほどの熱狂を生み出さないものと思われます。

むしろ、これから注目されるのはバーチャルな世界の深化ではなく、現実社会における課題解決に向けて、ハイテクをどう活かしていくか、だと思います。

武者先般、「SoftBank World 2021」でソフトバンクグループ会長兼社長の孫正義氏が「スマボの時代がやってくる」というテーマの基調講演を行いました。AIで自ら学習し、柔軟に、臨機応変に動くロボットのことを「スマボ」、つまりスマートロボットと言っていたのですが、このスマボを1億台、日本に導入すれば、労働人口にして10億人相当の国に生まれ変わると言うのです。少子超高齢社会で労働人口が減少している日本の社会課題解決に直結します。これは日本だけの課題ではなく、これから中国も含めた先進諸国が直面する課題でもあります。スマボは先進諸国を救うといっても過言ではないでしょう。

そして、このスマボを動かすうえで必要な要素技術は、スマボの目となる各種センサーであり、スムーズな動作を可能にするアクチュエーターです。これらの要素技術において、日本は世界有数の高い技術力を有しています。サイバーにおける戦いで日本は後れを取りましたが、サイバーとフィジカルを組み合わせた「サイバー・フィジカル・インターフェイス」の分野において、日本企業の強みが発揮される可能性は、非常に高いと考えています。スマボを提唱したソフトバンクグループ、センサーの覇者ともいうべきキーエンス、世界一の高性能モーターを製造している日本電産など、この分野における高い要素技術を持った日本企業には注目したいところです。

あるいは、コンテンツが価値を創造していくという点では、「お客様に感動をお届けする」ことを企業理念に盛り込んだソニーがありますし、環境では「空気で答えを出す会社」を標榜するダイキン工業があります。世界で勝てる企業、いやすでに各分野で世界トップシェアを持つ勝ち組企業は日本にも実はたくさんあるのです。ただそのビジネス領域の重要性がインターネットプラットフォーマーほど十分に認識されていないだけのことです。

日本の株価はこの12年間で4倍強の成長を遂げてきました。しかし、日本企業が担っている動画、音楽、ゲームなどのコンテンツ、日本が圧倒的存在感を持つサイバーとフィジカルの接点技術、日本が擁する情報産業時代の世界一の資本家孫正義氏、アパレルの革命児柳井氏、フェイスブックよりもはるか前から出会いを仲立ちするマッチングビジネスを極め続けてきたリクルートなどが、正当に評価されれば、実際にはもっと値上がりしても良いはずです。

なぜ、4倍強の値上がりに止まっているのかというと、人口減少社会の日本には将来性がないという認識が広がっているからです。日本の個人金融資産は総額で約2000兆円もあるのに、未来に対する悲観ムードで、株式の投資意欲が今ひとつ湧きあがって来ないのです。

この悲観ムードが変われば、日本の株式市場は劇的に変化するでしょう。この国の家計は、全く金利が付かない現預金を、1072兆円も持っているのですから。この資金の一部が配当だけで2%のリターンがある株式市場に回れば、株価は大きく上昇します。

実は、その萌芽は見えつつあります。真剣に自分の将来を考えなければならない若者を中心にして、つみたてNISAやiDeCoで資産形成を行う動きが、このコロナ禍において目立つようになってきたのです。金利が付かない預貯金では将来の資産形成が覚束ないため、投資信託を中心としたリスク性資産に資金が向かい始めました。その一部は、確実に日本株市場にも入ってきます。

今はまだ細い流れですが、いずれこれが太い流れになれば、株価は大きく上昇するでしょう。2022年は日本株再評価の年になると考えています。

武者陵司

1949年9月長野生まれ。
1973年横浜国立大学経済学部卒業。大和証券株式会社入社、企業調査アナリスト、繊維、建設、不動産、自動車、電機、エレクトロニクスを担当。大和総研アメリカでチーフアナリスト、大和総研企業調査第二部長を経て、1997年ドイツ証券入社、調査部長兼チーフストラテジスト、2005年副会長に就任。
2009年7月 株式会社武者リサーチ設立。
武者リサーチ

どうなる2022年!

トレトレブロガーの各分野のスペシャリストたちに「2022年」はどうなるのかお話を伺いました。画像をクリックして記事を御覧ください。