
国内外の銀行で為替ディーラーとして活躍され、その華麗な取引手腕から「貴公子」と称された酒匂隆雄さん。為替ディーラーの第一人者の顔とは別に、レーシング、海外旅行、ワイン・グルメに温泉旅行と、様々な趣味をお持ちで、人生を楽しく過ごすことに関しても一流人です。
このコンテンツでは、楽しい話題や日々の生活、たまには為替マーケットについて語っていただきます。
今年も残すところあと10日ほど。クリスマスと正月用の日本酒、シャンパン、ワイン、そしてウイスキーも仕入れた。最近はウイスキーは飲まなかったのだが、先日シンガポールに行った時に、シンガポール在住の30年来の友人からあるシングルモルトウイスキー(グレンフィディック18年)をドイツ産の自然のミネラルウォーター(ゲロルシュタイナー)で割った飲み物を勧められ、一遍に虜になった。
シングルモルトウイスキーは何も加えずにストレートで飲むのが通だと思っていたが、このグレンフィディック18年は濃くて、むしろこの爽やかなゲロルシュタイナーで割って飲んだ方が美味しいかも知れないな。ご興味がありましたら一度お試し下さい。
昔はグレンフィディックの7~8年物で1万円もしたが、今はこの18年物でさえその半値で買える。ある意味ウイスキーはコスト・パフォーマンスが極めて良いと言える。ワインは開けると、ものの30分で1本無くなってしまうが、ウイスキーは少なくとも4~5回は飲める。一回当たりのコストは高くはない。まあ要はどんな酒であれ、楽しく飲むことが大事ですけどね。
さて普段はこの時期になると為替取引は控え、大人しく(?)飲んでいる事が多いのだが今年はちょっと事情が違う。月初、欧州の中央銀行であるECBが追加金融緩和を行い、普通であればドルとの金利差拡大(ドルの金利が高くてユーロの金利が低い。通常であれば金利の低いユーロを売りたくなるものだ)の思惑でユーロが売られて相場が下がるのだが今回は違った。
市場は追加金融緩和の中身を充分と考えずに、急にユーロの買い戻しに走り、対ドルで1.05台から1.09台まで約450ポイントも急騰した。先週はアメリカでFOMCと言う金融政策を決定する会議が開催され、市場の予想通り0.25%の利上げに動いた。これには市場は素直に反応してドル・円は多少ドル高&円安に動いた。
そして最後は我が国の中央銀行である日本銀行であるが、市場の予想を裏切って(?)金曜日のお昼の最中に突然新たな金融緩和の方策を幾つか発表したのだが、この中身がどうもよく分からない。黒田総裁が記者会見を行って「これは追加金融緩和策ではなく、あくまでも補完策である」と言ってまたまた分からなくなってしまったのだ。
ドル・円相場はこの補完策とやらが発表された直後に122.50から123.54まで急騰し、ものの10分もしないうちに今度は122円台の下まで急落した。今週になってもドルの下げトレンドは変わらずに、昨日ニューヨーク市場で安値120.83を付けた。この年末に来てたった二日間で約3円も動かれたんでは敵わない。今日は121.20近辺で割合静かに動いているのだが120に落ちるのか、それとも123まで上がるかは五分五分かもしれない。さあてどうなるか?
11月に行われたアメジスト香港さん主催の経済セミナーで2016年には円高に成った時にも自分の資産のヘッジが出来る様に色々勉強しましょうと提言したが、一緒に頑張りましょう!!
これが今年最後の『畢生の遊楽三昧』となります。まあ、ほんに遊楽三昧の雑談ばかりで御座いました。
どうか来年もお付き合い下さいませ。
良いお年をお迎え下さい。

酒匂隆雄 さこう・たかお
酒匂・エフエックス・アドバイザリー 代表
1970年に北海道大学を卒業後、国内外の主要銀行で為替ディーラーとして外国為替業務に従事。
その後1992年に、スイス・ユニオン銀行東京支店にファースト・バイス・プレジデントとして入行。
さらに1998年には、スイス銀行との合併に伴いUBS銀行となった同行の外国為替部長、東京支店長と歴任。
現在は、酒匂・エフエックス・アドバイザリーの代表、日本フォレックスクラブの名誉会員。
