
国内外の銀行で為替ディーラーとして活躍され、その華麗な取引手腕から「貴公子」と称された酒匂隆雄さん。為替ディーラーの第一人者の顔とは別に、レーシング、海外旅行、ワイン・グルメに温泉旅行と、様々な趣味をお持ちで、人生を楽しく過ごすことに関しても一流人です。
このコンテンツでは、楽しい話題や日々の生活、たまには為替マーケットについて語っていただきます。
ようやく秋らしい爽やかな日々が続くが、同時に嫌いな日が近付いて来た。
そう、あのハロウィンのバカ騒ぎの日(10月31日?何で?)が明日に迫ってきたのである。ハロウィンについてはちょうど1年前の『遊楽三昧』で散々悪態を付いたので今年は控えるが、本当にあのバカさ加減には腹が立って仕方ない。
> 「畢生の遊楽三昧」第113回 ハロウィーン狂騒曲
この週末も深夜の渋谷交差点で馬鹿どもが騒いで自動車をひっくり返したり、痴漢騒ぎを起こしたりして数人が逮捕されたらしいがどんどん取り締まればいい。あれは犯罪以外の何物でもない。
ハロウィンの事を書いているとそれだけで腹が立つので、話題を変えてこの週末に参加したワイン・オークションの事について書いてみよう。
筆者はあるワイン輸入業者が開催しているワイン・オークションに毎年参加している。もう既に23回目か?最近のウィスキー・ブームを反映してか『KAIGAI WINE & WHISKY CHARITY AUCTION』となっていた。
チャリティーとあるのはこのオークションでの売り上げの一部を公益社団法人 3.11震災孤児遺児文化・スポーツ支援機構に寄付しているからである。中々個人では寄付する機会は多くないので素晴らしいアイディアだと思う。
オークションに先立ってランチが催されたがステーキに『2004 Jean Michel Cuvee Speciale Brut』のシャンパンと『1993 Clos de Vougeot Haegelen Jayer.』が出され、もう気分は最高潮!
午後2時からオークションが始まったが、此れにはある種の駆け引きがある。今回のオークションでは主催者の想定落札レンジが書いてあり、スターティング・プライス(最初の応札金額)は大体最低価格から15%くらい下から始まる。
例えば写真の14番のKistler 3本は35,000円から始まった。
Kistlerのピノ・ノアールは大変貴重なワインで是非とも落としたく、事前に80,000円までの上限の出費を覚悟していた。どうして上限を設定するかと言うと他人と競い合うと法外な値段になってしまう事があり、『其処まで無理して買う積りは無い』からである。
此れは失敗した。35,000円で始まった落札価格はどんどん上がっていき、上限の80,000円でも筆者以外に一人パドルを挙げている人(落札するにはあてがわれたパドルと言う団扇くらいの大きさのプラスティックの札を挙げる)が居り(何時もオークションで会う、知っている人)諦めた。
そして結局それは82,000円でその知人に落札された。
ちぇっ、2,000円ケチって落とし損ねた。
失敗!
ところが、もし筆者が挙げていると友人も上げ続けたと思うので、落札額はもっと高くなったであろう。
次の15番TurleyはZinfandelと言うカリフォルニア特有の葡萄を使った素晴らしいワインで、此れには100,000円の上限を考えていた。55,000円から始まり、70,000円、80,000円と再び競り上がっていく。Kistlerで臍を噛んだので少し無理をして105,000円、110,000円と価格が上がる中またさっきの知人がパドルを挙げ続けている。彼もよっぽどカリフォルニアの『変わったワイン』が好きなんだな。
115,000円で諦めた。
するとまた彼が120,000円で落札した。
またやられた!
今度は5,000円違いか。今日は苦戦しそうだ。
次に欲しいワインは33番で少し時間があるのでさっきまで競り合っていた知人の所に行って「勘弁して下さいよ。」とふざけて言うと、「お互い様ですよ。趣味が似ているんですね。」と笑っていた。
33番の素晴らしいボルドー・マルゴー村のChateau Palmerは210,000円で、34番のボルドー・メドック村のChateau Montroseは74,000円で落札出来てほっと一息。
その後もオークションは続いたが驚く様な落札金額で落とされたウィスキーやワインもあった。
1940年の『The Macallan - 1940』は2,000,000円。
1971年のロマネ・コンティは2,200,000円。
もうこうなってくると笑ってしまう!
オークションの最中はアンリ・ジローのシャンパンがFree flow(どんどんタダで飲ませてくれる)なのでつい大胆になってしまうので要注意!
オークションが終わった後、自分が落札したワインの詳細と金額を見て「わっ、こんなに買ったのか!」とぎょっとする事、間違いなし。
実は今回は友人が助太刀してくれた(幾つかのワインの山分け)ので欲しいワインを思い切って落とす事が出来た。引退しており、ワイン・オークションでワインを落札する様な身分ではないのだが、まあ1年に1度のお祭りだからいいか・・・。
ワインが来たら、どれから飲むかな?

酒匂隆雄 さこう・たかお
酒匂・エフエックス・アドバイザリー 代表
1970年に北海道大学を卒業後、国内外の主要銀行で為替ディーラーとして外国為替業務に従事。
その後1992年に、スイス・ユニオン銀行東京支店にファースト・バイス・プレジデントとして入行。
さらに1998年には、スイス銀行との合併に伴いUBS銀行となった同行の外国為替部長、東京支店長と歴任。
現在は、酒匂・エフエックス・アドバイザリーの代表、日本フォレックスクラブの名誉会員。
