
国内外の銀行で為替ディーラーとして活躍され、その華麗な取引手腕から「貴公子」と称された酒匂隆雄さん。為替ディーラーの第一人者の顔とは別に、レーシング、海外旅行、ワイン・グルメに温泉旅行と、様々な趣味をお持ちで、人生を楽しく過ごすことに関しても一流人です。
このコンテンツでは、楽しい話題や日々の生活、たまには為替マーケットについて語っていただきます。
5月6日に突然トランプ米大統領が中国からの輸入製品に対して課税強化を宣言して、今や米中通商交渉は米中貿易戦争へと変わった。
中国の報復関税強化に対して今度は中国大手通信業者のファーウェイに対して取引停止や部品供給停止を命じ、いよいよ米中間のいざこざは通商問題のみならず知的財産権や安全保障問題にエスカレートしだした。
市場はこれらの動きに対してリスクオフの動き(投資家がリスクを取ることを恐れ、保有資産の売却に走ったり、新たな資産購入を控えること。)となり、その結果株価は下がり安全資産である米債に資金が集まって金利は低下し、どういう訳か"いざと言う時"の避難先通貨と言われるスイス・フランや円が買われることとなった。
トランプ砲がさく裂する前の5月1日から昨日までの値動きを見ると株価と金利が下がり、対ドルやクロス・ベース(米ドル以外のその他通貨に対する円の価値)、特に対豪ドルで円が買われて円高となっている。
10年物 米債利回り |
ダウ平均株価 | ドル・円相場 | 豪ドル・円 | |
---|---|---|---|---|
5月1日 | 2.50% | 26,430 | 111.39 | 78.15 |
5月24日 | 2.32% (-7.2%) |
25,586 (-3.2%) |
109.30 (-1.9%) |
75.72 (-3.1%) |
(何れもニューヨーク市場の終値ベース。昨日はニューヨーク市場が休場の為24日のデータ)
月初からの値動きを見るとドル・円相場の下げは割合穏やかなものとなったが、これはラウンド・ナンバー(110.00などの.00や109.50の.50などの区切りのいい数字)の節目節目で本邦機関投資家の旺盛なドル買い意欲が見られたことによるものかと思われる。
国内での運用困難により金利差を求めて本邦機関投資家が円を売って外貨建て債権、例えば米国債券を購入したい気持ちはよく理解出来るが、例えば112円で2.50% の10年債を買ったとすると現在は為替差損が(112.00-109.30)÷112.00=2.4%で2.50%-2.32%=0.18%のキャピタルゲインを差し引いても2.40%-0.18%=2.22%の差損が生じている。
この様な机上の計算だけで投資の可否を議論するのは無駄だとは思うが、機関投資家が何時までもドルを買い続けるかどうか(特に現在の円高と金利差縮小局面で)は大いに興味の有るところである。
久し振りに真面目な話をしたが来たる6月8日(土)にアメジスト香港さん主催の恒例のセミナーが開催される。
メイン・タイトルは"令和元年、大暴落に備えよ!"とドキッとするものであるが、直近の米中関係の緊張を見ると他人事とは思えない。
筆者は何時もの様にペンタゴン・チャートの川口さんと第四部で"乱高下の為替市場はこう乗り切れ!"と言うタイトルで対談させて頂く予定だ。
サブ・タイトルに"トランプ大統領の政策によって大きな影響を受けるのが、株価と為替である。同盟国の日本円もその例外ではなく、政策の如何によっては 大きく円高になる可能性もあれば、円安が再び進行する可能性もある。"とあるが、正にその通りである。
是非ともこのセミナーにご参加頂き、一緒に勉強致しましょう。
> 6月8日のセミナーの詳細はこちら
そしてセミナー後にはこれも恒例の"殆ど空くじ無し。"の大抽選会が有るが、今回もニュージーランド・ワインの"雄"Escarpmentの単一畑のPahi, Kiwa, Te Ruhuaの3種類のピノ・ノアールを2本ずつ、合計6本を賞品として提供致しました。
これ等のワインは都内の有名なレストランでも使って頂いておりとても美味しいワインです。
> Escarpment公式サイト:商品紹介ページ
是非とも抽選会で勝ち取ってお試し下さい。
ではセミナー会場と懇親会場でお待ちしております。

酒匂隆雄 さこう・たかお
酒匂・エフエックス・アドバイザリー 代表
1970年に北海道大学を卒業後、国内外の主要銀行で為替ディーラーとして外国為替業務に従事。
その後1992年に、スイス・ユニオン銀行東京支店にファースト・バイス・プレジデントとして入行。
さらに1998年には、スイス銀行との合併に伴いUBS銀行となった同行の外国為替部長、東京支店長と歴任。
現在は、酒匂・エフエックス・アドバイザリーの代表、日本フォレックスクラブの名誉会員。
