
国内外の銀行で為替ディーラーとして活躍され、その華麗な取引手腕から「貴公子」と称された酒匂隆雄さん。為替ディーラーの第一人者の顔とは別に、レーシング、海外旅行、ワイン・グルメに温泉旅行と、様々な趣味をお持ちで、人生を楽しく過ごすことに関しても一流人です。
このコンテンツでは、楽しい話題や日々の生活、たまには為替マーケットについて語っていただきます。
筆者は極めて即物的で、ロマンチストではない。それでも時々(?)ロマンティックな事を思う事が無くは無い。但し、若者が興味を抱く色恋沙汰のロマンティックな事ではない。
そう、宇宙のロマンの事だ!
日本語では浪漫と書き、『胸をワクワクさせる不思議な性質』と言う事らしい。
我が国では殆どの場所では街の明かりが空に反射して中々星が見えないが、海に行ったり山に登ったりすると息をのむ程奇麗な星を見ることが出来る。
数年前ニュージーランドに行った時にふと空を見上げると、まるで絵に描いたような奇麗な星空が広がり流星がひっきりなしに飛んで行って涙が出そうになる程感激した。
ニュージーランドは南半球にあり、我が国で見る星とは違うのかも知れないが大きくはっきり見えてふと、「100年前も1000年前も人類はあの星を見ていたんだな。」と感慨にふけった。
あの星の向こうには何があるんだろう?
あの星に達するにはどれくらいの時間が掛かるんだろう?
などと考えると不思議になりません?それが筆者の言う浪漫(ロマン)なのである。
著作権者:Go Miyazaki、ライセンス:CC 表示-継承 4.0 <https://ja.wikipedia.org/wiki/はやぶさ2>
そこでであるが新聞紙上に『はやぶさ2号』の事が書いてあった。『はやぶさ2号』は2014年12月3日に種子島宇宙センター大型ロケット発射場から国産ロケットで発射された小惑星探査機で、地球近傍小惑星『リュウグウ』への着陸およびサンプルを採取して地球に持ち帰ることが計画されている。
『リュウグウ』は直径凡そ900メートルの小惑星で、地球近傍天体の中でも特に地球に衝突する可能性が大きく、かつ衝突時に地球に与える影響が大きい潜在的に危険な小惑星に分類されているが、此処に着陸・サンプル採取して生命誕生の謎を解明しようと言う壮大な計画である。
2014年に地球を飛び立った『はやぶさ2号』は凡そ3年半の月日を経て今年の6月27日に『リュウグウ』の上空凡そ20キロメートルに到達した。8月に入ってから『リュウグウ』の上空に滞在しながらサンプル採取に最適な着陸地点を模索しているらしいのだが、よくもあんな操作が出来るものだと感心する。
地球から『リュウグウ』までの距離は凡そ3億キロメートルと言われているが地球1周の距離は凡そ4万キロメートル。単純計算すると、
300,000,000キロメートル÷40,000キロメートル=7,500
何と地球を7,500周する距離なんです!この距離間でデータの送受信をしながら完璧な着陸地点を探すなんて、それこそ藁の中から針を探すよりも難しいのではなかろうか?
皆さん、何処か街の明かりが眩しくない田舎に行くチャンスが有ったら空を見上げて綺麗な星を見て下さい。ぞくぞくする程浪漫(ロマン)を感じますから!
ん?
誰ですか?70を超えたじいさんが星空を見て浪漫(ロマン)を語るなんて気持ち悪いって言ったのは!

酒匂隆雄 さこう・たかお
酒匂・エフエックス・アドバイザリー 代表
1970年に北海道大学を卒業後、国内外の主要銀行で為替ディーラーとして外国為替業務に従事。
その後1992年に、スイス・ユニオン銀行東京支店にファースト・バイス・プレジデントとして入行。
さらに1998年には、スイス銀行との合併に伴いUBS銀行となった同行の外国為替部長、東京支店長と歴任。
現在は、酒匂・エフエックス・アドバイザリーの代表、日本フォレックスクラブの名誉会員。
