
国内外の銀行で為替ディーラーとして活躍され、その華麗な取引手腕から「貴公子」と称された酒匂隆雄さん。為替ディーラーの第一人者の顔とは別に、レーシング、海外旅行、ワイン・グルメに温泉旅行と、様々な趣味をお持ちで、人生を楽しく過ごすことに関しても一流人です。
このコンテンツでは、楽しい話題や日々の生活、たまには為替マーケットについて語っていただきます。
ニッポンにとってはメダル・ラッシュとなったリオ・オリンピックが終わった。ニッポンとブラジルとは時差が12時間有り、昼夜が丁度反対と成り熱戦をライブ中継で見る事は殆ど無くて、結果が分かっている録画を日がな一日見ていたが、終わると何だか静かになってしまって寂しい気がする。
寂しいと言えば先日7歳に成る孫息子と先日5歳に成ったばかりの孫娘が「お泊り」に来たが、来ている間は家の中が嬌声に溢れて賑やかであったが彼らが去ると火が消えた様な感じに成り実に寂しい。彼らは我が家から歩いて10分の所に住んでいてしょっちゅう会っているのだが「お泊り」が楽しくて仕方ないらしい。
自分の家に居ると「テレビばかり見るな。」「早く寝なさい。」などと親が口煩いのだろうがジジババは「いいよ、いいよ。」と優しいから嬉しくて仕方ないのでしょうな?
『来て嬉し、帰って嬉し、孫の顔。』とよく言うが、これは「孫が来てくれると嬉しいのだが気を遣ってしまう。実は孫が帰ると静かになるし気を遣わなくて済むのである意味嬉しい。」と言う意味なのだが、子供好きの筆者には「来て嬉し、また来て嬉し、孫の顔」であります。明日から孫達と鴨川に在る温泉に出掛けて鴨川シーワールドで一緒に遊ぶ積りであるが今から楽しみである。
さて、久しぶりに為替の話になるが、ドル・円相場が100円前後をウロウロしながら相場観が定まらない。
8月5日に発表になった7月の米国雇用統計の数字が市場予想値よりも良くて、ドルが買われ一時は9月の利上げ観測も流れたが、8月12日に発表になった米国小売売上高の数字が今度は市場の予想値よりも悪くて先週は3度も100円を割り込む円高と成った。
その後は夏休みと相まって99.50~101.50の狭いレンジ内に留まっていたが、どうやら来週辺りから円高、円安の何れかの方向に動きそうな感じがする。
今週金曜日にカンザスシティのジャクソンホールでイェレンFRB議長の講演が予定されており、市場はイェレン女史がタカ派的な発言(利上げに積極的)をするか、逆にハト派的な発言(利上げに慎重)をするかに注目している。講演内容によって9月を含めて年内の利上げが有るのか否かの方向性が決まるかも知れない。
また、黒田日銀総裁が9月に現在の金融緩和政策についての「総括的検証」を行い、それを踏まえて「追加的な緩和措置を講じる可能性は十分ある。」と述べており、日米両金融当局による金融政策の変更の可能性が有る。可能性が有ると言う事は実際に有るのかどうか、そしてもし有った場合どうなるか、もし無かったらどうなるかを考えておかなければならない。
考えられるシナリオとしては、
シナリオ1. FRBによる利上げ無し。日銀による追加金融緩和有り。=可能性25%。ドル・円は103円へ。
シナリオ2. FRBによる利上げ有り。日銀による追加金融緩和有り。=可能性15%。ドル・円は107円へ。
シナリオ3. FRBによる利上げ無し。日銀による追加金融緩和無し。=可能性50%。ドル・円は95円へ。
くらいを想定しており、まあはっきり言って9月にかけては円高、円安、どちらも有り得ると思っている。先ずは今週金曜日のイェレンFRB議長の発言内容に注目しましょう。

酒匂隆雄 さこう・たかお
酒匂・エフエックス・アドバイザリー 代表
1970年に北海道大学を卒業後、国内外の主要銀行で為替ディーラーとして外国為替業務に従事。
その後1992年に、スイス・ユニオン銀行東京支店にファースト・バイス・プレジデントとして入行。
さらに1998年には、スイス銀行との合併に伴いUBS銀行となった同行の外国為替部長、東京支店長と歴任。
現在は、酒匂・エフエックス・アドバイザリーの代表、日本フォレックスクラブの名誉会員。
